マイホームを建てると離婚する?離婚率が高いと言われている5つの理由とは
「マイホームを建てた途端、夫婦関係に亀裂が…」こんな噂を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。この説が本当のところどうなのか、そして、なぜ新しい家が夫婦の間に突然の波乱をもたらすのか、その背後にある6つの意外な理由を徹底解説します。
読み進めるうちに、マイホームを夢見るご家庭が直面する現実と、幸せな家庭生活を維持する秘訣が明らかになります。
目次
マイホーム購入後は本当に離婚率が高くなる?
家を建てた後、夫婦間の関係はどのように変わるのでしょうか。多くのご家庭がマイホームを持つことの夢を追い求めますが、実際にそれを手に入れた後のリアルな結果については、一般的な知識としてはあまり知られていません。
ここでは、新しい家を持つことが夫婦間の関係や離婚率にどのように影響を与えるのか、実際の統計や専門家の意見を基に探っていきます。
また、家を持つことによる夫婦間のストレスや対立の原因にも焦点を当て、その背後にある理由や解決策についても考察します。
離婚率は減少している
厚生労働省が公表した令和3年度の統計データによれば、その年の日本の婚姻件数は約50万組でした。この数字は前年よりも減少していることが明らかとなっています。
一方、離婚についても、前年の約19万組から約18万組と、約1万組もの減少が確認されました。これらの数値を素直に受け取ると、全体の約36%が離婚しているかのように感じられます。
しかし、この解釈は少し誤解を招く恐れがあります。なぜなら、この離婚件数には新婚のご家庭だけでなく、令和3年より以前に結婚した多くの夫婦も含まれているからです。
実際のところ、離婚率は全人口の中での割合として考えると、1,000人当たり1.50%との評価がなされています。この数字は、日本の社会における結婚と離婚の実態をより正確に示していると言えるでしょう。
マイホームブルーが原因で離婚になることもある
マイホームを手に入れることは多くの方々の夢ですが、その実現に伴う「マイホームブルー」が離婚の原因となることもあるようです。
「マイホームブルー」とは、マイホーム購入の前後で心のバランスが乱れてしまう現象を指します。この状態は、結婚前後に起こる情緒の不安定さを表す「マリッジブルー」と似ています。
「マイホームブルー」の主な原因として、以下の3点が挙げられるでしょう。
まず、住宅ローンの返済が始まると、金銭的なストレスが増加し、それに伴い精神的な余裕を失うことがあります。
次に、賃貸住宅とは異なり、自宅への投資が大きいため、簡単に引っ越しを決断できないことから、マイホームに縛られているような感覚が生まれやすいです。
そして、新しい家に実際に住んでみると、以前は気にならなかった間取りの不便さや、使い勝手の悪さが目立つことがあります。
このような精神的なプレッシャーが続くと、夫婦間のトラブルや離婚に繋がることもあります。だからこそ、マイホーム購入を検討する際は、こうした問題を回避するための工夫や準備が不可欠です。
マイホーム購入後に離婚率が高くなると言われている5つの理由
家を持つことは多くの喜びをもたらしますが、同時に様々な問題も引き起こす可能性があります。この部分では、マイホームを持つことで夫婦間に生じる可能性のある5つの主要な問題点を詳しく解説していきます。
資金面での問題や予想外のトラブル、家の維持やリフォームに関する意見の対立など、さまざまな要因が夫婦間の関係に影響を与えることが考えられるでしょう。
夫婦間で価値観が異なる
マイホーム購入は、多くの家庭にとって一生に一度の大きな投資となるため、その選択には慎重な議論と計画が求められます。夫婦やパートナー間で理想の家を持つ夢は共有されているかもしれませんが、具体的な希望や条件については話し合う必要があります。
例えば、戸建ての一軒家を求めるか、都心部の利便性を持つマンションを選ぶか、それとも通勤や通学の便を最優先するか、さらには、間取りや内装の好みも考慮する必要があるでしょう。
しかし、こうした話し合いの中で、双方が譲れないポイントや強く希望する点が出てくると、意見の不一致から言い争いへとエスカレートすることも少なくありません。
長引く意見対立は、関係の亀裂を生む可能性があり、最悪の場合、夫婦間の絆が損なわれ、離婚という痛切な結果を招くことも考えられます。このような事態を避けるためには、お互いの価値観や希望を尊重し、柔軟な対応が必要です。
住宅ローンの返済が困難になる
マイホームの購入は多くの方々にとっての夢であり、実現のために住宅ローンを利用する方がほとんどでしょう。
しかしその過程で、初めての経験として頭金の準備や月々の返済額、さらには不動産取得税や固定資産税といった、予想以上の費用が発生することがあります。これらの経済的なプレッシャーは、夫婦間や家族内での関係にも影響を与えることがあります。
細かい出費に関する話題や、突如として必要となる追加の費用が原因で、些細なことから喧嘩が起こることも少なくありません。さらに、住宅ローンを組む際の計画段階で考慮しきれなかったライフイベント、例えば転職や子供の誕生などが生じると、家計の収支のバランスが一気に崩れることがあります。
このような状況下での経済的なストレスは、夫婦間の関係に大きな影響を及ぼすことが知られています。そのため、マイホーム購入を検討する際は、将来のリスクも含めた計画をしっかりと立てることが重要です。
親との同居
マイホームの購入をきっかけに「夫婦どちらかの親と同居するのか、しないのか」といった議論が起きることがあります。
現代の多くの夫婦にとって、義両親との関係は、特定の機会や祝い事で顔を合わせる程度というパターンが一般的でしょう。このような関係性から、日常的に親と一緒に同居することには、一筋縄ではいかない面が多くあります。
結婚当初から将来の同居について話し合っていた夫婦ならば、その過程がスムーズに進むことも考えられます。
しかし、マイホーム購入を機に同居を検討するようになった場合、それまでの関係性や生活リズムが大きく変わることから、予想外のトラブルや摩擦が生じることも少なくありません。
このような状況は、夫婦間の関係にも悪影響を及ぼす可能性があるため、同居を前提としたマイホーム購入を検討する際には、しっかりとコミュニケーションを取ることが不可欠です。
夫婦のどちらかがマイホーム購入に協力的ではない
マイホーム購入は、多くの家庭での大きな夢であり、夫婦双方がその意志を共有している場合、比較的スムーズに話し合いを進めることができるでしょう。
しかし、一方が主導して購入を進めるケースでは、もう一方が積極的に関わろうとしないことがあります。
マイホームの購入には複雑な手続きや多数の必要書類、さらには融資の手配や契約の交渉など、想像以上の作業が伴います。このようなプロセス全体を一方のパートナーに任せきりにすると、その負担感や「何故自分だけがこんなに」というストレスや不満が蓄積されることもあるでしょう。
こうした感情の蓄積は、日常の小さなことから大きな喧嘩の原因となることも多く、夫婦関係にも影響を及ぼす可能性があります。
そのため、マイホーム購入の際は、夫婦双方が負担や役割を共有し、コミュニケーションを密に取ることが大切です。
個室ができたことで夫婦のコミュニケーションが減った
マイホーム購入は、生活の質を向上させる一方で、夫婦間のコミュニケーションの質にも影響を及ぼすことがあります。
特に、マイホームで部屋数が増加し、それぞれに専用のスペースや書斎を持つようになると、プライバシーが保たれるのは良いものの、夫婦で楽しい時間を共有することが減ってしまいます。
例えば、夫が趣味の部屋で音楽を楽しむ時間が増えたり、妻が自分の書斎で読書や趣味に没頭することが多くなると、日常的な会話や一緒に過ごす時間が少なくなりがちです。
このようなすれ違いの生活が続くと、夫婦間の絆や理解が希薄になり、微細な摩擦や誤解が積み重なっていく可能性があります。
長期的には、このような状況が夫婦関係の冷却や距離感を生む要因となり、最悪の場合、離婚を考えるきっかけとなることもあります。新しい生活スタイルを築く際には、お互いのプライベートな時間だけでなく、夫婦で過ごす時間のバランスを保つことが重要です。
マイホーム購入後に離婚する際の2つの対処法
残念ながら、マイホーム購入後に離婚を考える家庭も少なくありません。しかし、そのような困難な状況に直面した時には、どのように対処すれば良いのでしょうか。
ここでは、離婚を検討する家庭が取るべき2つの主要な対処法を詳しく説明します。
売却
離婚を経て、共有していたマイホームの売却を考えるケースは少なくありません。
しかし、家を売る際には、住宅ローンの残高や抵当権の存在など、多くの要因が影響します。住宅ローンを組んで家を購入すると、その住宅に対して金融機関が抵当権を持つこととなります。抵当権は、ローンの返済が滞ると、金融機関がその住宅を処分することができるという意味です。
この抵当権が存在する間、家の売買は実質的には行えません。そのため、マイホームを売却する場合、その売却代金を使ってまず住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。
しかし、市場価格の変動や物件の評価額によっては、売却代金だけではローンを完済できない場合も考えられます。そのような場合、差額は売却者の負担となり、自らの資金で返済を完了させる必要が生じるのです。
住み続ける
購入したマイホームに住み続ける選択肢もあるでしょう。しかし、「単独債務」なのか「連帯債務」なのかによって、対処法がことなります。それぞれ見ていきましょう。
どちらかの単独債務の場合
まずは、住宅購入時、全額を一人の名義で借り入れる「単独債務」のケースです。
例えば、夫が全額の住宅ローンを名義に持つ場合、その後も夫が該当の住宅に居住するならば、特に問題は生じません。しかし、夫の名義でのローン契約にも関わらず、将来的に妻や子供がその家に住む場合には、注意が必要です。
一部の住宅ローン契約には「債務者自身が当該住宅に居住する」という条件が盛り込まれていることがあり、夫以外の家族が住む場合、契約に違反する恐れが出てきます。このような状況での対応策として、ローンの借り換えを行い、債務者の名義を変更する手続きが考えられます。
さらに、契約上の条件に関係なく、返済に関するトラブルや将来的な相続の際の問題を未然に防ぐため、積極的に名義の変更を検討するのがおすすめです。これにより、家族間のトラブルを避け、安心して生活を続けることができます。
夫婦共有の連帯債務の場合
連帯債務という形で住宅ローンを組む場合、夫婦双方が共同で責任を持つ形となりますが、これには特有の課題があります。例えば、離婚などで債務者を連帯債務から単独債務に変更したい場合、その過程は単純ではありません。
まず、変更を行う前に、ローン提供者である金融機関の承諾を取る必要があります。しかし、連帯債務でのローンは夫婦の合算収入に基づいて認められているため、単独債務に変更すると返済能力が大きく変わる可能性がある点には注意が必要です。
具体的には、合算収入が半分に減少すれば、金融機関は返済能力が不足すると判断し、変更の承諾を与えないことも考えられます。その際、夫婦双方は離婚後もローンの返済義務を持ち続けることとなります。
返済が困難な場合は、資力を持つ第三者を新たな連帯債務者や保証人として設定する必要があるでしょう。また、夫婦のどちらかが返済を怠った場合、金融機関からは双方に対して返済を求められることも予想されます。
離婚後にマイホームを売却する際の5つの注意点
離婚後、共有の家をどうするかは、多くのご家庭にとって大きな課題となります。特に、共有資産としての家を売却する場合、多くの注意点や落とし穴が存在します。
この部分では、離婚後の家の売却をスムーズに進めるための5つの主要な注意点を紹介します。
財産分与を行うのは離婚後
マイホームは多くの夫婦にとって大きな資産の一部ですが、離婚が決まった場合、その資産の取り扱いが課題となります。
離婚を前にしてマイホームを売却し、その売却資金を分け合う選択が考えられる一方、その際には税金の問題に注意が必要です。
具体的には、離婚前に家を売却して得た現金を分け合うと、その収益に譲渡所得税が課せられる可能性が高まります。これは、資産の売却益に対する税金として国に支払うものです。
一方、離婚後に家を売却して売却資金を分ける場合、この取引は「財産分与」として扱われるため、譲渡所得税は発生しません。この違いを理解し、最も経済的に有利で公平な方法でマイホームの資産を分け合うことが、離婚を迎える夫婦にとって重要なポイントとなります。
複雑な名義変更をしない
住宅ローンの名義変更は、一見シンプルに思えるかもしれませんが、実際には多くの課題が伴います。
金融機関は、ローンの債務者が返済を継続できるかどうかを厳格に審査します。この審査は、債務者の経済状況や収入、信用履歴など多岐にわたる情報を基に行われます。
このため、例えば収入が不安定であったり、信用情報に問題があったりする場合は、金融機関から名義変更の承認が得られないこともあるでしょう。特に、住宅ローンの債務者と実際にその住宅に居住する方が異なる場合、金融機関はそのリスクを高く評価し、名義変更の承認が難しくなる可能性が高まります。
このような状況下では、住宅を現金化して売却するのが最も現実的な選択となるでしょう。
売却によって得られた資金でローンを完済し、残りの金額を再度の生活のための資金として使用することが考えられます。
連帯保証人の変更ができない
住宅ローンのペアローンなどは契約時に連帯保証人を設定することは一般的ですが、この連帯保証人の役割は、ローンが完済されるまで続き、途中で変更することは原則として許されません。
離婚の際、連帯保証人としての役割が続くと、これが後々の問題の原因となることもあります。具体的には、もし債務者がローンの返済を怠った場合、連帯保証人はその残金の返済責任を負うことになります。
離婚後も連帯保証人の役割が継続していると、このような返済の義務が発生し、元夫婦間で新たなトラブルの原因となることもあるでしょう。
このようなトラブルを未然に防ぐ最も確実な方法は、物件を売却してその売却代金で住宅ローンを完済することです。これにより、ローンの返済義務がなくなるため、連帯保証人としてのリスクも消滅します。元夫婦間の将来的なトラブルを避けるため、物件の売却を検討すると良いでしょう。
オーバーローンに注意
オーバーローンは、資産としての家の価値が住宅ローンの残債を下回ってしまう状態を指します。この状態で家を売却すると、得られる売却代金だけではローンの残金を返済することができなくなります。
ちなみに、アンダーローンはオーバーローンの反対で、売却代金だけで住宅ローンを完済できるような状態を指します。この状態であれば、売却後に余剰金が残ることもあり得ます。
オーバーローンの状態で、自分の貯蓄や他の資産を使ってローンの不足分を補填できれば、特に問題はありません。
しかし、そのような資金がない場合、任意売却という手段を検討することになります。任意売却とは、金融機関と相談して住宅を売却し、その代金でローンの一部を返済する方法です。
ただし、オーバーローンで住宅ローンの支払いが滞った場合、金融機関の信用情報に記録が残るため、将来的に新たなローンを組む際にネガティブな影響を受ける可能性があります。
不動産会社の選定
離婚を背景にしたマイホームの売却は、単なる家の売却とは異なり、より複雑な手続きや感情的な要因が絡むため、注意が必要です。
こうした状況では、信頼できる不動産会社に売却を依頼することが重要です。経験豊富な不動産会社は、離婚を背景にしたさまざまなケースでの売却経験があるため、適切なアドバイスやサポートを受けることができます。
特に、離婚協議中は心理的にも負担が大きくなりやすいため、親身になって相談に乗ってくれる不動産会社との関係性が非常に重要です。
まとめ|マイホーム購入により離婚しやすくなるとは限らない
「マイホームを建てると離婚しやすくなるのかどうか」については、現在の離婚率は減少していますが、マイホーム購入後の「マイホームブルー」などが原因での離婚も十分考えられます。
購入後に離婚率が高くなる理由として、価値観の違いや住宅ローン返済の困難、親との同居、マイホーム購入への協力的でない態度などの様々な要因が挙げられます。
離婚が決まった際の対処法として挙げられるのは、家を売却するか、住み続けるかの選択肢です。ただし、離婚後の家の売却には、財産分与のタイミングや名義変更の複雑さ、連帯保証人の問題などの注意点があるため、不動産会社などの専門家に相談しましょう。
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