間取り図の作り方とは?抑えておきたいポイントや具体的なステップを紹介!


新築の夢を現実に変える第一歩、またはリノベーションで理想の住空間をつくる上で、間取り図は不可欠です。しかし、一から間取り図を作成するのは、多くの方にとっては未知の領域ですよね。

 

この記事では、初心者でも分かりやすい間取り図の作り方を解説します。抑えておきたいポイントから、専門家が実践する具体的なステップまで紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

 

間取り図とは?作り方を知る前に概要を把握しておこう

「間取り図が必要だけど、何から始めればいいの?」という疑問に直面している方は多いでしょう。間取り図とは、家や部屋の構造を平面的に表した図面であり、新しい生活空間をつくる上で欠かせないものです。ここでは、間取り図の基本的な概念と重要性について解説します。

 

家の基本情報が記載されている図面

間取り図は、部屋の配置を一望できる設計図であり、部屋の大きさ、配置、窓やドアの場所、収納スペースまでを視覚化しています。分譲マンションや建売住宅を選ぶ際、この図を参照すれば、物件の内容を理解しやすくなるでしょう。

 

注文住宅やリノベーションにおいては、間取り図は夢の住まいを形作るためのコミュニケーションツールとなり、施主と建築家が共同で理想のプランを練り上げます。間取り図を起点に家族の生活パターンや日照、通風の流れまで思い描くことができ、キッチンやバスルームの配置から日常の快適性もイメージしやすいです。

 

略語を覚えておこう

間取り図を理解するためには、建築や不動産の分野で使われる略語を知っておくことが重要です。例えば「LDK」はリビング、ダイニング、キッチンの統合スペースを指します。「WIC」はウォークインクローゼットを、「S」は納戸や収納スペースを意味します。その他に使用される主な略語は以下の通りです。

略語

意味

CL

クローゼット、洋室の収納

K

キッチン

DK

ダイニング、キッチン

LDK

リビング、ダイニング、キッチン

SB

シューズボックス、下足箱・下駄箱

PS

パイプスペース、配管やガス管が通っているスペース

MB

メーターボックス、電気メーターや水道メーターが入っているスペース

Ent

エントランス(玄関)

Sto

収納

AC

エアコン

Balcony

バルコニー

Bath Room

お風呂・浴室

UB

ユニットバス

W、洗

洗濯機置場

R、冷

冷蔵庫置場

S

サービスルーム(採光や通風など建築基準法の基準を満たしていない部屋)

 

これらの略語は間取り図上で頻繁に使われるため、それぞれの意味を理解し、間取り図を読み解く能力を養うことが、正確な情報把握につながります。

 

 

間取り図の作り方とは?抑えておきたい8つのポイント

間取り図をつくるうえで重要なポイントは8つあります。これらを理解しておくことで、より機能的で快適な空間設計ができるでしょう。効率的な流れを作り失敗を避けるための秘訣を詳しく紹介します。

 

方角

間取り図を見る際には、部屋の日当たりや通風を左右する方角のチェックが欠かせません。北を示す「N」マークがどこを向いているか、まずチェックしましょう。

 

光溢れる快適な住環境を求めるなら、南や東を向いた間取りが望ましく、自然光が豊富に差し込む効果が期待できます。一方で、北向きの部屋は太陽光が直接届きにくく、室内の温度が低めに保たれ、洗濯物の乾燥も遅れがちです。

 

しかし、単に方角だけで判断するのではなく、周囲に高い建物がないかなど、周辺環境も詳細に観察することが大切です。隣接する建物によっては、理想的な方角であっても光が遮られる可能性があります。

 

敷地境界線

敷地境界線を把握することは、住宅の設計において大切です。この線は、土地と土地との境界を示す線で、建築計画における限界を示すもので、駐車場や物置、エアコンの外部機器の配置など、敷地内のスペースをどう利用するか検討する際に重要です。

 

設計時は、後の利便性のためにも敷地境界線ギリギリに建物を建てるのではなく、隣と自宅の建物の間隔をある程度は確保するようにしましょう。加えて、電柱や水道メーター、下水マスといったインフラ設備の位置についても設計段階で考慮し、配管スペースを適切に確保する必要があります。

 

地域や敷地によっては、隣地との境界が境界釘や標によって明示されていることもありますが、曖昧な状態になっている場合も珍しくありません。明確な敷地の境界を設計前に確定することで、将来的なトラブルを避けることができます。

 

敷地内の高低差

建築計画において高低差は重要な要素であり、特に玄関アプローチの高低差は、見た目の印象だけではなく、利便性や排水計画にも影響を与えます。アプローチの勾配は、バリアフリー設計では重要となります。美観を損ねないような植栽計画にも直結するため、高低差を考慮した設計を行いましょう。

 

部屋や収納の大きさ

間取り図を精査する際、部屋や収納のサイズは生活空間をイメージする上で不可欠な要素です。日本における一般的な表記方法は、伝統的な単位である「帖」を用いることが多く、1帖は約1.62平方メートルを指します。

 

しかし、国際標準に準じた表記を採用している場合や、より精密なサイズを知りたい方のために「平方メートル(㎡)」での寸法表示をする間取り図も存在します。また、重要なのは、間取り図上での面積が壁の中心線に沿って計算されており、実際の使用可能面積は壁の厚み分少し狭くなるという点です。

 

壁の厚さは収納スペースや家具の配置計画に影響を与えるため、間取り図を見るときは室内の実際の広さを正確に理解することが肝心です。

 

扉の種類

間取り図を通じて、家の内部で使用されているドアの形状と機能を把握することは、実際の生活スペースを構築する上で非常に重要です。図面には、引き戸や開き戸といった異なるタイプの扉が記されており、それぞれの動作方式を理解することが必須です。

 

引き戸は「どの方向にスライドするのか」、開き戸は「内開きか外開きか」「開く側が右か左か」といった情報が明記されています。これらの詳細を確認することで、家具や家電製品を配置する際の計画が容易になり、使い勝手が良く機能的な住空間の設計が可能となります。

 

ドアの種類や開閉の方向は、通路の確保や部屋の美観にも影響を及ぼすため、間取り図でこれらを正しく読み解き、家のレイアウトを最適化することが肝心です。

 

動線

住宅設計において動線は、住まいの使い勝手を大きく左右する要素です。理想的な動線は、日常生活での動きをスムーズにし、家事などの労力を軽減します。間取り図を見て直感的に動線が把握しにくい時は、図面上で実際の動きをたどってみるのが有効です。

 

この可視化により、無駄な動きをしていないか、また家具や家電が適切な位置にあるかを評価できます。もしたどった経路が複雑に絡み合っている場合は、効率の悪い動線ということになり、間取りの見直しや家具配置の最適化が必要となるでしょう。家の機能性を高めるためには、動線をシンプルに保ち、日々の生活が快適に過ごせるよう設計することが重要です。

 

収納

収納スペースは居住空間の快適性を大幅に向上させる要素です。押入れやクローゼット、物入れなどがその典型であり、生活用品や衣類を整理し、すっきりとした部屋を保つためには欠かせません。

 

収納スペースの設計においては、単に量だけではなく、形状や奥行き、使い勝手の良さも考慮する必要があります。さらに、容量を視覚的に把握するためには、間取り図に収納部分に色を塗るという方法が有効です。色分けすることで、収納の分布やバランスを一目で理解でき、家具の配置やリノベーションの計画においても役立ちます。

 

窓は住宅設計において、自然光を取り入れ、良好な換気を実現するための重要な要素です。

 

間取り図を見ることで、窓や扉の設置位置や開閉方法がわかります。図面では、それぞれの窓や扉がどのように動作するかが示されており、開き戸・引き戸・片開き・折りたたみ・引き違いなどのタイプの違いを確認できます。

 

これらの特徴を理解することは、住宅の換気計画を策定したり、窓に合わせたカーテンやブラインドを選んだりする際に役立つでしょう。窓のデザインに応じて選ばれる窓装飾は、プライバシーの確保や光の調節、インテリアデザインの一部としての役割も担います。

 

窓の種類や位置を正確に把握し、それに適した窓装飾や家具の配置を行うことで、機能的かつ美しい居住空間を作り出すことができます。

 

間取り図を作る時の6つの手順

間取り図を一から作成するのは、決して難しいことではありません。重要なのは、正しい手順を踏むことです。ここでは、間取り図を効率よく、そして簡単に作成するための6つの手順を紹介します。

 

​​​​土地の形状や隣地の状況を確認する

住宅設計の初期段階では、土地の形状や方角、隣接地の状況を総合的に評価して、理想的な建物の配置を検討します。これは、住宅の快適性に直結する日照と風通しを最大化するために不可欠です。明るく風通しの良い家を目指す一方で、プライバシーの確保も重要です。

 

例えば、大きな窓が隣家に向かないように配慮するなど、周囲の建物とのバランスを考慮する必要があります。風水の考えを重んじる家族がいる場合は、方角に基づいて部屋の配置や設備の位置を決定することも大切です。

 

このように、住宅の設計では、採光と風の流れ、プライバシー、なども踏まえた総合的な判断が求められます。これにより、住宅の機能性と居心地の良さを両立させることができます。

 

家の種類を決める

家のタイプは、ライフスタイルを反映した理想の住空間を作り出す基盤となります。一般的な選択肢には、平屋、2階建て、3階建てなどがあり、それぞれのタイプが異なる生活スタイルや家族構成に合わせた特徴を持っています。

 

特に、一世帯住宅と二世帯住宅では、プライバシーの確保と共有スペースのバランスを取るために間取りが大きく変わるでしょう。二世帯住宅を計画する際には、各世帯のプライバシーを尊重しつつ、効率的な共用スペースの配置を検討することが、家族全員にとって住みやすい家にするカギとなります。

 

家族構成を考える

家を建てる際、家族構成の変化を見越して柔軟性のある間取りを設計することは極めて重要です。始めは夫婦二人のためのコンパクトな空間が必要でも、子どもの誕生や成長、さらには独立後に備えることで、一つの住宅が生涯を通じて快適に対応できるようになります。

 

建物の構造変更はコストと時間がかかるため、間取りには将来の部屋の追加や変更が容易な設計を取り入れておきましょう。例えば、子ども部屋は後に趣味の部屋やゲストルームに変更できるようにし、壁を取り払って空間を広げることができるような柔軟性のある設計にしておくことが望ましいです。

 

このように、時の流れに合わせて変化する家族のニーズに対応できるよう、将来のライフステージを想定しながら間取りを慎重に考えることが肝心です。

 

各部屋の使い方を考える

家を建てる際は、各部屋の使い方を詳しくシミュレーションしておきましょう。子ども部屋や家族の集いの場、読書コーナーなど、日々の活動に必要な各スペースを想定し、その用途に応じた部屋の配置を間取り図に落とし込むことが大切です。

 

部屋の目的を明確に記述しておくことで、将来の家族の成長や変化にも柔軟に対応できます。この段階で部屋の大きさを決めることは、機能性と快適性を確保する上で重要であり、後に家具や装飾を選ぶ際にも楽になります。緻密なプランニングは、生活の質を高める居住空間をつくりだすための基盤となるでしょう。

 

シンプルな動線を意識する

住宅設計において効率的な動線は、日常生活の快適さと安全性を大きく左右します。特にキッチンは、冷蔵庫や調理器具などが手に取りやすい位置にあり、同時に十分な作業スペースが確保されるよう配慮が必要です。シンプルかつ直感的な動線は、無駄な移動を減らし、調理中の事故を避けるのにも役立ちます。

 

さらに、家族間のコミュニケーションを促進するためにも、リビングやダイニングとの連動を考えた設計が望ましいです。家族が自然と集まりやすいオープンなキッチンは、料理をしながら会話を楽しむ空間としても機能します。このように、家族の動線と生活パターンを考えて間取りに反映させることが、快適で安全、かつコミュニケーション豊かな家づくりにつながります。

 

間取りを考える

住宅の間取り図は、将来のマイホームに対する夢や理想を形にするために重要です。一般的には住宅会社が専門的に作成しますが、自分の望む家を実現するためには、事前に個人のイメージを明確に持つことが不可欠です。

 

手書きでのスケッチも良いですが、現代では多様な間取り図作成アプリが利用可能で、初心者でも手軽に間取りの作成を試すことができます。これらのアプリは、2Dだけではなく3Dでの表示機能や家具の配置試行が可能なものもあり、無料から有料まで幅広い選択肢があります。

 

自分で間取りを試作することは、建築家やデザイナーとのコミュニケーションを円滑にし、より自分らしい住まいを実現できるでしょう。

 

間取り図を自分で作る方法とは

専門家に頼らずとも、誰でも美しい間取り図を作成できる時代になりました。ここでは、初心者でも簡単に始められる実用的な間取り図の自作方法を紹介します。

 

方眼紙に手書きで作成する

間取り図の作成には方眼紙が非常に役立ちます。これは、日本の木造住宅が一般的に910mm×910mmのモジュールを基準に設計されるため、方眼紙の一マスをこの寸法に見立てて使用することができるからです。

 

方眼紙を使用する利点は、直感的にスケール感を把握できる点にあります。作成手順としては、まず必要な部屋のリストを作成し、それらを方眼紙上で線を引いて区切っていきます。この時、部屋だけではなく窓、ドア、廊下などの建築要素も忘れずに描き入れることが重要です。

 

ただし、方眼紙を用いて手作業で間取り図を作成するには時間と慣れが必要であり、初心者には時間と労力がかかるかもしれません。練習を積み重ねることで、よりスムーズで正確な間取り図を描けるようになるでしょう。

 

アプリで作成する

理想の住まいを実現するためには、建築家や建築会社に対して具体的なビジョンを伝えることが大切です。これを助ける手段として、自作の間取り図が有効です。最近では、パソコンやスマートフォンを使用して簡単に操作できる間取り図作成ソフトウェアやアプリが充実しています。

 

これらのツールは、さまざまなサイズの部屋やキッチン、バスルーム、クローゼットなどの要素を、直感的に組み合わせていくことができます。そのため、パズルのように楽しみながら家づくりのプランを形にすることが可能です。

 

初心者向けの間取り作成アプリ等であれば、専門的な知識がない方でも直感的に使うことができ、家族みんなで参加しながら夢の家の間取りを描き出すことができます。

まとめ|ハウスメーカーに相談する前に間取り図の基本を抑えておこう

間取り図は家の設計における基本図面であり、方角や敷地の特徴、部屋の配置とサイズ、収納や窓などの要素が記載されています。効率的な間取り図を作成するには、敷地境界線や高低差を考慮し、使い勝手の良い動線を設計することが重要です。

 

土地の特徴を理解し、家のタイプを決め、家族構成やライフスタイルに合わせた部屋の機能を考えることから始めていきましょう。実際に間取り図を作る方法としては、伝統的な手書きや、より簡単かつ正確に作成できるアプリを使用する方法などがあります。

 

ハウスメーカーへの相談前にこれらの基本を理解しておくことで、より効果的な家づくりができるようになるでしょう。

 

 

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