注文住宅を購入する際の手付金の相場は?払えない時の4つの対処法も解説!
注文住宅の購入を検討するなら、事前に手付金の相場を知っておくことが大切です。手付金の額に驚くかもしれませんし、場合によっては支払いが困難になるかもしれません。
この記事では、注文住宅を購入する際の手付金の相場を明らかにし、もし手付金を支払えない時にどう対処すれば良いのか、実用的な対処法を紹介します。
目次
注文住宅の手付金の概要と相場
注文住宅を購入する際には、まず手付金の準備が必要です。しかし、手付金の相場はどれくらいなのでしょうか。
ここでは、注文住宅の手付金の基本的な概念と、現在の市場での相場を詳しく説明します。
手付金の役割
手付金は、売買契約の成立を意味し、契約の意思表示を形成する重要な要素です。
買主が手付金を支払うことは、購入意向の真剣さと、契約条件を受け入れる準備ができていることを示しています。一方、売主が手付金を受け取ることは、不動産を買主に売却する意向を明らかにし、買主からの別の提案を断る意思を示すことにもつながるでしょう。
手付金の金額は、最終的な販売価格の一部であり、売買が完了する際に売主に支払われます。この手順は、買主・売主にとって信頼と透明性をもたらし、契約の条件を明確にし、将来的なもめ事の可能性を減らします。
解約手付
解約手付は、売買契約の成立後に、特定の条件下で契約を解除できるようにするための重要な制度です。この制度は、売主と買主が予期できない事情や変化に対応する柔軟性を持たせることを目的としています。
具体的には、買主が解約を望む場合、既に支払った手付金を放棄することで、契約をペナルティなく解除することが可能です。一方、売主が解約を望む場合には、手付金の2倍の金額を買主に支払うことで、契約を解除できます。
違約手付
違約手付は、売買契約における重要な手付となり、契約違反が生じた際に特定の違約金が発生することを定めるものです。これには、債務不履行のリスクを軽減し、契約の信頼性と安定性を保持する目的があります。
違約手付の制度がある契約で買主が契約に違反した場合、既に支払った手付金の額を違約金として支払うことになるでしょう。一方、売主が契約に違反した場合は、手付金の2倍の違約金を買主に支払う責任が生じます。
証約手付
証約手付は、売買契約が正式に成立したことを証明し、契約の信頼性を保証する役割を果たします。買主が売主に対して一定の手付金を支払うことで、買主の購入意向の真剣さを明示し、同時に売主も不動産を買主に提供する意向を確認します。
証約手付は、買主が契約条件を受け入れ、売主がその条件に基づいて行動する意向を持っていることを示す証拠となるでしょう。これにより、買主・売主は互いの意向を明確に理解し、契約の各条項に対する共通の認識を持つことができます。
手付金の相場
注文住宅の購入において、手付金は物件価格の5~10%が相場とされています。
金額は不動産会社(売主)によって異なる場合があり、一部の不動産会社では交渉により手付金の額を下げることが可能です。交渉により手付金の額を調整できる可能性があることは、資金繰りに制約がある買い主にとっては大きなメリットとなるかもしれません。
しかし、手付金をゼロにしてしまうと、契約を破棄したくなった際にトラブルが発生する可能性が高まります。手付金は通常、買主と売主との間での契約の確認と信頼を築く手段となります。手付金がない場合、契約の破棄や変更が生じた際の損害賠償の範囲や責任の所在が明確ではなくなる可能性も出てくるでしょう。
手付金0円を提示された場合でも、その後の契約関係や業者との信頼関係を慎重に考慮し、検討することが重要です。
契約解除して手付金は返ってくるのか
契約の解除に関連する手続きは、買主と売主の間で異なる責任と条件を定めています。
買主が手付を放棄し、契約解除をすることを「手付流し」といいます。これは、先述した通り、買い手が既に支払った契約金(手付金)を放棄することを意味し、これにより一方的な契約キャンセルに対する違約金の役割を果たします。
一方、売り手からの契約解除のケースでは「倍返し」という原則が適用されます。具体的に発生するのは、売り手は買い手に対して、支払われた契約金(手付金)の倍の額を返金する責任です。
これは主に、売り手が契約違反を起こし、その結果として売買契約を解除する必要が生じた場合に適用されます。例えば、引き渡し日を守らないケースや、契約時と建物の状況が異なるなどのケースが該当します。
注文住宅で手付金がかかるタイミングとは
注文住宅の購入プロセスは複雑で、手付金の支払いタイミングも重要なポイントとなります。ここでは、契約の段階から建設中、そして完成時までの間に手付金がどのように関与してくるのかを明らかにします。
正しいタイミングで手付金を準備することで、予期せぬトラブルを避けることができるでしょう。
土地を購入したタイミング
土地の購入は、将来的な住居や事業の基盤となる重要な投資となるため、慎重に進める必要があります。
まず、購入する土地の選定と検討をしましょう。この段階では、土地の立地や面積、価格、そして法律や規制による制約などを詳細に調査し、必要に応じて専門家の意見を求めることも重要です。
選定した土地に対して売買契約を結ぶ際には、手付金の支払いが求められます。最終的に土地の引き渡し時には、残代金を清算し、この時点で土地の所有権が正式に移転されます。
土地の購入プロセスは法律的な手続きや金銭的な取引が多く含まれるため、事前の準備と正確な理解が重要で、適切なアドバイスを受けながら進めるのがおすすめです。
建物の新築工事のタイミング
住宅建築のプロセスは、多くのステップと詳細な計画が求められます。まずは信頼できるハウスメーカーの選定が重要であり、その後に建築プランの作成が続きます。
プラン作成には、家のデザインや間取り、材料の選定などが含まれ、これに基づいて新築の工事請負契約の締結が必要です。契約締結時には手付金や契約金の支払いが求められ、これはプロジェクトの正式な開始を意味します。
着工に際しては、さらに着工金の支払いが必要となり、このタイミングで地盤工事や基礎工事が始まります。上棟時には家の骨組みが完成し、中間金もしくは上棟金の支払いが必要です。
これに続いて内外装の工事や設備の設置などが進められ、最終的に家が完成し引き渡しとなります。引き渡し時には、最終金もしくは残代金の清算が行われ、ここでプロジェクトは完了となります。
注文住宅の手付金が支払えない時の4つの対処法
万が一手付金が支払えなくなったらどうすればよいのでしょうか。ここでは、手付金の支払いに困った時の対処法を4つ紹介します。
対処法を知っておくことで、購入プロセスを安心して進めることができるでしょう。
つなぎ融資を検討する
つなぎ融資は、住宅購入や建築プロジェクトを進める際に、住宅ローンの融資が実行されるまでの一時的な資金繰りをサポートする重要な金融サービスです。この融資の仕組みを利用することで、土地の残代金支払いから建物の上棟までの費用を効率的にカバーできます。
また、多くのハウスメーカーや工務店は特定の金融機関と提携しており、これらの提携金融機関を利用することで、つなぎ融資の審査がさらにスムーズに進行できるでしょう。
つなぎ融資は、住宅ローンの融資実行時に一括で返済する仕組みであるため、借入期間中に支払うのは利息部分のみとなります。これにより、特に工期が短いプロジェクトや、住宅が完成するまで賃貸住宅に居住している場合でも、月々の家賃と併せての支出が大きく圧迫されることがありません。
このように、つなぎ融資は住宅購入における資金面での安心と柔軟性を提供してくれます。
分割融資を検討する
分割融資は、住宅購入における資金調達をスムーズに進行させるための方法であり、住宅ローンを複数回に分けて融資実行する特徴を持っています。
この方式は、つなぎ融資とは異なり、住宅ローンだけで資金の調達が完結し、契約手続きも一度で済むため、手続きの手間や時間を削減することができます。分割融資の利用に際しては、通常の住宅ローンと同様に金融機関の審査が必要です。
この審査の過程では、建築プランや建築費用を明確にし、それを基に融資の審査を依頼することが重要です。
分割融資を利用する際には、土地代と建物代の2つに分けて融資を受けることも可能であり、それぞれの段階で住宅ローン契約を行います。具体的には、土地購入時には土地に抵当権が設定され、その後建物購入時には新たに建物に抵当権が設定されます。
このように、分割融資は資金調達の柔軟性を高め、購入者の資金計画をサポートするための有効な選択肢となるでしょう。
価格交渉を試みる
つなぎ融資や分割融資は、土地や住宅の購入における資金調達の選択肢を提供しますが、これらの方法でも土地購入時の手付金は自己資金で準備する必要があります。
融資の手続きは土地購入契約の締結後に進行するため、借入金を利用できるのは最短で土地の引き渡し時からとなります。
土地購入時の手付金の支払いが困難な場合、売主との間で手付金の減額交渉を試みることが一つの解決策です。手付金の額は売主と買主の合意により設定されるため、交渉により減額する可能性があります。
ただし、手付金は契約の確認と買主の購入意向を示す重要な役割を果たすため、大幅な減額交渉はリスクを伴います。通常、売買代金の5〜10%が手付金の相場とされていますが、手付金の額があまりにも低すぎると、売主から買主への不信感を生む可能性があるでしょう。
手付金の額が低いと、契約解除がしやすくなる一方で、売主との信頼関係の構築や契約の安定性に影響を与える可能性があるため、減額交渉を行う際は慎重に進めることが重要です。
減額交渉を行うことで一時的な財政的負担を軽減できるかもしれませんが、それが将来的な売買契約の安定性や信頼関係にどのように影響するかを慎重に考えましょう。
親戚などから購入費用を借りる
手付金の支払いに困った際、親や祖父母、親戚から資金を借りることも選択肢の一つです。
この方法を利用すると、手付金支払いのタイミングで必要な資金を確保できます。
手付金は最終的に売買代金に充当されるため、住宅ローンが承認され次第、借りた金額を返済する約束を事前に取り決めておくことが重要です。親戚間での資金のやりとりであっても、トラブルを避けるために借用書を作成し、明確な返済計画を共有しておくことが推奨されます。
さらに、親や祖父母からの資金提供については、贈与税の非課税措置を利用することで税負担を軽減することが可能です。しかし、その他の親族からの借入には注意が必要で、年間110万円を超える貸借については贈与税が課税されます。また、利息を設定しないと贈与とみなされる可能性があります。
この点を考慮し、適切な利息率を設定し、または贈与税の影響を理解した上で資金提供を受けるようにしましょう。
注文住宅の手付金を支払う時の3つの注意点
手付金の支払いは、住宅購入における重要なステップです。
ここでは、手付金を支払う際に注意すべき3つのポイントを解説します。これらのポイントを把握しておくことで、後でトラブルに巻き込まれるリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
現金で用意する必要がある
土地の売買契約と工事請負契約において、契約の際には現金(ローンではなく一括での振込支払)での手付金の支払がもとめられるのが一般的です。
工事請負契約の段階では、つなぎ融資や分割融資といった融資オプションを利用して手付金を支払うことも可能です。しかし、土地の売買契約の際には、通常は自己資金を用意する必要があります。
不動産購入において頭金0円でフルローンを利用することは可能でも、自己資金0円では手付金の支払いができないため、契約が困難になる恐れがあります。
このように、注文住宅を建てる過程においては、各契約段階での手付金の支払い方法と自己資金の準備が重要です。これらを念頭に置いて資金計画をしっかりと立てることが、スムーズな契約につながります。
融資条件をしっかりと確認する
売買契約を締結する際、契約書に記載されている融資利用の特約を慎重に確認することが重要です。
通常、売買契約書には「融資が否認された場合には契約を白紙解除する」などといった条項が含まれており、これは住宅ローン特約と呼ばれています。この特約は、購入者が住宅ローンの審査に通らなかった際に、契約を無効にする保護措置となっています。
住宅ローン特約が含まれていない場合、住宅ローンの審査が通らなくても、工事契約を進行させる法的義務が生じる可能性がある点には注意しましょう。売買契約を締結する前に、契約書を注意深く確認し、住宅ローン特約があることをしっかり確認しておいてください。
もし不明点や疑念がある場合には、法律の専門家に相談し、契約書の内容を完全に理解した上で契約に進むことが重要です。
解約条件をしっかりと確認する
売買契約の中で、特定の期間内や相手方が契約の履行に着手するまでの間に「手付金を放棄することで契約を解約することができる条項」が設けられていることがあります。
しかし「履行に着手する」という表現の具体的な意味を理解していないと、後になってトラブルになりかねません。履行に着手するとは、一般的に、売買契約に基づく建物の引き渡しや所有権の移転、さらには建物を建築するための資材の発注や工事の開始などを指します。
これらの活動が始まると、契約の履行が進行中であると見なされ、この段階を超えて契約を解約しようとすると損害賠償の請求を受ける可能性が高まります。
契約を締結する際には、どの段階までであれば手付金の放棄により契約を解約できるのかを明確にし、それが契約書に明記されていることを確認することが重要です。
まとめ|注文住宅を購入する際の手付金の相場を把握しておきましょう
注文住宅の購入は多くの方にとって大きな決断であり、手付金の支払いはその重要なステップの一つです。
手付金は契約の確約として機能し、その相場は通常、購入価格の5~10%です。契約解除の際に手付金が返却されるかは契約内容に依存し、手付金の支払いタイミングは、土地の購入と建物の新築工事の際に分かれます。
土地の購入時には土地代の一部として手付金が必要となり、新築工事の際には建物費用の一部を手付金として支払うことが求められます。手付金が支払えない時は、この記事で紹介した対処法を検討しましょう。
つなぎ融資や分割融資の検討、価格交渉、または親戚からの購入費用の借り入れが考えられ、これらの方法を通じて、手付金の支払い問題を解決することが可能です。手付金を支払う際には、現金での準備が必要であり、融資条件と解約条件をしっかりと確認することが重要です。
これらのポイントを把握することで、注文住宅の購入をスムーズに進め、将来的なトラブルを避けることができるでしょう。
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