長期優良住宅は本当にいらない?知らなきゃ損するデメリットとメリット
マイホームを建てるというのは、人生における大きな買い物になるので、なるべく損をしたくないものです。長く住めるような建物にして、快適な暮らしを実現したいと思うはずです。
快適で過ごしやすいマイホームを建てるうえで、長期優良住宅を目指すという選択肢があり、認定を受けるために設計にこだわる方も多いと思います。
しかし、長期優良住宅を取得することで起こり得るデメリットを知らなければ、マイホームを建てた後に「長期優良住宅の申請をしなければよかった」、「工夫して設計する必要もなかった」と後悔してしまう可能性があります。大きな買い物で後悔しないためには、長期優良住宅について知識を深めておく必要があります。
今回は、長期優良住宅の取得をするメリットやデメリット、向いている方の特徴や取得するときの注意点を解説します。 マイホームの建築を検討している方の中で、長期優良住宅の認定を取得するか悩んでいる方は、ぜひ参考にして頂いて、快適な家づくりに役立ててください。
長期優良住宅がいらないと言われる理由
建築費用が高くなりやすい
長期優良住宅とは、「国が、良好な状態で長期間住み続けられると認めた住宅」のことです。防震性や断熱性などの性能基準を満たさないと認められないので、必要な材料や構造に高い費用がかかる傾向にあります。
大手ハウスメーカーの場合、長期優良住宅に認定されるような住宅が標準となっていることが多く、建築費用は大きく変わりません。しかし、地方の小さな工務店に依頼して建てる場合は、一般の住宅にくらべて20%~30%ほど費用が高くなるケースが多いです。
申請に費用と時間がかかる
長期優良住宅の認定を受けるには、工事を始める前に各都道府県に申請をして、今から建てる住宅が基準に満たしているかを判断してもらう必要があります。ただし、申請には費用と時間がかかるので、注意が必要です。
申請の手続きについては、専門的な申請書類の準備や申請費用が発生します。申請をおこなう方法としては2通りあり、ハウスメーカーや工務店に代行してもらうか、自分で申請手続きをおこなうかのいずれかになります。
申請費用の相場は25万円程度です。ハウスメーカーや工務店に代行してもらう場合、代行費用が別途必要ですが、費用さえ支払えれば申請における手間は省くことができます。
一方自分で申請手続きをおこなう場合、申請費用のみで済ませられます。代行費用は5万円~6万円程度ほどかかるとされているので費用を抑えることができます。
ただし、設計書類の作成を自力でおこなわなければいけないので、時間や手間がかかってしまいます。
定期点検を受ける必要がある
長期優良住宅に住むためには、一定期間ごとの定期点検が求められます。
長期優良住宅に認定されている住宅は、完成直後だけでなく住み始めた後も継続的に良好な状態でなければいけません。
定期点検では、維持保全計画にしたがってチェックしていきます。維持保全計画は着工前に提出するもので、長期的な優良住宅を維持するために不可欠なものです。維持保全計画に沿って、建物の構造や配管、耐久性を点検し、基準に満たしているか確かめます。修理が必要と判断された場合は、修理をおこなわなければいけません。
定期点検の周期は、建築完成後から30年以上の間に、最低でも10年ごとに点検をおこなう必要があります。
長期優良住宅の取得で得られるメリット
住宅ローン控除の借入限度額が上がる
長期優良住宅を建てると、住宅ローン控除の借入限度額が上がるというメリットを受けられます。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅の新築や取得、増改築などを行う場合、年末のローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除する制度です。
住宅ローン控除の制度の内容や条件は定期的に変更されるので、利用する前に国税庁のウェブサイトを必ず確認して、最新の情報を調べたうえで手続きしてください。
参照元:住宅ローン減税 – 国土交通省
不動産取得税の控除額が上がる
不動産取得税とは、不動産や土地を取得したときに課税される税金のことです。
一般住宅だと不動産取得税の控除額は1,200万円までとなっていますが、長期優良住宅の場合は控除額が1,300万円になります。
不動産取得税は固定資産税評価額×3%(軽減措置が適用されている場合)で算出することができ、固定資産税評価額から控除額を引いたうえで計算することができます。
つまり、1,300万円以下の建物であれば不動産取得税はゼロになるので、高額になりやすい長期優良住宅にとってはメリットになります。
登録免許税の軽減措置がある
長期優良住宅にすることで、登録免許税の軽減措置を利用することができます。登録免許税とは、土地や住宅の権利を公的に登録するときに必要な税金のことです。
一般住宅の場合、所有権保存登記が0.15%、所有権移転登記が0.3%となっていますが、長期優良住宅の場合、所有権保存登記が0.1%、所有権移転登記が0.2%に引き下げられます。(令和8年3月31日まで)したがって、登記にかかる費用を抑えることができます。
たとえば、新築一戸建ての評価額が3,000万円の場合、一般の住宅であれば 所有権保存登記が45,000円、所有権移転登記が9万円になります。一方で、長期優良住宅の場合、所有権保存登記が3万円、所有権移転登記が6万円に抑えることができます。
フラット35で住宅ローンを借り入れると金利優遇を受けられる
長期優良住宅の建設費用を住宅ローンの「フラット35」で借りた場合、金利を下げるという優遇を受けることができます。
フラット35では、長期優良住宅や、省エネルギー性、耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合に、借入金利を一定期間引き下げる、フラット35Sがあります。フラット35Sには金利Aプランと金利Bプラン、そしてZEHがあります。
長期優良住宅の場合、建物の耐震性や耐久性、省エネルギー性、バリアフリー性などを重視して建てられるので、認定される住宅の時点でフラット35Sの金利Aプランとなり、年0.25%の金利引き下げを10年間適用させることができます。ちなみに金利Bプランは期間が5年なので、大きなメリットになります。
ただし、金利引下げメニューは、2024年3月31日までの申込受付した分にのみ適用されます。
地震保険の割引対象となる
長期優良住宅を建てると、地震保険料の割り引きを利用できるようになり、地震保険料を半額に抑えることができます。
地震保険料を半額にするには、建物が倒壊しない地震の力を表す耐震等級が3となっているか、地震の揺れを吸収する免震装置が設置されている免震建築物であるかのいずれかの条件を満たすことが必要になります。
長期優良住宅の場合、耐震等級は3以上である必要があるので、地震保険の割引対象になります。
売却時に資産価値が上がる
長期優良住宅を将来的に売却することになった場合、建物の資産価値は高まるというメリットもあります。
長期優良住宅は耐久性や耐震性などの質や性能が高いため、一般の住宅にくらべて経年劣化などの影響を受けにくく、建設時の価値から金額を下げにくいというメリットがあります。
長期優良住宅の取得に向いている方
住宅ローンの借り入れ予定額が大きく年収が高い
高額な住宅ローンを借り入れる予定で、年収が高い方の場合、長期優良住宅の取得はおすすめです。
住宅ローン控除は年末時点での住宅ローン残高の0.7%が控除されるというもので、住宅ローンの残高が大きいほど恩恵を得られます。つまり、高額な住宅ローンを借り入れた方にはメリットになります。
将来的に住宅の売却や賃貸を考えている
長期優良住宅は、耐震性や耐久性に優れていて、定期的な点検や修繕をおこなうので、一般的な住宅とくらべて、建物を良質な状態で保つことができ、長く住んでも資産価値を高く維持できるという特徴があります。
賃貸住宅として活用するとなった場合でも、借り手が見つかりやすく賃貸収入を得ることができるといったメリットがあります。
子どもや孫世代にも引き継げる住宅を建てたい
性能に優れ定期的な点検や修繕をおこなう長期優良住宅であれば、子どもや孫が所有者となって、住む世帯が変わってもおなじ場所で住み続けられる可能性が高いです。
長期優良住宅の取得を検討するときのポイント
取得する場合は長期優良住宅の取得実績がある建築会社と契約する
長期優良住宅を建てるには、必要になる申請や手続きがあります。建築においては高い技術力と豊富な知識が必要となるので、長期優良住宅の取得実績のある会社に依頼しましょう。
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