一軒家の住宅ローンはいくらにするべき?項目ごとの平均値を徹底解説!
一軒家の住宅ローンの平均値や適切な設定方法を知らない方も多いでしょう。この記事では、住宅ローンの項目ごとの平均値や相場を詳しく解説します。借入額や世帯年収、年齢、頭金、金利、返済期間、返済負担率、返済額など、ローンを組む上で重要な項目を網羅しました。この記事を読むことで、一軒家の住宅ローンに関する知識が深まり、より良い選択ができるようになるでしょう。
目次
一軒家の住宅ローンの項目ごとの平均値とは
一軒家のローンにはどれほどの費用がかかるのでしょうか。ここでは、一軒家の住宅ローン計画を立てるための基礎知識を解説します。地域別の価格差や年代別の変動、ローンの種類ごとのコスト分析をすることで、ローン計画の検討に役立つでしょう。
借入額
住宅購入時には、頭金と銀行ローンで資金を調達します。新築物件は中古に比べ価格が高く、ローン額も大きくなります。令和4年度住宅市場動向調査報告書によると、物件の種類別の具体的な平均借入額は、注文住宅が3,772万円で最も高く、次いで分譲戸建てが3,205万円、分譲マンションが3,610万円です。中古物件の場合、戸建ては2,070万円、マンションは1,641万円となり、新築よりも借入金額が低くなる傾向にあります。物件の種類と新旧によって、住宅ローンの費用が大きく変わってきます。
世帯年収
住宅ローンの平均借入額に関して、平均年収に着目します。国土交通省のデータによると、住宅ローンを組む際の平均世帯年収は600万円から800万円未満が最も多いです。ここで注目すべきは、この世帯年収が共働きの場合の合計年収を指す点です。特に共働き世帯では、一般的にペアローンを利用します。ペアローンとは、夫婦がそれぞれ別々にローンを組み、2つのローンを合わせて住宅返済に充てる方法です。融資額の増加や住宅ローン控除の二重取りなど、複数のメリットがあります。
しかし、女性の収入が妊娠や出産により変動する可能性も考慮する必要があります。ペアローンを組む際には、どちらかのローンを実収入の50%程度に抑えることが賢明です。将来的な収入変動リスクに備えることが可能となり、安定した返済計画が立てやすくなります。
年齢
住宅ローンを利用する際の平均年齢は、30代から40代に集中しています。30代から40代は、キャリアの安定や家庭を持つことを考える時期です。経済的な安定感や家族計画の成熟といった要因が、住宅購入のタイミングに大きく影響を与えていることを示しています。
頭金
住宅ローンの平均頭金は物件タイプによって異なり、分譲マンションでは平均1,438万円、分譲戸建て住宅では869万円です。物件価格に対して21.3%から28.5%の自己資金比率となります。しかし、現在の低金利環境を踏まえると、大きな頭金を用意する必要性はそれほど高くないと考えられます。
むしろ、迅速に住宅を購入し、その後に繰り上げ返済を活用する方が、金融的なメリットを享受しやすいでしょう。繰り上げ返済は、長期にわたる利息の負担を軽減する効果があり、結果としてトータルの返済額を減らすことが可能です。このため、頭金を多く準備するよりも、購入後の資金計画に重点を置く方が合理的な戦略と言えるでしょう。
金利
日本の住宅ローン市場は、日本銀行の金融緩和政策や金融機関間の競争激化により、歴史的な低金利状態が持続しています。この状況下で、住宅ローンを組む方々の約75%以上が選ぶ変動金利の相場は大手銀行で0.4%前後、インターネット専業銀行で0.3%前後です。
一方、固定金利の選択肢では、フラット35が人気を集めています。全期間固定で借り入れをすることで、借入者は長期にわたる金利の変動リスクを回避しつつ、低い借入コストを享受できるようになっています。
※変動金利の相場は2024年5月現在の情報です。
返済期間
住宅ローンの平均返済期間は、住宅タイプによって異なり、中古戸建てで平均28.4年、注文住宅では32.8年となっています。多くの場合、住宅ローンを早期返済したいと考えるのではないでしょうか。しかし、現在の低金利環境を考慮し返済期間を長く設定することで、月々の返済額を抑え、生活にゆとりを持たせることが可能です。また、一定額が貯まった際や不動産売却のタイミングで、繰り上げ返済を行うことも有効な戦略です。
繰り上げ返済を行う際には、一部の金融機関で手数料が発生することもありますが、多くの場合、利息の総額を減らすことができます。最終的に、ローンの支払い期間の短縮につながります。金利の低い今だからこそ、賢い資金計画の一環として検討すべきです。
返済負担率
返済負担率は年収に対する年間返済額の割合を指し、ローン審査の重要な基準の一つです。一般的に、この割合は30%から35%が上限とされていますが、実際のデータによると平均返済負担率は16.4%から18.8%です。この平均返済負担率は、返済に関して無理がない範囲内と考えられています。
金利の変動によって、借入金額と返済総額が同一ではないことを理解しておかなければいけません。また、借入れ限度額いっぱいでローンを組むと、将来の予測不能な事態に対応する余地がなくなります。今後の教育費や介護資金など、将来を見据えて無理なく返済できる割合を設定することが、安定した生活を送るためのカギとなります。
返済額
国土交通省の最新調査によると、住宅ローンの平均返済額は物件種別によって異なり、月々約8.4万円から約14.5万円の幅があります。物件種別ごとに、具体的な数値を見ていきます。
- 新築土地付注文住宅
平均借入金額:3,772万円、平均年間返済額:174.0万円(月々約14.5万円) - 新築分譲戸建住宅(建売住宅)
平均借入金額:3,205万円、年間返済額:126.6万円(月々約10.6万円) - 新築分譲マンション
平均借入金額:3,610万円、年間返済額:148.1万円(月々約12.3万円) - 中古一戸建て
平均借入金額:2,070万円、年間返済額:106.7万円(月々約8.9万円) - 中古マンション
平均借入金額:1,641万円、年間返済額:101.3万円(月々約8.4万円)
これらのデータは、住宅購入の際の資金計画を立てる上で、重要な情報源となります。
一軒家の住宅ローンに含めることができる費用とは?
住宅ローンを組むとき、どのような費用が考慮されるのでしょうか。ここでは、住宅ローンに含めることができる費用と、含めることができない費用を解説します。詳細な費用分析を通じて、予算を超えることなく安心して家を購入するための計画を立てることができるでしょう。
住宅ローンに含めることができる費用
住宅ローンを組む際、借入金に含めることができる費用は多岐にわたります。これらは住宅購入全体のコストを把握し、資金計画を立てる上で重要な要素です。具体的には、以下のとおりです。
- ローン契約にともなう事務手数料
- 土地建物の登記費用
- 住宅ローン保証料や火災保険料
- 不動産の購入を仲介する会社へ支払う仲介手数料
- 注文住宅を建設する際に必要となる地盤改良費用や地質調査費用
- 売買契約や建築請負契約にともなう印紙税
これらの費用を総合的に考慮することで、住宅購入における総コストを正確に把握し、資金計画を立てることができます。
住宅ローンに含めることができない費用
住宅ローンの借入金に含められない費用は、主に住宅購入後に発生するものです。具体的には、以下のとおりです。
- 引っ越し費用や新居で必要となる家財道具の購入費用
- 不動産取得税や固定資産税
引っ越し費用や新居で必要となる家財道具の購入費用が該当します。これらの費用はローンの対象外となるため、別途資金計画を立てる必要があります。
また、不動産取得税や固定資産税も、住宅購入後に発生する税金であるため、これらも住宅ローンの借入金には含めることができません。これらの税金は住宅購入の際の重要な追加コストとなるため、事前に十分な準備が必要です。
一軒家の住宅ローンを組む際は自分に合う選択をしよう
一軒家の住宅ローンを組む際のポイントが気になっている方も多いでしょう。ここではどの住宅ローンが最適か、検討する際のポイントを解説します。自分に最も合ったローンを選ぶための知識を手に入れましょう。
複数の金融機関を比較検討する
金融機関によって、住宅ローンの適用金利には大きな違いがあります。インターネット専業銀行は運営コストが低いため、従来の有店舗型銀行に比べて低金利な傾向にあります。インターネット専業銀行では、オンラインで提供される個人情報や、信用情報を基にした一律の審査プロセスを採用しているのです。
住宅ローンの審査過程で不安や疑問がある場合は、対面サービスを提供する有店舗型銀行での申込みが適している場合もあります。特に持病を持つ方のように、個別の事情に応じた相談を望む場合は、直接銀行に出向くことが望ましいです。また、長年給与振込先として利用している銀行では、金利優遇などの特典が提供されることもあります。
したがって、特定の金融機関に絞っていない場合、まずは給与が振り込まれる銀行で住宅ローンの審査を検討することがおすすめです。金利やサービスの面で、有利な条件を見つける可能性が高まります。
個人事業主の場合はフラット35がおすすめ
個人事業主が住宅ローンを組む際、審査は年間収入ではなく「所得」に基づいて行われます。個人事業主が会社員と比較して収入の安定性が低いと見なされるため、審査で不利になる傾向があることを意味します。そのため、過度な節税により所得を過度に減らすことは避けるべきです。また、住宅ローンの審査では、過去3年程度の安定した所得を示すことが重要です。
個人事業主には、特にフラット35の利用を推奨します。一般的な金融機関での住宅ローン審査に通りにくい個人事業主にとって、有効な選択肢です。通常の金融機関では、3年分の決算書と確定申告書の提出が求められ、決算書は黒字でなければいけません。
しかし、フラット35では決算書の提出が不要で、返済負担率は確定申告書のみで計算されます。さらに、確定申告書は過去2年分の情報で十分であり、返済負担率の審査は直近1期分のみが対象です。フラット35を活用すると、収入が不安定な個人事業主や開業間もない個人事業主でも、住宅ローンを組みやすくなります。
ライフプランシミュレーションをしておく
住宅購入は人生における大きな決断であり、購入後も多くのライフイベントが続きます。そのため、住宅ローンの返済計画を立てる際には、将来のライフプランを綿密に考慮することが重要です。例えば、家族計画においては、子どもの人数や教育環境を検討し、それにともなう費用を見積もる必要があります。また、両親や家族の介護が必要になる可能性も視野に入れた資金計画を立てることも重要です。
加えて、自身のキャリアプランも考慮に入れるべきです。定年までの勤務予定や転職、退職の可能性などを見越して、収入の変動に備えることが求められます。10年、20年先を見据えることで、将来必要となる費用を概算しそれに応じた住宅ローンの返済計画を立てることができます。住宅ローンは長期間にわたる資金計画です。ライフプランとの整合性を確保し、返済しながら充実した生活を送るために慎重に検討することが不可欠です。
一軒家の住宅ローンを組む際の4つの注意点
住宅ローンを組む過程には、見落とされがちなポイントがたくさんあります。ここでは、住宅ローンを検討する上で考慮すべき4つの注意点を解説します。これらのポイントを理解し、将来的な金融リスクを避け、安定した住宅ローンを組みましょう。
現実的に返済できる金額を考える
住宅ローンの借入額を決定する際、重要なのは「いくらまで返せるか」ではなく「いくらなら無理なく返せるか」という考え方です。返済額を考える上で、返済負担率は重要な目安となります。返済負担率は年収に占める年間返済額の割合であり、金融機関が設定する上限は通常30~35%です。しかし、家計にゆとりを持たせるため、25%以下を目安に設定することが望ましいです。
しかし、適切な返済負担率は家庭によって異なります。同じ収入の家庭でも、家計の状況やライフスタイルによって、無理なく返せるローン額は変わります。したがって、ローン返済後の生活費や貯蓄能力なども考慮に入れ、総合的なシミュレーションを行うことが重要です。ローン返済と日々の生活のバランスを保ちつつ、将来的な貯蓄計画にも影響を与えない借入額を設定しましょう。
金利タイプをしっかり理解する
住宅ローンには、3つの金利タイプがあります。住宅ローンの検討の際、それぞれの特徴を理解することが重要です。全期間固定金利型は、完済まで金利が変わらないため、返済額をあらかじめ確定できます。金利リスクがない一方で、金利自体は比較的高めに設定されているのが特徴です。返済額の安定性を重視する方に適しています。
一方、変動金利型は、一定期間ごとに金利が見直されます。市場の金利が下がれば返済額も減少しますが、上昇すると返済額が増加するリスクも考慮しなければいけません。国土交通省の「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、新規借り入れ者の76.2%が変動金利を選択しています。低金利状況が続いている現在の市場条件を反映していると言えます。
3つ目の固定金利期間選択型は、一定期間ごとに金利タイプを選べる柔軟性が特徴です。期間終了後、再び金利タイプを選択できるため、将来の金利動向に応じて柔軟に対応できます。どの金利タイプを選ぶかは、個々の金融状況や将来の市場予測に大きく依存します。それぞれの特徴をしっかり理解し、自身のライフプランに合わせて最適な選択をすることが重要です。
完済時の年齢を考慮して返済期間を設定する
住宅ローンの返済年数設定は、最長35年とされていますが、期間の設定には細心の注意が必要です。返済期間が短いほど完済が早くなりますが、その代償として毎月の返済額が大きくなります。一方で、返済期間を長く設定すると月々の返済負担を軽減できますが、トータルで支払う利息額は増加します。
返済期間の長さは、利息の総額だけではなく、毎月の家計へも影響する重要な要素です。長い返済期間によって、完済時期が退職年齢に近づくリスクもあります。特に60歳以降は収入が減少することが多く、住宅ローンの返済も残っていると、老後の金銭状況に影響を及ぼす恐れがあります。返済期間は将来の収入見込みを考慮し、60歳までに返済を終えることができるように設定するのが賢明です。これにより、安定した老後を送るための金銭的な基盤を確保できます。
民間の金融機関は原則団信の加入が必須
民間金融機関における住宅ローン契約では、一般的に団体信用生命保険(団信)への加入が要求されます。団信は、ローン契約者が死亡や高度障害に陥った際に、保険金で残った住宅ローンの債務を相殺する制度です。多くの場合、この団信の保険料は金融機関が負担しますが、加入にあたっては健康状態の審査が伴います。既往症がある場合、団信加入が難しくなることもあり、それに伴い住宅ローンの借入も困難になる場合があります。
しかし、最近では既往症がある方でも加入しやすい引受緩和型の団信の取り扱いが増えてきました。金融機関によっては、さまざまな団信のオプションが用意されています。また、住宅金融支援機構のフラット35では、団信加入は必須ではありません。通常の団信に加入できない場合の代替案として有効です。
さらに、がん団信や特定疾病団信など、様々な団信が提供されています。これらのオプションは、家族構成や契約者の年齢などに応じて選択することができ、より個々のニーズに合った保険を提供します。ただし、これら特約付きの団信では追加の保険料が発生する可能性があることに注意しましょう。住宅ローンの金利に上乗せされる形で、実質的に負担することになります。
医療技術の進歩により、がんや特定の疾病が治療しやすくなっています。治療を受けながら働き続ける方も多く、そのような状況にも適した保険選択が可能です。団信の選択にあたっては、自身のライフスタイルや将来の計画を総合的に考慮することが重要となります。
まとめ|一軒家の住宅ローンで失敗しないためにも正しい知識を身に付けよう
一軒家の住宅ローンを考える際、借入額や世帯年収、年齢など、多くの要素を考慮する必要があります。これらの平均値を知っておくことは、自分に適したローン計画を立てる上で重要です。また、住宅ローンに含められる費用を理解することも大切です。適切なローンを選ぶためには、複数の金融機関を比較し、個人の状況に合わせた選択をしましょう。
住宅ローンを組む際の注意点としては、金利タイプの理解や返済金額や期間の設定、民間金融機関での団信加入の必要性などがあります。これらのポイントを押さえ、正しい知識と計画を持って住宅ローンを組むことが、失敗を避けるためのカギとなります。
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