20代でマイホームを購入して後悔した事例と購入する際の注意点
20代でマイホームを購入するかどうか、悩んでいる方は多く見られます。
「20代でマイホームを購入するのはまだ早いのではないだろうか」
「20代でマイホームを購入して後悔・失敗しないか心配 」
といった悩みや不安を抱えてしまうのも、無理はありません。マイホームを手に入れるには、大きな覚悟が必要だからです。
そこで、ここではマイホームを実際に購入した、20代の方が後悔・失敗したと感じた例について紹介します。
合わせて、これからマイホームを購入しようと考えている20代の方が、失敗や後悔をしないための注意点も解説していますので、ご覧ください。
20代でマイホームを購入して後悔するケースの例
20代の若さでマイホームを購入することは、自身や家族の生活を豊かにする一方で大きなリスクをともなう場合もあります。
例1 転勤することになりマイホームを手放すことになる
20代のAさん夫婦は、夢に見ていた自分たちの家を購入しました。家を手に入れたときは、緊張感と同時に、大きな幸福感に包まれるのですが、その後ご主人の予期せぬ転勤が決まりました。
転勤先が遠かったことや、ご主人の業務内容から家を残して単身赴任をする選択肢が考えられなくて、愛着のある家を手放すことになりました。
複雑な心情を抱えながら家を売却し、新生活のための手続きや準備に追われ、新しい環境での生活が始まったそうです。
例2 出産により家族構成が変わって部屋が足りなくなった
Cさんは、20代前半で子供を出産して20代後半で生活が落ち着いてきたため、夫婦と子ども1人の合計3人家族のときに家を購入しました。
その後、双子の出産により新たな家族を迎えることになりましたが、双子の子供が小学生に上がると子供部屋が必要となり、部屋が足りなくなってしまいました。
せっかく手に入れたマイホームでしたが、生活環境が一変したため家を手放すことになったそうです。
例3 価格重視で選んだため不便を感じている
20代のBさんは、マイホームの購入が憧れだったので、20代前半でも無理なく購入ができる小さめの比較的費用が安い住宅を購入しました。
しかし、家を建てた場所の立地が不便で、勤務先が遠く感じるようになり、通勤の負担を感じるようになりました。また、家事動線が悪く自宅の間取りについても不満を感じるようになり、結婚のタイミングで家を売却することにしました。
自宅を購入するときは、価格だけでなくて間取りや立地、周囲の環境を考えたうえで検討しましょう。
例4 税金やランニングコストを考慮せずに購入してしまった
20代のときに自分の家を手に入れたいと思ったDさん。家を手に入れる夢を叶えるため、住宅ローンを組んで新築の一戸建てを購入しました。
しかし、住宅の購入には家の値段だけでなく、固定資産税や、火災保険、修繕費用のように継続的な費用が必ず発生します。
家の購入後に発生する費用の考えが甘かったDさんは、想定以上の出費により生活費用が圧迫されて、支払いに追われる日々が続いて、貯金ができない日々を送る羽目になってしまいました。
例5 間取りやレイアウトに不満を感じている
Gさんは、子どもの頃から自分が住みたい家にはこだわりたいという強い気持ちも抱いておりました。結婚するタイミングで、ようやく家を建てることになりました。
気になっている設計事務所があり、注文住宅を希望して、設計事務所と話を進めながら家ができあがりました。
設計している段階では、自分の理想のイメージ通りだったのですが、実際に住んでみると、一見、理想的に思えたリビングが、実際は幅やスペースの問題で家具が置けなかったり、予想外に部屋が暗いなど、不便に感じることがありました。
イメージとのギャップを避けるためには、日常生活をイメージしながら理想の間取りを選び、壁や窓、設置予定の家具家電も細かく採寸することが大切です。
建設する家に近い広さのモデルルームを見学するなどして、体感することをおすすめします。
例6 通勤・通学が不便な土地だった
不便な場所にマイホームを構えたことが、疲労やストレスを抱えてしまい後悔することもあります。
Eさんは、郊外の広い土地を手に入れ、家を建てました。しかし、都心部への日々の通勤時間が1時間半に上りました。Eさんの通勤時間は国内平均の往復時間、1時間19分を大きく上回ります。
長い通勤時間は自己研鑽の時間に使えると、当初はポジティブに捉えていたそうです。しかし実際には長時間の通勤でストレスが増加してしまいました。
広い土地を手に入れることに魅力を感じたEさんですが、総合的に見ると通勤時間の長さが生活の疲労やストレスにつながり、後悔しているといいます。
20代でマイホームを購入するメリット・デメリット
メリット
余裕のある住宅ローンの返済計画を立てられる
20代の段階で家を持ついちばん大きなメリットは、余裕を持って住宅ローンの返済計画を立てられる点です。
30代、40代で住宅ローンを組み定年までの完済を目指すと、毎月のローン返済額が高額になり家計を圧迫します。しかし、20代であれば毎月の負担を抑え、長めの返済計画を立てることができます。
さらに、定年までに住宅ローンの返済が完了すれば、安定した老後を過ごせる可能性が高まります。
家と土地が資産として残る
家や土地を購入する最大の利点は、自分の資産になることです。自分の住まいを賃貸から自己所有に切り替えると、毎月の住まいの費用が家賃からローンへと変わります。
賃貸は他人の土地や家を借りているに過ぎず、何十年支払おうとも自分のものにはなりません。一方、自己所有への切り替えは、ローン完済後は家や土地が自分の資産となるため、自分自身への投資ともいえます。
また、立地によっては、土地や建物の価値が上がることも考えられます。そのため、良好な立地条件の物件は、将来的に売却あるいは賃貸に出すことで利益を得られます。
さらに、家が古くなった場合でも、建て替えや土地の再利用などで、新たな収益を生む可能性もあります。このように、マイホーム購入は、資産形成の一つの手段となり得るのです。
同じ土地で落ち着いて暮らせる
20代でマイホームを手に入れることは、同じ土地で長期間安定した生活ができるという大きなメリットがあります。土地の風土や習慣、人間関係に馴染むことができるので、心地よく過ごせる可能性が高いです。
また、地域社会とのつながりも深まり、地域の行事に参加することで、コミュニティの一員としての安定感や地域愛が育まれます。
子供の生活音を気にせずに子育てがしやすくなる
幼い子どもは家の中で元気に走り回ることも多いので、マンションやアパートに住んでいる場合、隣や上下の部屋へ音が響いてしまうので小さな音でも気を遣いますが、マイホームであれば音を気にせず子育てができます。
子ども達がのびのびと自由に過ごせるので、親の方も子育てがしやすくて、子どもたちの成長や親子関係に良い効果をもたらします。
デメリット
年収の安定していない20代だと希望する物件を選べない可能性がある
家を買うときは、年収や勤続年数が、借入限度額に大きく影響しますが、20代の多くはキャリアの初期であり、高収入を得るに至っていないので、借入限度額が低くなり、家を選ぶときの選択肢が狭くなってしまう可能性があります。
出産・同居などライフスタイルの変化に対応できない可能性がある
ライフスタイルの大きな変化が起こりやすいのが、20代の若い時期です。
たとえば、出産を経て家族が増えれば、今住んでいる家が手狭に感じられるかもしれません。また、親の老後の生活を考えて同居を選択した場合、親がくつろげる場所を設ける必要があります。家族構成の変化は予測できません。
そのため、想定外の出来事が起こったときに、家の売却や賃貸に引っ越すことも少なくありません。予想できる限りの可能性を考え、購入計画を立てることが大切です。
一度購入すると手軽に住み替えができない
マイホームを購入すると、手軽に引越しができなくなります。20代に限った話ではありませんが、一度家を手に入れると良くも悪くも住む場所が決まってしまいます。
たとえば、転職や転勤があって現在の職場から離れることになった場合でも、通勤が便利な場所に住み替えるのはむずかしいです。
また、仮に近所で何かトラブルが起きたとしても、一度家を買ってしまうと簡単には引っ越せず、問題解決まで我慢するしかありません。
もちろん、子どもの学校も土地が変われば学区が変わるため、親としては気軽には動けなくなります。家を買うという大きな決断をする前に、将来起こりうるリスクを十分考えましょう。
ローンの返済期間が長くなって金利負担が大きくなる可能性がある
ローンの返済期間が長くなると、金利による負担が増える危険性があります。通常、住宅ローンは長期間にわたり返済するので、期間が長ければ長いほど金利が積み重なるためです。
たとえば、30歳で家を購入し35年間で返済すると、定年の65歳までに全額返済できます。一見理想的に見えますが、実際には給料が上がることを前提とした計画であり、金利負担も無視できません。たとえば、ローン4,000万円に対して1%の金利だとしたら、35年で約740万円以上の金利が発生します。
借入金額:4,000万円 金利:1.000% 借入期間:35年 (420回払) 返済総額:47,423,753円 支払利息総額:7,423,753円 月額返済額:112,914円 参考:ローン計算ドットコム |
また、金利は一定ではなく、経済状況により変動します。金利が上昇した場合、想定以上の金利負担が発生する可能性があります。
対策としては、まずは自分の収入を正確に把握し、無理のない返済計画を立てることです。また、余裕があるときには、繰り上げ返済をおこなって金利負担を軽くすることも考えると良いです。
20代でマイホームを購入するときに特に確認するべき点
住宅ローンの借入限度額が低かった場合に共有名義にできるか
現在は共働きが多いこともあり、住宅ローンを共有名義にする家庭も多いです。20代は勤続年数が短く、転職を何度か繰り返すこともあるため、借入限度額が低い傾向にあります。
共有名義では、夫婦2人分の収入を合算した金額を審査の基準とします。そのため、借入金額を増やせる可能性があるのです。
また、夫婦の共有名義で住宅ローンを組むことで、名義人それぞれが住宅ローンの控除を受けられます。共有名義では、単独名義よりも控除額が増える場合が多いです。
ライフイベントで必要なお金を計算したうえで予算を決めているか
人生の節目となるイベントには、必要な資金計画を事前に立てておくことが大切です。特に、20代は、結婚や子どもの誕生、自宅の購入等、人生を豊かにするできごとが多い傾向にあります。
各イベントは喜びをもたらす一方で、多くの費用が必要です。そのため、あらかじめ必要となる資金を見積もり、貯蓄計画を立てましょう。
大切なことは、子どもの教育費や自身の老後の生活費など、将来の暮らし方を視野に入れておくことです。貯蓄計画の実践により、心に余裕が生まれ、家族が安心して暮らせる環境を作ることができます。
マイホームを購入する際に必要な資金計画の考え方
マイホームを買うなら頭金があったほうが返済の負担を減らせる
マイホームを購入する場合、頭金を準備するのが理想的です。頭金があれば、住宅ローンの負担が楽になり、生活が圧迫される事態を回避できます。頭金とは、自身が持つ資金のことで、契約のときに一定の金額を住宅購入費として支払うことです。
具体的には、物件の価格の1割から2割が頭金の目安とされています。3,000万円の家であれば頭金は300万円~600万円程度、5,000万円の家なら500万円~1,000万円程度です。頭金を支払うことで借入金額を減らせるため、家計の負担が軽くなります。
頭金がない、もしくは頭金が少ないと、借入額が多くなるのでローン残高がなかなか減りません。加えて価値が下がれば、物件の市場価格がローン残高を下回る可能性が高くなります。
そのため、売却しようと思っても売却した金額でローン残高を返しきれず、売ることがむずかしくなってしまう場合もあります。
マイホームを手に入れると購入後の維持費が発生する
マイホームを購入すると生活費だけでなく、一定の維持費が発生します。住宅ローンの返済はもちろん、固定資産税や都市計画税、火災保険や地震保険の費用も毎年必要です。
また、家屋の老朽化にともなう外壁や屋根の塗装、水回りの修繕を10年から20年毎に行わなければなりません。家の点検や修理を怠ると家の老朽化が進み、修繕に多くの費用が発生する可能性もあるからです。
ランニングコストを計算に入れて資産計画を立てることが、マイホームを長持ちさせ、安心して生活することにつながります。
住宅購入に全額注ぎ込まずに生活費は3ヶ月〜半年は確保する
家を購入するとき、すべての貯金を使うのは避けてください。何があったときも切り抜けられるように、少なくとも3ヶ月から半年分の生活費は確保しておくことをおすすめします。
日々の生活で出費が重なることは珍しくありません。たとえば、家電や車の購入、冠婚葬祭などで生活費は増減します。また、大きな出費があったときも貯金があれば、余裕を持てます。ローンの返済に集中しすぎると、日々の生活を楽しむことが難しくなってしまうこともあります。
日常生活に起こりうる状況をイメージしながら、自分たちの家を購入する計画を立ててみてください。家族の生活を安定させるためには、賢明な資金計画が欠かせません。
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