注文住宅で現金はいくら必要?費用を抑える方法


注文住宅を建てる場合、費用の大半は住宅ローンで支払う方が多いと思います。

 

しかし、実際に注文住宅を建てるにあたって現金でなければ支払えない費用もあります。近年ではクレジット決済などキャッシュレスが進んでいますが、現金でないと支払いができないものもあるので、現金を準備しておく必要があります。

 

今回は、注文住宅を建てるうえで必要な現金がいくらなのかについて解説します。注文住宅を建てるにあたって、必要な現金はいくらなのか知っておきましょう。

 

 

注文住宅を建てるときにかかる総費用のうち必要な現金

注文住宅を建てるときには、本体工事費、水道工事費、外構工事費、その他施工費、土地代金といった費用がかかりますが、一括で全額支払うわけではなくて、複数回に分けて支払います。

 

総額の約10%は現金として手元に持っておくことがいいとされています。

 

総額の10%というのは、ローンや融資で全額を支払うことがむずかしかったり予期せぬ出費が発生したときに補填するために必要な資金になります。

 

 

住宅ローンに組み込めずに現金で支払いが必要な費用

家具・家電購入費用

新築の家に引っ越しするときに考えなくてはならないのが、家具や家電の購入です。

 

家具や家電の価格は製品やメーカーによりますが、一人暮らしの場合の相場は約20~30万円とされています。

 

ゼロから家電や家具を揃えたり、家電や家具を買い換えたりすることを含めれば、相場以上の費用がかかることが想定されます。

 

引っ越し費用

引っ越しの費用については、距離や時期によって料金が変動します。たとえば忙しい期間である3月から4月にかけては料金が高くなることもあります。

 

また、運送距離が長いほど費用も増える傾向にあります。したがって、引越しに必要な費用を事前に把握しておくことが大切です。

 

固定資産税・都市計画税

注文住宅を建てる場合、固定資産税と都市計画税も予算に組み入れておく必要があります。

 

固定資産税と都市計画税は住宅購入者が毎年支払う義務のある税金で、建物や土地の評価額や地域によって異なります。固定資産税は土地や建物を持っている方が負担し、都市計画税は市街地への開発費用になります。

 

税金の計算方法は、固定資産の評価額に税率を掛けることで得られます。評価額は3年ごとに見直され、直近の評価額は各市町村の役所で確認できます。

 

住宅ローンに含めることができる諸費用

仲介手数料

仲介手数料は、不動産業者が買主と売主との間で契約を助けてくれる仲介役としてサポートしてくれる分の手間賃として支払うものです。

 

不動産業者の仲介手数料については、金融機関によって住宅ローンに組み込めるかが異なります。仲介手数料を住宅ローンに組み込む場合は、各金融機関に確認するようにしましょう。

 

仲介手数料の金額については、物件価格が400万円を超える場合、物件価格の3%に6万円と消費税を足したものが上限とされています。
たとえば3,000万円の注文住宅の購入において、仲介手数料は105万円になるとされています。

 

地盤調査費用

調査方法としてよくおこなわれるSWS試験は、約5万円~10万円の費用がかかるとされています。

 

一方、「ボーリング調査」は25~30万円程度が必要になります。地盤調査の結果、もし地盤改良が必要だと判明した場合は、別途、50万円~100万円程度の費用が発生する可能性があります。

 

敷地の広さや建物の設計内容により、地盤調査の費用は変動します。

 

登記費用

登記費用とは、家を買ったときに所有者が自分であることを明らかにするために法務局で必要な登記をおこなうのにかかる費用です。所有権移転登記、所有権保存登記、抵当権設定登記をおこないます。

 

登記の手続きは専門的な知識を必要とするため、多くの場合は司法書士に依頼します。
依頼料は、所有権移転登記は5万円~10万円程度、所有権保存登記は20万円程度、抵当権設定登記は2万円~7万円程度とされています。

 

地盤改良費用

理想としている設計図や素材を使った建物であっても、地盤が弱いと倒壊の危険性が生じてしまいます。
倒壊の危険性を未然に防ぐために必要なのが、地盤改良工事です。工事の費用については地盤改良の工法によって変動します。

 

たとえば、30坪の土地の場合、深さ2メートルほどの土を掘り出し、セメントを混ぜて固める表層改良工法をおこなう場合は約30~50万円、柱状にセメントを注入する柱状改良工法では約50~80万円かかるとされています。さらに、鋼管杭工法では約100~180万円と高額な費用が必要になります。

 

水道負担金

水道負担金は、新たに水道を使うことによって水の供給量を確保するために、必要な水道施設の拡張整備にかかる費用のことです。

 

水道負担金は一律に定められているわけではなく、自治体ごとで規定が異なることが特徴です。

 

負担金を一切求めない自治体もあれば、20ミリの口径でも30万円程度の負担を求める自治体もあります。

 

火災保険料

火災保険に加入していると、住宅が火事や落雷によって火災や爆発事故が起きたり、台風や突風、竜巻などの強風によって住宅が被害を受けたときに補償してもらえます。

 

火災保険料には複数のプランがあって、プランによって契約期間や自己負担額で保険料が変わります。

 

注文住宅を建てるときに現金の支払いが発生するタイミング

土地探し・業者探し

注文住宅を建てるにあたって、まず土地と施工業者を見つけることから始める必要があります。
間取りや外観、内観にこだわりたい場合、同時期にハウスメーカーや建築家、設計事務所に間取り設計を依頼する必要があります。
契約を結んでから打ち合わせ等を進めることになりますが、建築家の場合、多くのケースで、設計費の60%程度を2回に分けて支払うケースが多いです。

 

土地売買契約・工事請負契約

土地を購入するときには、売買代金の5%~10%を手付金として支払わなければいけません。

 

手付金はあなたの購入意志の証明となり、契約の証明になります。同時に、不動産会社への手数料や、売買契約書の印紙代も支払うことになります。

 

次に、注文住宅の工事請負契約をおこなうときにも現金が必要になります。建築についての細かな計画が固まった後、工事をおこなう業者と請負契約を結びます。

 

地盤調査

間取りが決まったら、地盤調査を申し込んで現地で地盤調査をおこないます。
地盤調査には、スウェーデン式サウンディング試験、スクリュードライバーサウンディング試験、ボーリング調査、表面波探査法それぞれ種類があり、費用がことなります。

 

調査の結果、地盤を固く補強するための工事が必要な場合は、別途費用がかかります。費用は調査結果によってことなりますが、30万円以上はかかる可能性があります。

 

調査種類 費用
ウェーデン式サウンディング試験 5万円~10万円
スクリュードライバーサウンディング試験 8万円~15万円
ボーリング調査 15万円〜30万円
表面波探査法 8万円~12万円

建築確認申請

建築確認申請は、新しい家が法律に適合していることを確認するための審査で、自治体または指定確認検査機関に申請を提出する必要があります。審査に通れば、検査済証が発行され工事の着工が許可されます。

 

着工

地鎮祭をおこなう場合、費用がかかります。近隣への挨拶も同じタイミングでおこなうことが多く、手土産の購入費用がかかります。

 

上棟

上棟とは、家の骨組みが完成した次に屋根の支えとなる棟木を取り付ける工程のことで、家の安全性を願って上棟式を開くケースがあります。

 

上棟式は棟木に幣束と呼ばれる飾りをつけ、建物の四隅に塩やお米、お酒などを撒くことで家が長く住めるように祈ります。

 

上棟式は棟木を取り付ける工程が無事に完了したことを感謝し、家が完成するまで無事に工程が進むことを祈願するためのもので費用がかかります。

 

住宅ローン契約

契約のときに手数料や、金銭消費貸借契約書に貼付する印紙代が必要になり、契約時点ではローンを組んでいないことになるので現金での支払いが求められます。

 

手数料がローンに含まれるかは金融機関によって異なるので、手数料を現金で用意する必要があるか契約前に確認しておきましょう。

 

引き渡し

注文住宅が完成したら建物を引き渡しますが、引き渡しをおこなうときには現金支払いが必要になります。

 

家を受け取るタイミングで、売買代金の残り部分を支払う残金決済をおこないます。売買契約が結ばれた時点では手付金のみの支払いとなっているので、引き渡しがおこなわれるタイミングで残りの売買代金を支払わなければいけません。

 

あわせて、不動産会社への仲介手数料や、登録免許税や司法書士への報酬についてもこのタイミングで支払います。

 

また、引き渡し直前には新居のカーテンや照明などの設置、引っ越しの手続きなど速やかに新居に引っ越せるように準備しておく必要があります。素早く引っ越せれば、仮住まいとして利用している建物に支払う費用を抑えることができます。

 

引き渡しにおける公共料金や生活設備、引越し費用などを踏まえて計画的に現金の準備をしておくことが大切です。

 

不動産登記にかかる費用は、登録免許税と司法書士への依頼料です。登録免許税については、土地の場合は「土地の評価額(価格)×2%」となり、新築住宅の場合は「評価額×0.4%」で計算できます。

 

また、司法書士への依頼料もかかります。報酬として10万円~15万円程度を支払うことになります。

 

注文住宅を購入するときに必要な現金の支払いを抑える方法

諸費用も住宅ローンに組み込んで現金支払いを減らす

注文住宅を購入するにあたって、手続きや契約における手数料や仲介手数料などの諸費用は現金で支払うのが一般的とされています。

 

しかし、いくつかの銀行では諸費用を住宅ローンに含めることができる可能性もあり、現金の手持ちが少ない方でも諸費用を住宅ローンに組み込むことで初期費用の負担を減らすことができます。

 

ただし、諸費用を住宅ローンに含めると住宅ローン全体の返済額が高くなります。住宅ローンには金利が付くため、元々の諸費用以上の金額を返済することになる可能性があります。

 

登記の手続きを司法書士に依頼せずに自分でする

司法書士に登記の手続きを依頼すると、登記手続きのソフトウェアを用いて書類作成をしたり申請の代行などをすべておこなってくれますが、手数料が発生します。

 

登記手続きにおける費用を抑えるためには、自分で登記手続きをおこなうという選択肢があります。自分でおこなえれば手数料が発生しないので、費用を抑えることができます。

 

しかし、自分で手続きをおこなうには時間と労力がかかります。登記についての専門的な知識や法律の理解が必要で、書類の準備や納税、申請書の作成など複雑な手続きを自分でこなさなければいけません。

 

書類に不十分な点があった場合、手続きをやり直すことになり手間が増えてしまう可能性があります。

 

上棟式をおこなわずに現金支払いを減らす

上棟式は昔からの伝統的な行事ですが、上棟式をおこなうかは建物の所有者の判断に委ねられます。上棟式には費用や時間がかかるため、上棟式をおこなわない選択肢もあります。
しかし、たとえ上棟式をおこなわなくても、現場の職人との良好な関係を築くためにも挨拶や差し入れを持っていくということは欠かさずにおこないましょう。

 

良好な関係を築くことで、家の修繕工事や改築などにおいて柔軟に相談を受けてくれるようになります。家を建てるうえで職人や業者との関係は大切なので、上棟式をおこなわない場合は関係構築に力を入れるようにしましょう。

 

 

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