土地ありで家を建てる費用相場や内訳と価格帯別の事例



所有している土地、もしくは相続した土地に新しく家を建てる場合、土地の購入費用はかからないので、土地込みで家を建てるときとくらべて費用を抑えられます。しかし、土地が事前に用意できている場合、いくら費用がかかるのか、家づくりの手順を把握しておく必要があります。

 

土地費用がかからないとはいえ、新しい家を建てるわけですから、高額な費用が必要になることは間違いありません。したがって、目安となる費用を把握しておかないと、思ったよりも費用が必要になって生活が苦しくなる可能性もあるので注意が必要です。

 

今回の記事では、土地を持っている方が家を建てる場合の費用相場や内訳、価格帯別の事例を紹介します。土地を持っている方が家を建てる費用の相場や家づくりをするときのポイントを知り、理想的な家を建てられるようにしましょう。

 

 

土地ありで家を建てる費用相場と頭金の目安

全国平均は3,935万円


土地なしで家を建てる費用(平均費用 5,436万円)と差額は約1,500万円程度

令和4年度住宅市場動向調査報告書によると土地購入費用を除いた住宅資金の費用相場は、全国平均で3,935万円となっています。

 

一方で、土地なしで家を建てる費用については、全国平均で約5,436万円となっていて、土地ありの場合の建築費用と約1,500万円程度の差額があります。

 

つまり、単純計算で土地を購入するには1,500万円程度かかるということになり、土地を所有しているかしていないかで大きく金額が異なります。

 

頭金(自己資金)の平均は1,177万円

土地ありで新築の家を建てる場合、自己資金となる頭金の相場は、1,177万円となっています。

 

頭金とは住宅を買うときに用意する自己資金のことです。頭金を用意することで、住宅ローンの借り入れ額を減らすことができ、返済の負担を抑えることができます。

 

ただし、自己資金が減るので、事故や病気のようにまとまったお金が用意できなくなるリスクもあります。

 

 

土地ありで家を建てるときにかかる費用の内訳

注文住宅にかかる工事費用本体工事費


基礎・土台・柱・屋根といった構造体にかかる費用

構造体は耐震性など住宅の強度に直結する基礎部分の工事で、土台工事や基礎工事が含まれています。

 

全体の工事費用のうち、構造体にかかる費用を含めた本体工事費は大きな割合を占めていて、全体費用の約70%以上を占めるとされています。

 


外壁・屋根材にかかる費用

建物の外壁や屋根材の費用については、使用する材質やデザインの種類によります。資材が高品質だったり、デザインにこだわると費用は高くなる傾向があります。

 


トイレ・キッチン・浴室といった住宅設備費用

シンクやコンロが並んでいて、収納ができるシステムキッチンや加熱の調整やタイマー設定ができるIHクッキングヒーター、勝手口のようにこだわるだけ、使い勝手が良く機能性が高くなりますが、設置するためには高額な費用が必要になります。

 

一方で、最低限に抑えることで費用を抑えて設置できるので、いまの生活で利用している設備や、設備を利用したときの不便なポイントを洗い出しておくと判断するときに役立てられます。

 


電気・換気・給湯・空調設備費用

電気や換気、給湯、空調設備の費用も、本体工事費に含まれます。

 

費用は高額になりやすい一方で、品質を抑えてしまうと、購入後の電気代やガス代など毎月の費用も増えてしまうリスクがあります。

 

電気・換気・給湯・空調設備については、高額な費用がかかっても省エネルギーや節電など、効率を重視して選ぶのがおすすめです。省エネや節電ができる設備であれば、長期的な費用を抑えられます。

 

解体や外構といった別途工事費


既存住宅にかかる解体工事費

既存の家を取り壊して新しく家を建てるときには、解体工事費用が必要になります。

 

家を取り壊すときに必要になる解体工事費用は、解体する建物の種類や大きさに加え、地域や業者によって変動します。解体費用には、家を取り壊す工事以外にも、解体した家の廃材を処理する費用も含まれています。

 


地盤調査・地盤改良費用

家を建てる前に地盤調査をおこなうことで、地盤の強度を明らかにして、結果次第で地盤改良が必要かを判断できます。地盤が脆いと地震や水害などで地盤が崩れやすくなり、家が陥没してしまう危険性があるので、地盤調査は必須です。

 


土間コンクリートや門柱といった外構費用

土間コンクリートや玄関先に設置する独立した壁状の門柱は、家の景観に影響します。土間コンクリートは、耐久性が高くて雑草対策になるので、庭や駐車場などに多く使用されています

 

門柱を設置することで、 郵便ポストや表札、インターホンが取り付けられます。土間コンクリートや門柱の設置には手間がかかるので、専門業者に依頼するケースが多いですが、依頼するには費用がかかります。

 

その他の諸経費


建物を自治体の役所に申請する建築確認申請費用

新築の住宅を建てる場合、工事が始まる前に各自治体の役所に建築確認申請を提出する必要があり、費用がかかります。

 

建築確認申請とは、工事が始まる前におこなう手続きのことで、設計図などを対象に、法律に基づいた建築基準に適合しているか審査します。
建築基準法に基づき、建物の設計が問題ないと判断されれば、建築確認済証が発行されて工事が開始できます。

 

建築確認申請にかかる費用は、各自治体によって異なり、申請から認証までのルールや手続きも異なります。費用について知りたいときは、土地が登記されている自治体の窓口やホームページなどで手順を確認するようにしましょう。

 


住宅ローンの手続きにかかる費用

住宅建設にかかる資金をローンで借り入れる場合、手続きにおいて費用が発生します。

 

諸費用には、火災保険料や地震保険料、不動産会社に支払う仲介手数料、金融機関に支払う融資手数料が含まれています。

 

諸費用は保険プランや不動産会社、金融機関によって異なりますが、目安として借り入れ金額に3%~7%程度をかけあわせた金額がかかるとされています。

 


仮住まい費用

既に建てられている建物を解体して、新たに新築の家を建てる場合、一時的に住む場所として仮住まいを設けますが、仮住まいにも費用がかかります。

 

仮住まい費用は、仮住まい先の建物によって異なります。賃貸物件の場合、家賃や引越し費用などが必要になります。自動車を保有している場合は、駐車場代もかかります。費用を抑えたい場合は、実家に一時的に住むという選択肢もあります。

 

価格帯別の注文住宅の事例

1,000万円台で2人用の平屋が建てられる

1,000万円台で家を建てる場合、100平方メートル程度の住宅で、2人用の住宅が建てられます。
レオハウスの事例では、床面積約29坪で、2LDK+和室の構成の平屋住宅が建てられています。プライバシーと通風・採光を両立させた設計は、敷地の特性を活かしつつ、居心地の良い空間を実現しています。家事がラクにできる動線設計や収納充実の設計も魅力的です。

 

参照元:レオハウス 夫婦二人の暮らしをゆったりと豊かに楽しむ平屋

 

2,000万円台で一部こだわりをいれた2階建てが建てられる

2,000万円台で家を建てる場合、自由なデザインや間取りを実現できます。2人用~3人用の2階建ての住宅が建てられます。
間取りはゆったりとしており、4匹の愛猫も快適に過ごせる空間です。外壁タイル、瓦屋根、全館空調を備え、独立キッチン、大容量パントリー、効率的なランドリースペース、愛猫用の設備、ウォークインクローゼットなど、細部にわたるこだわりを実現している住まいもあります。

 

参照元:ウィザースホーム CASE 164 神奈川県 K様邸

 

3,000万円台はこだわりのある木造2階建てが建てられる

3,000万円という価格帯では、こだわりのある本格的な木造2階建ての家が建てられます。

 

150平方メートル~200平方メートル程度で、3人用~4人用の2階建ての住宅が建てられます。
生活に欠かせない設備のグレードをアップさせるだけでなく、サウナやホームシアター、掘りごたつ付きの和室、スカイバルコニー、居酒屋風の和室キッチンなど、遊び心とこだわりのある空間を設計することができます。自由な発想を設計に反映させられます。

 

取りや資材などにこだわって家を建てるフルオーダーでの設計も、3,000万円の予算があれば実現できる可能性があります。
参照元:3,000万円 近藤建設株式会社

 

4,000万円台は高級感のある木造やRC造住宅が建てられる

4000万円台の予算があれば、豪華な木造住宅やRC(鉄筋コンクリート)造の住宅を建てられます。

 

200平方メートル以上で、4人用~5人用の2階建ての住宅や二世帯住宅などが建てられます。

 

各設備や資材、間取りに加えて基礎部分にもこだわることができるようになるので、安全性も高められます。耐震性や断熱性に優れ、安定した基礎を設計できるため、高級感のある住宅を長く使うことができます。

 

4,000万円台の予算なら、床全体を無垢材で統一したり、吹き抜けを設けて開放感を出したりといった贅沢なプランも実現できます。設計プランの選択肢が広がるので、理想的な家を建てることができます。
参照元:「4,000万円台」の建築実例 フリーダムアーキテクツ

 

土地がある場合に注文住宅を建てる流れ

資金計画を立てる

注文住宅を建てるとなったときに、まず始めに資金計画を立てる必要があります。

 

家を建てるための費用は本体工事費、付帯工事費、諸費用の3つに分けられます。3つの費用を合計すると新築を建てるために必要な費用の総額となるので、総額費用に基づき資金計画を立てます。

 

間取りやプランの計画と見積もり

資金計画が決まったら、具体的な間取りや設計プランを建築会社に見積もりをしてもらいます。

 

自分が理想とする間取りや設計プランを伝えて、予算内に納められるか、オプションを組み込んでいるかを検討します。見積もりをしてもらうときは、複数の建築会社に依頼しましょう。いくつかの建築会社で見積もりを取ることで、間取りや設計プラン、費用をくらべることができます。

 

見積もり金額は、本体工事費以外にも別途工事費や諸経費などが含まれているか確認しましょう。

 

建築会社と契約する

見積もりが取れたら、建築会社との契約に進みます。

 

家を建てる場合、建築会社と工事請負契約を結びます。工事請負契約とは、設計プランに基づき工事をおこない完成まで建設に携わることを約束する契約のことで、工事の内容や費用、そして引き渡しの時期を記載しています。また、工事が遅れるなどトラブルが発生したときの違約金についても記載されます。

 

金額や引き渡し日など、具体的な数字が間違っていないか確認したうえで、依頼する建築会社との間に工事請負契約を結びます。

 

設備や仕様の打ち合わせをする

工事請負契約を結んだら、工事に取り掛かる前に設備や仕様について業者の方と打ち合わせをしましょう。

 

自分がイメージする間取りと、業者が図面で見たときのイメージは多少のズレがあります。ズレがあったまま着工すると、完成したときに「思っていたのと違う」となってしまうので、お互いの認識を共通させるために、設備や仕様について打ち合わせをします。

 

既存住宅を解体する

既存住宅が建っている場合は、解体工事が必要になります。専門の業者に依頼するか、建築会社が解体工事もおこなってくれるケースもあるので、同時に解体工事も依頼する方法もあります。

 

解体工事が終われば、新築を建てる工事に着工できます。また、滅失登記という建物を解体してなくなったことを登記する手続きが必要になります。

 

地盤調査をして場合によっては地盤改良をおこなう

既に土地を所有している場合は、工事請負契約の前に地盤調査も必要です。地盤が安定しているか調査をおこない、脆弱な地盤があった場合は地盤改良工事をしなければいけません。

 

工事着工から建物完成

解体工事や地盤調査が終われば、工事を始めることができます。

 

工事期間は、可能であれば定期的に足を運んで進捗状況を確認するようにしましょう。もし違和感などあれば随時業者に相談することが大切です。
建物が完成したら引き渡しがおこなわれ、工事が終了になります。

 

引き渡しと入居

家が完成したら引き渡しがされるので、入居の準備に取り掛かります。

 

建築基準法に基づき工事がおこなわれているか、工事責任者や建築会社が検査します。また、施主にも問題がないか確認してもらい、すべての検査が終了した時点で家が引き渡されます。

 

引き渡しが完了すれば家に住むことができるようになるので、入居の準備をしましょう。仮住まい先から引っ越しをおこなうのですが、引き渡された直後は登記などの手続きや水道、ガスの開栓といった作業が必要になるので、引き渡して翌日に引っ越すのではなく、2週間ほど空けてから引っ越すのもおすすめです。

 

2週間の間に、必要な手続きや引っ越しの準備、さらに新居の周辺住民の方に挨拶をするなど快適な生活を始められるように準備をおこないましょう。

 

土地がある場合で家を建てるときの注意点

親から土地を譲り受ける場合は相続税または贈与税がかかる

所有している土地が親から譲り受けたものである場合、相続税または贈与税がかかります。

 

遺産を相続するときにかかる相続税や、財産を受け取るときにかかる贈与税は、土地を譲り受けた場合に発生します。譲り受けた方法によって相続税や贈与税の金額は変動するので、事前に確認しておくようにしましょう。

 

解体後の地盤調査で改良工事が必要になることもある

地盤調査の結果によっては、改良工事が必要になるケースもあります。

 

家を建てる前の地盤調査で地盤が脆くなっている場合、地震などの自然災害によって家が倒壊・陥没してしまう危険性があります。家の安全性を確保するためには地盤を強化する工事が必要になるので、改良工事をおこなわなければいけません。

 

改良工事には別途費用がかかりますので、改良工事が必要であると想定して予算を組んでおくのがおすすめです。

 

既存の建物がある場合は解体費用がかかる

既に家が建っている土地に新築を建てる場合は、家を解体するための費用がかかります。

 

解体工事にかかる費用は、建物の大きさや構造によって決まります。災害への耐久性が高い構造の建物であれば解体にかかる時間や労力も増えるので、費用も増えます。また、解体によって取り壊された資材を処分する費用もかかります。

 

今の家を解体して新築する場合は仮住まい費用がかかる

現在住んでいる家を解体して新たに家を建てる場合は、工事期間中の仮住まいにおける費用が必要です。

 

仮住まい先として、賃貸物件やホテルなどいくつかの選択肢がありますが、いずれにしても費用がかかるので用意しておかなければいけません。もし工事が遅れてしまう場合は家賃や宿泊費が増えることになるので、予算に余裕を持っておくのがおすすめです。

 

 

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