二世帯住宅にはメリットもある?デメリットだけじゃない同居の魅力


「二世帯住宅は生活を干渉されるのではないだろうか」や「お互い気を遣ってストレスが溜まるのではないだろうか」と悩んでいる方は多いかと思います。

 

親世帯と子世帯が近くで生活をする二世帯住宅に対して、ネガティブな印象を持っている方は多いです。夫側の両親と同居する二世帯住宅スタイルが主流ですが、血につながりがない妻からすると他人と常に共同生活をするというのは大きなストレスになりかねません。

 

しかし実際は、子育てや介護の手助けを受けられるといったメリットから「二世帯住宅に住んでよかった」という声も多く見られます。

 

デメリットばかりが注目されがちな二世帯住宅ですが、親世帯にとっても子世帯にとっても二世帯ならではのメリットが存在するのです。

 

 

二世帯住宅のデメリット

同居世帯との生活時間のズレがストレスになる

朝早く起きたいけど、他の家族が夜更かしするから眠れないといった悩みからストレスを感じます。
問題を避けるためには、互いの生活習慣を理解して、気遣いをする必要があります。また、住居の間取り設計をおこなう場合、親世帯の寝室を日常の生活空間から離した場所に配置したり、音漏れを防ぐ工夫も大切です。

 

一緒に家で暮らす家族が違う生活習慣で暮らしている場合、家での時間の使い方の違いが心地よい共同生活を阻害します。

 

たとえば、部屋の中で過ごす時間、食事を取る時間、寝る時間などが異なることが多く、親世帯の方は早寝早起きの傾向があるのに対して、子世帯は、働き盛りのため遅くまで活動することがあります。時間帯のズレによって、互いに気をつかうあまりストレスを抱えることがあります。

 

共用スペースの使い方で気を遣う

共用空間は、利用する家族が増えれば増えるほど、自分の好きなときに使えないストレスがうまれます。
たとえば、昼間は楽しく過ごすことができるリビングも、深夜に誰かが寝ている間などは、テレビを見てくつろぐのは少し躊躇します。

 

また、キッチンや浴室も家族全員で使うので、誰がいつ利用するのかなど、気を使うことが増えます。

 

光熱費の分担で揉めることがある

使用量に応じて光熱費を分担するのが理想的ですが、むずかしい場合には、家族全員で話し合ってルールを決めることが大切です。

 

家族全員が共に生活する環境は、光熱費の節約に役立ちますが、光熱費の支払いにおいて問題がおこる場合があります。

 

たとえば、世帯ごとに使用量が大きく異なる場合、分担について揉めます。親世帯の方が家にいる頻度が多く、エアコンを長時間つけっぱなしにしていたり、ガスや水道などの利用料が多い場合、光熱費を押し上げ、支払い方法が折半、子世帯が不公平と感じることがあります。

 

遺産分割をめぐって相続でトラブルになる

親が亡くなり遺産分割の話が出ると問題が発生することがあります。たとえば、親の全財産が二世帯の住宅だけで、他に分ける財産がないとき、同居していない兄弟が自分たちにも正当な遺産分が配られていないと感じ、納得しない場合があります。

 

親が生前に遺言書を作成し、一部の相続人だけに利益を与えた場合も問題になります。
問題を避けるためには、遺産分割の話は早めに家族全員で話し合うこと、司法書士などに相談することが大切です。

 

 

二世帯住宅ならではのメリット

子育て・家事・介護など同居世帯でサポートし合える

二世帯住宅は、子育てや高齢者に対する総合的な援助ができ、家族全員が互いに助け合うことができます。

 

共働き家庭が増える現代社会では、働きながら幼い子どもがいる家庭や、高齢の親がいる家庭など、日々の生活を送るだけでも労力が必要です。

 

しかし、二世帯住宅の場合、家族全員で力を合わせ、日々の家事や育児、介護を分担することができます。食事の準備や掃除、洗濯などの家事をする場合も、お互いに手助けし合うことで負担を減らすことができます。

 

子育てにおいても、育児の経験が豊富な祖父母が近くにいることで、子どもの面倒を見たり、育児のアドバイスをもらうことができます。子どもたちは、各世代の人との交流を通じて、社会性や交流や会話の能力を身につけることができます。

 

家族の中に高齢者がいて介護が必要となった場合でも、他の家族がそばにいることで介護の負担を分担することができます。

 

共用スペースが多いほど​​建設費や光熱費のコストカットができる

共用空間を多く設ける二世帯住宅は、建設費や光熱費を抑えることができ、経済的にも環境的にも良さがあります。

 

二世帯住宅は、建設費や光熱費を抑えるという金銭的な良さがあり、共用空間を多く設ける場合は特に安い費用に繋がります。

 

具体的には、お風呂やキッチンを一つにまとめて共用することで、設備機器の設置や日々かかる光熱費、点検や修理費用を減らせ、家全体の建設費を抑えられます。

 

共用空間が多い二世帯住宅では、光熱費を減らすこともでき、一つのキッチンで食事を調理し、共有空間のリビングで過ごすことによって電力消費を抑えることができます。

 

生活するうえで水道や電気、ガスなどの光熱費は、必要不可欠な出費です。二世帯住宅で光熱費を抑えることができれば、長期的に見た場合、節約額は大きなものになります。

 

別居よりも相続税を抑えられる可能性がある

親世帯と子世帯が一緒に住む場合、または生計を共にする場合、「小規模宅地等の特例」という制度を利用することができます。

 

小規模宅地等の特例とは、相続される土地の330平方メートルまでの価格を最大80%減らすことができる制度です。

 

親世帯と別居する場合は、小規模宅地等の特例を使う条件が厳しくなります。しかし、二世帯住宅であれば、完全に独立したリビング空間を持つタイプの家でも、敷地面積の要件を満たすことや建築構造の要件などの特定条件を満たせば利用できます。

 

注意点としては、分割登記をおこなうと、利用できなくなる場合があることです。分割登記とは、1つの二世帯住宅を複数の独立した世帯に分けて、別々の不動産として登記する手続きのことです。

 

メリットを最大限に引き出す二世帯住宅の種類

完全分離型の二世帯住宅

生活空間の全てを別に設けた二つの家の一体化タイプ

完全分離型とは、生活空間のすべてを別に設けた二つの家の一体化タイプです。一つの建物の中に二つの世帯分の家が存在する形のつくりで、個々の部屋はもちろん、リビング、キッチン、お風呂場、玄関といった生活空間が別に設けられており、親世帯と子世帯が独立して生活します。

 

家族同士が互いに、個人の空間を重視する場合や、違った生活習慣を妨げることなく生活したい場合に適しており、一つの建物内ながら各世帯の生活が独立しているため、生活範囲や生活習慣などを互いに干渉し合うことがなく、自由に生活することができます。

 

左右分離型、上下分離型いずれかのスタイルが主流

完全分離型では、左右分離型と上下分離型が主流です。

 

左右分離型では、同一の建物の中を左右に分けて住んでおり、生活の音が心配なく、各世帯で庭を持つこともできます。デメリットとしては、土地が広くないと手狭に感じることです。

 

上下分離型では、一階と二階で各世帯が住む形です。親世帯が足腰が痛く一階での暮らしを望む場合でも安心して生活できます。デメリットとしては、生活音が下の階に伝わることや、二階は階段の利用が必要なことです。

 

部分共有型の二世帯住宅

玄関など生活空間の一部のみを二世帯で一緒に使うタイプ

部分共有型は、生活空間の一部を二世帯で一緒に使う形で、玄関や各家庭に合わせた共有部分が存在し、共有部分以外は独立した生活空間を持ちます。

 

一家の全員が同じ玄関から出入りするため、親子間や夫婦間で助け合える環境を提供しつつ、各自がのんびりできる一人の空間を尊重できます。家事や育児は、お互いの手助けがしやすく、緊急時に素早く向かうことができる良さがあります。

 

デメリットとしては、各家庭の生活習慣や暮らし方など、一部の生活空間を共有することに抵抗がある方はおすすめできません。

 

一階に親世帯、二階に子世帯のスタイルが主流

部分共有型は、親世帯が一階、子世帯が二階という配置が多いです。子世帯が二階に住むのが多いのは、親世帯が年を重ねると階段の昇り降りがむずかしくなるためです。

 

親世帯が一階で平穏に生活しながら、子世帯が二階で自由な生活を送ることでのびのびした快適な二世帯が実現します。注意点としては、子世帯の生活音が一階に聞こえやすいため、防音対策をする必要があります。

 

対策方法を紹介します。

 

断熱・遮音材の使用 壁や床、天井に断熱材や遮音材を追加
音の伝達を減らす
子世帯のリビングと親世帯の部屋の間に遮音壁を設置
二重窓の設置 外部からの騒音を遮断
室内への音の侵入を減らす
ドアの改善 遮音性の高いドア
ドアの下にドアシールを取り付ける
敷地内のレイアウト 二階のリビングと一階の寝室を遠ざける
厚手のカーテンの利用 柔らかい材料が音を吸収し、反響を減らす

完全同居型の二世帯住宅

寝室以外のスペースを二世帯で一緒に使う完全同居タイプ

完全同居型の二世帯住宅は、寝室以外の空間を二世帯で一緒に使用する形です。
間取りは家族がより多くの時間を一緒に過ごすことができ、互いのつながりを深める機会を提供します。デメリットとしては、キッチンやお風呂などの使用時間や生活習慣の調整に気遣いが必要です。

 

親世帯と子世帯でちがう二世帯住宅の種類別のメリットとデメリット

完全分離型の二世帯住宅のメリット

親世帯にとってのメリット

家事や孫の世話を押し付けられず自由に老後生活をおくれる

親世帯にとっての大きな魅力は、自由な老後生活を満喫できることです。家事や孫の世話を強制されることなく、自分たちの時間をのんびり過ごせます。ゆっくり自分の趣味に没頭したり、好きな時間に読書をしながらのんびりくつろいだりと、贅沢な時間を過ごせます。

 

自由な時間を使って、新しいことを学んだり、旅行を計画することで、日々の生活に張り合いができ、老後生活を自分らしく、充実して過ごすことができます。

 

すぐに顔を合わせられる距離なので寂しくない・安心

完全分離型の二世帯住宅では、近所に住む家族のような感覚で、簡単に家族の安否を確認し合えることで安心感をもたらします。

 

お互いの住居が窓から見えるような造りを取り入れたり、一緒に庭を共有することで、毎日の生活の中で親世帯の様子が確認できます。親世帯も、孫たちの育ちを日々確認できることは、喜びと生きがいにつながります。

 

さらに、突然の体調不良や急な用事などがあった場合は、迅速に助けてもらえる距離感も魅力です。完全分離型の二世帯は、個人的に利用する空間を守りつつ、一定の距離を保ったうえで、家族間での交流がおこなえることによって、家族の絆も深まり、親子の関係もより健全なものになります。

 

子世帯にとってのメリット

親世帯が亡くなった後も賃貸として活用できる

完全分離型の二世帯住宅では、各世帯の住空間が完全に区切られているため、親世帯が亡くなったときは空いた家を誰かに貸すことができます。

 

家賃収入は、家計を支える大きな手助けとなるため、二世帯住宅の選択肢を広げます。

 

空き家を有効活用するためには、計画と準備が必要です。リフォームする内容や賃貸物件の市場動向などを把握することで、より良い活用方法を見つけられます。

 

嫁姑問題が起こりにくく嫁のストレスを最も軽減できる

完全分離型の二世帯住宅には、別々の生活空間を持つため、一緒に生活することによって生じるストレスがなく嫁姑問題が起こりにくくなっています。

 

一緒に暮らすことによる対人関係の悩みやのんびりくつろげないという感覚がなくなり、毎日の生活を円滑に進めることができます。

 

子供を保育園に入れやすい

完全分離型は、多忙な子育て世代が子どもを安心して保育園に預けることができ、仕事と家庭を両立させることができます。

 

60~64歳以下の祖父母と同居している場合、保育園の入園申し込みにおいて不利になることありますが、完全分離型の二世帯住宅の場合、独立した住居に居住している場合といった条件を満たせば祖父母との同居とはみなされず、保育園への入園が効率的に進みます。

 

条件の詳細は地域によって異なるため、各自治体のルールを事前に確認する必要があります。

 

共通のメリット

プライバシーが確保できる

同じ家に住みながらも、自分たちの時間や空間が確保できるため、生活におけるストレスを減らせます。たとえば、生活内容や過ごす時間が違う世帯が同じ空間を共有すると、互いに気を使うことからくるストレスを感じます。

 

完全分離型では、生活音が気になる場合でも、音が漏れにくい壁や床を取り入れたり、天井の材料に断熱材を使用し、生活音の伝達を抑える工夫次第で相手に気を使わずに過ごすことができます。

 

水道光熱費が別々なので負担額で揉めることがない

完全分離型の二世帯住宅は、各世帯の電気、ガス、水道の使用量を分けて利用します。住宅を建てるときに、配管やメーターも別々に設置することで、自分たちが使った分だけ支払うことができます。

 

たとえば、一世帯が頻繁にお風呂を使用したり、電気をつけっぱなしの場合でも、費用は使用した世帯が負担するので、使用していない世帯が不公平を感じることはありません。

 

区分登記することで不動産取得税の優遇措置が適用される

区分登記をすることで優遇措置があるものは、二世帯住宅を建設するときに発生する不動産取得税に対する軽減措置です。

 

参照元:不動産取得税に係る特例措置

 

各家庭が独立して生活できるよう、個々の世帯が専用の入口やキッチン、トイレを持つ形で設計した場合、各世帯として認められ、対象になる場合があります。

 

完全分離型の二世帯住宅のデメリット

親世帯にとってのデメリット

せっかくの二世帯なのに息子や孫と顔を合わせる機会が少ない

各世帯の生活空間が独立していることを最大限に活用し、個人がのんびりできる空間を保ちつつも一緒に過ごす時間を作ることで家族との絆が深まります。

 

完全分離型は、生活空間が完全に分離しているため、意識的に会話をする時間を作らなければ、交流が少なくなってしまいます。大切なのは、家族との時間をつくることです。たとえば、一緒に食事をする時間を設けたり、孫の遊び相手になるなど、積極的に交流や会話を図るようにしましょう。

 

子世帯にとってのデメリット

生活費や家事育児の負担が一世帯で住むのと変わらない

完全分離型は、子世帯でも生活費や家事、育児の負担は一世帯と同じです。親世帯と子世帯が協力して暮らすことによって、精神的な余裕や経済的な余裕が生まれます。

 

明確なルールを作ったうえで、同じ敷地内の利点をいかして、家事や経済的な負担を分担することで、ストレスを減らしつつお互いに助け合うことができます。

 

互いの世帯に頼りすぎるのではなく、相手のことを思いやることで気持ちの良い暮らしができます。たとえば、子世帯は親世帯の体を思い、重たい荷物を運んだり、足場の悪い箇所の掃除を手伝うなどをおこない、親世帯は孫の面倒を見たり、料理を手伝うなどの心遣いが大切です。

 

親世帯の緊急時に気づくのが遅くなる

完全独立型の二世帯は、住空間が完全に分かれている為、常にお互いの家を訪ねるのはむずかしく、また日々の生活音などを直接聞くことも少ないため、親世帯が何か問題に見舞われたとき、状況に気付くのに時間がかかりります。

 

対策としては、親世帯の生活内容を把握し、日々のスケジュールを確認することで日頃の動きを知り違いに早く気付けます。
健康状態を定期的に調べたり、防犯対策の強化なども大切です。普段は利用しないけれど緊急時のみ使用することを約束した親世帯の家の合鍵を作る方法もおすすめです。

 

共通のデメリット

土地費用・建設費用・設備費用が高額になる

一つの建物の中に二つの家庭分の場所を使用するため、土地の広さや建物の面積、必要な設備が他の主な家庭とくらべて倍以上になります。
さらに、各家庭分の水道、電気、ガスといった設備を別々にするためには、初期段階で設備の配管やメーターを分けて設置する資金が必要です。

 

後になってから配管やメーターを分けると、さらなる工事費が必要となるため、二世帯住宅を検討する場合は、完成後の維持管理費も含めて、予算の見直しをおこない事前に計画を立てましょう。

 

部分共有型二世帯住宅のメリット

親世帯にとってのメリット

旅行などで不在のときも家の管理を任せられて安心

部分共有型の二世帯住宅の良さは、家の管理を手伝ってくれる存在がすぐ近くにいることです。

 

親世帯が旅行などで長期間家を空ける場合、留守中の家の管理は、子世帯がおこなってくれます。
また、子世帯が連日の残業や出張で家を空ける場合でも、親世帯が留守番を引き受けてくれます。留守中におこる家の問題に気付くのが遅れず、宅配物なども受け取ることができます。

 

頻繁に孫の顔を見れるため成長を見守ることができる

親世帯にとって一緒に住むことにより孫たちの成長を日々見守る喜びがあり、子どもの一生懸命に何かをする姿を見て、自らも活力を感じるかもしれません。

 

また、孫たちの変化を間近で見守れることは、特別な体験です。一緒に生活することで、人生をより深く理解し、一緒に成長することができます。

 

孫たちは、親世帯との交流を通じて、経験を積み人間関係を学ぶ機会が増えます。関係性は、日常の会話や共同活動を通じて自然に育まれ、思いやりや交流や会話能力など、人間性を高めるための大切な役割を孫たちに教えてくれます。

 

子世帯にとってのメリット

必要なときのみ家事や子育てのサポートを受けられる

二世帯住宅の魅力は、お互いに生活の面で手助けし合えることです。たとえば、日々の家事に頭を抱える子世帯にとって、親世帯の手助けは救いになります。

 

食事の準備や洗濯、掃除など、毎日繰り返す家事は小さな子どもがいる家庭では大きな負担ですが、親世帯が手助けをすることで、大人は助かり子どもは生活の質を向上させることができます。

 

また、特に共働き夫婦にとっては子育て支援も助かります。仕事と家庭の両立はむずかしく疲れを伴いますが、親世帯が子育ての一部を手伝ってくれることで、負担を減らすることができ、子どもが病気になった時や、遊び相手になってくれたりと、親世帯が子育てに関与することで子世帯は息抜きする時間を作ることができます。

 

自分たちだけでは予算的に難しかった戸建て住まいを実現できる

親世帯と子世帯、二つの家族が一緒に建築費用を負担することによって、より大きな住まいを手に入れることができます。

 

たとえば、部分共有型の住宅の場合、設備を二世帯で共有するため、一般的な一戸建てよりも建築費をおさえることができます。さらに、予算を共有することにより、子世帯だけで購入するよりも規模の大きな建物を建てることができます。

 

親世帯がすでに所有している土地に新築を建てる場合は、土地購入費用を減らすこともでき、子世帯だけではむずかしかった戸建ての夢が実現できます。

 

共通のメリット

程よい距離感を維持して生活をおくれる

部分共有型二世帯住宅では、必要なときには助け合いながらも、普段の生活では関わらない関係も選べます。

 

たとえば、リビングを共有した場合、頻繁に交流や会話をすることができます。自分たちだけの時間を過ごすことに特化した部分共有型の二世帯では、リビングを各世帯に造り各世帯がのんびりできる空間を設けることもできます。

 

各世帯にあった設計にすることで生活するうえでのストレスを減らし、家族が優先するべきところを存分に堪能する造りで、心地よい空間をつくりだします。気を使い過ぎることなく自然体でいられるよう、家族全員で住み方を話し合うことが大切です。

 

食事や入浴、就寝時間といった生活リズムの違いがストレスになりにくい

部分共有型二世帯住宅は、頼りやすい近さに相手を感じながら各世帯が自分たちらしい生活が送れるので、心地よく過ごせます。ただし、完全に音が気にならないというわけではないので、共有空間では気配りが必要です。

 

具体的には、子世帯が夜遅くに帰宅しても、親世帯の部屋は遮音性の高い構造を取り入れたり、リビングや活動の多い場所から遠ざけた場所に配置していることが多いため、子世帯の生活音が気になることは少ないです。

 

また、食事時間や入浴時間も各世帯で異なっている場合でも、共有空間でない場合は、大きな問題にはなりません。

 

部分共有型の二世帯住宅のデメリット

親世帯にとってのデメリット

一階が親世帯・二階が子世帯の場合は足音などの生活音が気になる

一階に親世帯、二階に子世帯の構造にする場合、二階の生活音や足音による騒音問題に注意が必要です。

 

たとえば、子どもが元気に走り回る音や、大人の足音や物音が下の親世帯に響いてしまいます。さらに、夜に子世帯がキッチンで調理をしたり、お風呂に入るときの水の流れる音も響きやすく、ストレスに繋がるもとになります。

 

問題を避けるためには、リビングや子ども部屋、キッチンやお風呂など音の出やすい場所と親世帯の寝室を直接繋がらないように配置する工夫や、遮音性の高い素材を使用する必要があります。

 

友人や親戚を家に招きづらくなる

二世帯住宅では、両世帯が同じ空間に接しているので、誰かを家に招くたびに、相手世帯が気になってしまい、友人や親戚を気軽に招きづらくなります。

 

家が一つなので、訪問者が訪れると必然的に両世帯が顔を合わせることになり、のんびり会話や食事をし、くつろげる場所が確保しにくくなります。

 

訪問者が来ても互いの生活に影響を与えないよう、玄関の近くの部屋にゲストルームを設けることでお互いが気を使うことなく利用することができます。

 

一階に住む親世帯が郵便物や宅配便の対応をしなくてはならず面倒である

二世帯住宅の一階に親世帯が住む場合、親世帯が郵便や宅配便の方から最初に呼ばれるため、子世帯の郵便物や不在の受け取りを求められることが多く、日常的に続くと負担を感じます。

 

親世帯とくらべ子世帯はインターネットで買い物をすることが多く、郵便物の届く回数が多くなります。子世帯が、日中仕事などで家を空けている場合、親世帯が受け取りをおこなう必要があり、重たい荷物や大きいダンボールは負担をかけます。

 

子世帯にとってのデメリット

予定なく勝手にプライベートの空間に入られるおそれがある

二世帯住宅では、各家族だけの空間を設け、世帯間でのルールを作ることが大切です。

 

何の予定もないのに部屋に入ってくる親世帯や、仕事終わりにのんびりしたい気持ちを無視した行動は、子世帯にとってストレスや不満を引き起こします。

 

用事がない場合は、親世帯が子世帯の部屋に入らないよう、事前に約束をしておくことが大切です。しかし、約束が守られないこともあるため、物理的に入られないように、扉に鍵を設ける方法もおすすめです。

 

鍵を設置することは、親世帯が反対することもあるので、貴重品や大切な物を保管している防犯対策の面からなど、反対されない理由を事前に考えましょう。

 

宅配便などを勝手に受け取り・開封されるおそれがある

自分宛ての大切な郵便物が他の世帯の手に渡り、内容が知られてしまうという事態は、不快感を感じ、信頼関係を損なう場合があります。

 

子世帯と親世帯が一つの生活空間を共有しているため、郵便物や宅配便が一つのポストまたは受け取り場所に配達され、誤って他の世帯が開封するという問題があります。

 

また、配達物が混在することで、大切な手紙や荷物が見過ごされ、手元に届かないという問題が発生する場合は、別々のポストや受け取り空間を設けるなどの工夫をおこない郵便物や宅配便の管理方法を見直す必要があります。

 

玄関が共有だといちいちどこに出かけるのかと干渉される

玄関を共有空間として利用する場合、休日遊びに出かける時間や毎日の出勤時間を特定しやすいため、自由に外出ができないと感じることがあります。また、玄関を通じての生活音や騒音の問題がでてきます。

 

騒音の問題では、生活する時間が異なる場合、特に注意が必要です。たとえば、早朝や深夜の出入りがある場合は、親世帯の睡眠を妨げることがあるため、親の寝室を玄関から遠い場所に配置したり、防音効果の高い建材を使用する方法がおすすめです。

 

共通のデメリット

共有部分の水道光熱費の支払い負担で揉める可能性がある

住む前に分担方法を明確にし、支払いで誤解を生まないよう注意することが大切です。

 

二世帯住宅で、一部分を共有にしている場合、使用量について、各世帯が使用した量について明確にするのはむずかしく、水道や光熱費の分担が問題になることがあります。

 

節約しようと心がけていても、他の世帯が大量に使用することで、節約効果がでないといった状況が生まれます。また、一方的に負担を強いられると、揉め事に発展する場合があります。

 

どこを共有部分にするかで揉める可能性がある

部分共有型は、共有空間にする場所によって、建築費や各世帯の生活習慣に大きな影響を与えます。二世帯では、玄関やキッチン、浴室などを共有空間にする家庭が多く存在します。

 

玄関を共有にすると、出入りのうるささや靴の片付け方法、清潔を保つための取り決め方法などで問題がおきます。

 

キッチンを共有にすると、料理の好みや調理時間、片付け方などの相違がストレスになります。

 

浴室を共有にすると、お風呂に入る時間帯が一致した場合に邪魔に感じストレスがうまれます。

 

完全同居型の二世帯住宅のメリット

親世帯にとってのメリット

将来要介護になっても子世帯に介護してもらいやすい

親世帯が子どもや孫と一緒に過ごす時間が増えることは、完全同居型の魅力です。親は自分の老後を家族と共に過ごす喜びを感じつつ、子育てや生活の手助けをすることで、自分がまだ家族にとって必要であると感じられます。

 

家族が同じ家に住む場合、親が高齢になり介護が必要になった場合でも、子世帯が手助けできます。親は外部の介護施設に頼ることなく、安心して暮らせます。

 

また、子世帯は介護サービスを利用する必要がなくなるため、経済的な負担も減らせます。さらに、同じ屋根の下で生活することによって、孫たちは老いや生死について自然に理解を深め、人間としての大切な価値観を育むことができます。

 

常に子世帯の気配を感じられるため万が一のときも安心

完全同居型の場合、親が健康問題に直面した場合や緊急事態に備えることができます。

 

高齢の親世帯と同居している場合、親が苦しくなり倒れた時など緊急時に迅速に助けることができます。

 

健康情報や医療履歴を家族全員で共有することもでき、緊急時に迅速にかかりつけ医のもとに運ぶことができます。同じ家に住んでいると、かかりつけ医や薬局の情報も把握しやすく、緊急連絡先の把握や必要な書類や薬の場所なども理解しやすいです。

 

子世帯にとってのメリット

常に家事や子育てのサポートを受けられる

親世帯と子世帯が一緒に暮らす場合、家事や子育ての手助けを常に受けることができます。具体的には、子どもが急に熱を出した場合でも、仕事を早退し急いで帰る必要がなく、親世帯が子守りをしてくれます。

 

また、食事作りや掃除といった日常の家事を親世帯に頼ることができます。子世帯は仕事と家庭の両立を効率的におこなうことができ、親世帯は子育ての経験豊富なことから、育児の助言をしたり手助けすることができます。

 

親世帯が亡くなった後も普通の一軒家のように住み続けられる

完全同居型は、親世帯が亡くなってからも同じ環境で生活を続けることができ、生活習慣の変化によるストレスがありません。

 

親世帯がいなくなった後でも、住宅の維持、税金、保険、公共料金の支払いができる場合、広い一軒家を手に入れられます。部分共有型や完全独立型の一軒家は、親世帯のキッチンやトイレがある場合が多く、普通の一軒家のように住み続けることが簡単にできるのは、完全同居型の二世帯です。

 

共通のメリット

土地費用・建設費用・設備費用を安く抑えられる

二世帯住宅は、一戸建てにくらべ高い建築費が必要ですが、土地費用や設備費用を二世帯で分担すれば、一世帯当たりの負担は軽くなります。特に、完全同居型の二世帯住宅では、お風呂やキッチンなどの水回りの設備を共有するために、設備費用を減らせます。

 

家電や電話、インターネット回線なども共有することができるため、生活費の節約もでき、中古住宅を二世帯住宅にリフォームする場合でも、二世帯分の軽減措置が受けられます。

 

完全同居型の二世帯住宅のデメリット

親世帯にとってのデメリット

子世帯が働いている分家事負担の割合が大きくなるおそれがある

完全同居型の二世帯住宅では、子世帯が共働きの場合、子どもや家事の面倒を見る時間が減り、親世帯が役割を果たすことが期待され負担がかかります。

 

親世帯にとっては、老後に感じることのない重圧を感じ、家事の負担が増えると肉体的にも疲れる傾向にあります。

 

孫の面倒を常に見なければならず老後の自由時間が削られるおそれがある

完全同居型は、孫がいることで、常に相手を気にすることが求められます。

 

親世帯の自由な時間を削ることが多く、共働きの子世帯に子どもがいる場合、夕食の準備や入浴の世話など、毎日の細やかなケアをする必要がある場合もあります。

 

子世帯にとってのデメリット

親世帯が常に家にいるため在宅ワークには不向き

共に住む親世帯との関係性の築き方や、豊かな生活をいかに営むかという点が課題で、同じ屋根の下に親世帯が常駐していると、思った以上に静けさが保てません。

 

親世帯がいつも家にいるため、在宅ワークが主である場合、静かな環境で集中して仕事をしたいと考えることから不向きといえます。

 

家事や子育てへの干渉が強く嫁のストレスになる可能性が高い

子育ての介入は、親世帯が子育ての経験と知識を活かして助けようという善意から来るものかもしれませんが、必要以上の介入は、時に互いの価値観が衝突し、ストレスが溜まってしまいます。

 

親世帯からの家事や子育てへの介入が強く、ストレスの元になる場合があります。具体的には、親世帯が自分たちの価値観を押し付け、子世帯が自由に家事や育児がおこなえない状況になることがあります。たとえば、孫の食事や学習内容について細かく干渉されたり、遊び時間を指定することがあります。

 

共通のデメリット プライバシーが確保できない

世帯別の水道光熱費の負担割合を把握しづらい

あらかじめ家計の分担について話し合い、納得のいくルールを作っておくことで、水道光熱費の問題を防ぐことができます。

 

完全同居型の場合、水道光熱費の負担割合が明確になりにくいデメリットがあります。たとえば、水道や電気などの使用量が家庭内で異なる場合、各世帯が使った使用量を確認することがむずかしくなっています。浴室にお風呂を溜めて、利用する親世帯家族とシャワーで終わらせる子世帯が同じ家に住んでいる場合、分担が公平におこなわれているのか問題になります。

 

水道や電気のメーターを個別に設置することで、問題は解決しますが、工事費用は予想以上に高くなることが多く、家を建てた後で分けるのはむずかしいため、建設時に検討する必要があります。

 

食事や入浴、就寝時間といった生活リズムの違いがストレスになりやすい

二世帯住宅では、親世帯と子世帯の家族間の交流や会話の機会が増える一方、生活習慣の違いによるストレスが問題になることがあります。たとえば、食事の時間、入浴の時間、就寝の時間など、一日のスケジュールが異なることで、思わぬ摩擦が生じます。

 

子世帯が仕事帰りに夜遅くまで起きていて、親世帯が早寝早起きの場合など、特に傾向が見られます。

 

各生活習慣に合った時間で過ごせるように工夫する必要があり、互いのくつろげる空間を守りつつ、食事の時間帯を調整したり、共有空間の使用スケジュールを設けることで、避けられるストレスもあります。

 

同居のストレスを軽減するデメリット解消のポイント

完全同居型では費用を抑えたいなら「左右分離型」ではなく「上下分離型」にする

左右分離型は、壁を多く設ける必要があり、建築費も増えてしまいます。上下分離型の場合なら、費用を抑えつつも、世帯ごとの空間を分けることができます。

 

上下分離型は、各世帯のリビングや寝室など、主な生活空間を一つの階にまとめる形です。左右分離型は、一つの階に両世帯の生活空間を作り、間を仕切りで分ける形です。

 

「上下分離型」なら防音対策を施す

防音対策をおこなうことで、上下の二世帯が気持ち良く過ごすための環境を実現できます。

 

上下分離型の場合は、特に、高齢になった親や足腰の不安な方がいる家庭におすすめの住まいですが、同居する各世帯の生活習慣や生活時間の違いから発生する音への気遣いが欠かせません。

 

解決策としては、子世帯の部屋の床に遮音性の高い床材を使用することで、歩行時の足音を減らすことができます。また、家の中で発生する音を吸収し、音の反射を防ぐ吸音材を壁や床に設置することも効果的です。

 

遮音性の高い床材を紹介します。

 

防音カーペット 柔らかい表面が音を吸収
床下の騒音を減らす
遮音性に優れたカーペットとパッドを組み合わせるとより良い
クッション付きビニル 遮音性が高く、水に強い
浴室やキッチンなどの湿った環境に良い
コルク床 自然素材で、遮音性に優れている
音を吸収し、広がりを抑える
快適で柔らかい足触りを提供
ゴム床材 耐久性がある
音を吸収
ハードウッド床 多層構造のエンジニアリングハードウッド床は、遮音性が高い

水回り設備の排水音は特に気になりやすいため、防音タイプの排水管を使用することで排水音を抑えることができます。

 

家事分担のルールを事前に決めておく

円満な生活を目指すには、家事の分担について事前に明確なルールを決めておくことが大切で、変わる生活環境や状況に応じて、ルールを見直す柔軟性も必要です。

 

具体的な分担項目を書き出し、二世帯みんなで共有することで、互いの役割と期待がはっきりします。たとえば、料理を担当する世帯、洗濯物を担当する世帯、共用部の掃除をする担当など、具体的な項目を決めておくことがおすすめです。

 

水道光熱費や修繕費などの費用負担のルールを事前に決めておく

水道光熱費や修繕費は、共用部分と個別の部分に分けて、負担の仕方を決めておくことが大切です。

 

水道や電気ガスの使用費は、各家庭の生活習慣や家事負担によって使用量が変わるため、公平に割り振ることはむずかしいです。そのため、使用量を把握するため、電力会社やガス会社にメーターを追加してもらうと正確に知ることができます。

 

最もストレスを感じやすい妻が納得する二世帯住宅を選ぶ

二世帯住宅を選ぶとき、妻が最もストレスを感じ易いと言われており、妻が納得する二世帯住宅を選ぶことで長く仲の良い暮らしができます。

 

妻がストレスを感じにくく生活するには、生活空間の確保が必要で、自身の部屋や空間が確保できていると、ストレスが減ります。

 

小さな子どもがいる家庭では、生活音が気にならないよう作られた防音性能の高い住宅を選びましょう。そして、快適な住宅であっても、各自の価値観やルールを理解し、尊重することが大切です。相手を思いやる心持ちがあってこそ、円満な二世帯生活が実現できます。

 

 

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