一戸建ての維持費はいくら?内訳ごとの金額・支払い時期の目安


一戸建てを建てるには、土地代や建設費用など高額なお金が必要です。しかし、一戸建ては建てて終わりではなく、建ててからも継続的に維持費が発生します。家を所有するために必要な維持費の負担を減らすためには、必要な維持費を把握しておくことが大切です。

 

では、維持費の種類はいくつあるのか、また、金額はいくらくらいになるのか。維持費の種類や金額を把握しておくことで、負担を減らすなど対策を取ることができます。

 

 

一戸建てを維持していくうえで必要な費用はいくらか

維持費の目安は年間約30~40万円程度

維持費として、水道光熱費や町内会費、修繕費用(外壁塗装、屋根塗装、シロアリ防除、水回り修繕)、火災保険料および地震保険料、固定資産税、都市計画税がかかります。

 

維持費用については家族の人数や家の状態によって異なりますが、年間30万円~40万円程度が目安とされています。

 

一戸建てにかかる月間平均維持費は3万円~4万円程度が目安

一戸建ての住まいでは、毎月の維持費は3万円~4万円程度とされています。加えて、長期的に住むことで修繕が必要となる部分もあります。

 

 

一戸建てに「月単位」でかかる維持費の内訳ごとの金額・支払い時期の目安

水道光熱費

毎月の水道光熱費は約2万円/月

ガス、電気、水道といった生活に欠かせないサービスを利用するための料金が水道光熱費に当たります。

 

水道光熱費の料金は、電気代、ガス代、上下水道料を含めると約2万円(20,399円)かかるとされています。ただし、水道光熱費は家具や家電の使用頻度、省エネルギー対策の有無など個々の生活によって前後します。

 

また、季節や天候によっても大きく変動するため、計画的な家計管理が求められるポイントになります。水道光熱費が毎月いくらかかっているか把握し、家計を管理することが大切です。

 

参照元:総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年

 

支払い時期は月に1回

光熱費の支払いタイミングについては、原則として月に1度支払う必要があります。

 

毎月の電気、ガスなどを使用した量に応じて請求されるので、各電力会社などが定めている支払い期限までに振り込む必要があります。水道代は2か月に一度の支払いになります。

 

支払い期限までに支払いがおこなわれないと、催促されます。長く料金を支払わないと、水道やガス、電気が利用できなくなる可能性があります。

 

町内会費

金額はおよそ月額300円

町内会費というのは、住んでいる地域のコミュニティ運営のために必要な費用として、加入した場合、毎月支払う必要があります。

 

町内会ごとで町会会費の金額は異なりますが、月額300円程度が目安とされています。町内会費は、地域の安全を守るための治安活動や地域コミュニティの活発化、災害が起きたときの支援体制の整備など、地域社会を良好に保つための大切な費用です。また、地域の行事やイベント、清掃活動などにも使われます。

 

支払い時期は月1回または年1回払い

町内会費の支払い時期については、毎月1回もしくは年1回のケースが多い傾向にあります。支払い時期については住む地域や自治体によって異なるので、ホームページなどで確認する必要があります。

 

一戸建てに「年単位」でかかる維持費の内訳・金額・支払い時期の目安

固定資産税および都市計画税

固定資産税および都市計画税の金額は約19万円/年

一戸建ての住まいの持ち主にとって、固定資産税と都市計画税は大切な維持費の一つです。

 

固定資産税と都市計画税の費用の合計は、あくまで目安ですが、年間で18万円~20万円程度かかるとされています。

 

固定資産税は、土地や建物などの価値を示す課税標準額に税率を掛けることで、都市計画税は、固定資産税の評価額に税率(0.3%以下)を掛けることで計算できます。ただし、税率は市町村の条例によって異なります。

 

支払い時期は年1回または年4回払い

固定資産税および都市計画税の支払い時期については、年4回払いか一括払いで支払います。

 

年4回払いの場合は、第一期の6月末、第二期の9月末、第三期の12月末、第四期である翌年の2月末の4回に分けて支払うことになります。期日は自治体により異なるので確認しましょう。

 

年4回払いでは一度に大きな金額を支出する負担を減らすことができますが、支払い期日までに忘れずに支払いをおこなうことが求められます。

 

維持費の内訳ごとの金額・支払い時期の目安

修繕費

金額は30年で約500万円

一戸建ての家を30年間所有するとなると、修繕費は約500万円と考えられています。

 

修繕にかかる金額は外壁塗装や屋根の交換、水回りの更新など家全体の修理に必要な費用をカバーしています。

 

ただし、修繕にかかる金額はあくまで一つの目安であり、実際の費用は家の広さや材料、業者への依頼料により変動します。

 

支払いは築10年経過後から都度修繕が必要なタイミングにおこなう

外壁塗装は10年~15年に1度

壁の色がはがれてしまったりひび割れが出てきたりと言った現象が見られると、住宅の劣化が進んでいる証拠になるので、家を維持していくために外壁塗装をしましょう。

 

外壁塗装をおこなうのに目安となる時期は、約10年~15年ごとにおこなうべきとされています。

 

ただし、台風や大雪などの自然現象によって劣化速度は異なるため、修繕が必要となった場合は早急に専門の業者に頼んで修繕をしてもらうことが大切です。

 

外壁塗装にかかる修繕費用は、面積によって異なりますが、40坪で約80万円~130万円程度とされていますが、破損がひどい場合や全面的に貼り替える場合などはさらに修繕費用がかかる可能性もあります。

 

万が一外壁塗装が必要となったときに資金面で困らないようにするためには、日頃から資金を貯めておくことをおすすめします。

 

資金に余裕があれば、修繕が必要になったときでも慌てずに外壁塗装を依頼することができます。

 

屋根塗装は10年に1度

屋根塗装の周期は10年に1度のペースでおこなうことが推奨されています。

 

ただし、屋根塗装の周期については雨風などによる屋根の劣化状況によって変わるので、屋根のこまめなチェックと定期的な塗装が必要になります。

 

屋根塗装の相場価格は40万円程度ですが、屋根の状況や業者ごとでちがいます。

 

シロアリ防除は5年に1度

シロアリ防除は、家の骨組みを支える木部を守るために必要な作業です。特に一戸建ての家を維持するためには、5年ごとに一度はシロアリ防除が必要とされています。
毎年必要な作業ではありませんが、放っておくと家が脆くなってしまうので注意が必要です。

 

一度シロアリが発生すると被害は拡大するため、修繕費用も増えてしまいます。しかし、防蟻工事をおこなうことでシロアリ被害は防ぐことができます。

 

工事は専門の業者に依頼をし、家の周辺に防蟻剤を散布するなどの作業をおこなうことで対策できます。

 

シロアリ防除の料金については業者や家の大きさによりますが、10万円~30万円程度が目安とされています。

 

水回り修繕は15年に1度

水回りの修繕の周期については15年が目安とされています。

 

トイレなどは陶器製の便器では耐久性に優れていますが、時間が経つことで部分的に劣化する可能性があります。

 

劣化した部分が目立ってくると修繕の時期であると考えられます。また、トイレタンク内の部品においても10年程度で劣化が始まるため、点検や交換をおこなうことが必要です。

 

定期的に修理や点検、交換をおこなうことで、長期的な水道代を抑えることができます。場合によっては、高齢になったときの安全性や使い勝手を踏まえてリフォームを検討するのも一つの方法です。

 

火災保険料および地震保険料

金額は5年間で10万円程度

火災保険料や地震保険料は、たとえば火事が起きたときや地震が発生したときの家の損傷を補償する保険です。

 

新築の一戸建てで保険期間が5年、一括払いの場合、火災保険料および地震保険料の金額は、5年間で10万円程度となることが多いです。

 

支払い時期は年1回または最長5年1回払い

火災保険料は最長5年に1度

火災保険料の支払いについては、最長で5年、つまり1度に5年分の保険料を支払います。
また、一戸建ての火災保険料は建物の構造や、住宅がある場所、専有面積、補償内容などによって変わります。

 

地震保険料は最長5年に1度

地震保険料は、短期契約と長期契約に分かれていて、短期契約の場合は1年で、長期契約の場合は2年~5年です。

 

火災保険同様、保険の対象となる建物の場所や建物の構造を基準として、建物の免震・耐震性能による割引をして決まります。
耐震強度に優れた住宅を選ぶことで、地震保険料の負担も減らすことができます。

 

一戸建てとマンションでかかる維持費の金額を比較

固定資産税の金額

一戸建ての固定資産税額は15万円程度

固定資産税と都市計画税の合計は18万円~20万円程度、固定資産税は15万円程度とされています。

 

固定資産税は自分が所有する土地や建物の価値に基づいて計算され、税率は1.4%が基本となっています。

 

しかし、税率は地域により変動する場合があり、同じ大きさの土地や建物でも住んでいる場所によって支払う税金の金額に違いが出ます。また、広さや築年数など家の特性により、税金を減らすことができる特例制度も存在します。

 

マンションの固定資産税額はおよそ8万円~10万円

マンションの場合でも固定資産税は広さや地価、築年数などによって変わります。マンションの場合、固定資産税は年間で8万円~10万円程度とされています。

 

マンションの固定資産税の金額は、先ほど紹介した一戸建ての固定資産税とくらべてみるとマンションの方が税金の負担が少ない場合があります。マンションでは土地を所有者で分割するため、土地にかかる固定資産税が一戸建てとくらべて少なくなるからです。

 

火災保険料の金額

一戸建ての火災保険料額は5年間で10万円程度

一戸建ての火災保険料は、5年間で10万円程度が相場とされています。

 

ただし、実際の金額は建物の構造や立地条件、補償内容などにより変動します。また、一括払いの場合は分割払いにくらべて割引が適用されることが多いため、年間の維持費を安く抑えることもできます。

 

マンションの火災保険料は約10万円/10年

マンションの火災保険料については10年単位で契約することが多く、マンションの場合約10万円程度が目安になります。

 

マンションは一戸建てにくらべて火災のリスクが低く、耐火性能が高い建築物であるため保険料が抑えられている傾向にあります。

 

さらに、マンションでは共用部分の補償が全体でカバーされているため、個々の保険料も低く設定されているケースが多いです。

 

修繕管理費の金額

一戸建ては修繕が必要なタイミングで数十万円を一括支払い

一戸建ての家に長く住んでいると、修繕が必要になります。修繕が必要になったとき、一度に数十万円の大きな出費が必要となるケースが多いです。

 

たとえば、壁の塗り直しや屋根の補修など大規模な修繕作業が発生した場合、修繕に必要な費用については一括で支払う必要があります。

 

また、雨漏りの修理や床の張替えなど、突発的に発生する修理にかかる費用も想定する必要があります。なお、一戸建ての維持費用の中で高額になりやすいのが外壁塗装です。

 

マンションは約2万円を月々支払い

マンションを維持するには、毎月の支払いが必要になります。特に管理費や修繕積立金が大きな割合を占めています。

 

管理費とは、共用部分の日々の管理や清掃などに使われる費用のことで、相場は月額約10,862円とされています。一方修繕積立金とは、共用部分や私有部分の修繕のために必要な費用を積み立てるもので、相場は月額約11,243円とされています。

 

管理費と修繕積立金に加えて駐車場代なども合計すると、毎月のマンション維持費は約2万円ほどかかるとされています。

 

参照元:Ⅱ.平成30年度マンション総合調査結果 〔概要編〕

 

駐車場代の金額

一戸建ては駐車場があれば費用はかからない

一戸建ての場合、所有者が自宅に専用の駐車場を持つことができます。特に車を所有して日常的に運転している方の場合、大きな利点になります。

 

専用の駐車場を持つことで月々の駐車料金は発生せず、年間で見ると駐車場にかかる費用の大幅な節約につながります。マンションでは、駐車場を借りるため駐車料金がかかり、毎月5,000円~3万円程度とされています。

 

マンションは5,000円~3万円程度を月々支払う

マンションに住むうえで、毎月の負担としていくつかの費用が発生します。維持費の一つに駐車場代があります。駐車場の料金については住んでいる場所や駐車場の形状によりますが、月間5,000円~3万円程度になるとされています。

 

特に都市部では、地価が高いため駐車場代も高くなる傾向があります。また、マンションのローンを払い終えても駐車場の料金は発生し続けるので、長期的に見れば維持費は高額になる可能性があります。

 

一戸建ての維持費を抑えるコツ

メンテナンスフリーや耐久性に優れた建材を選ぶ

一戸建ての維持費を抑えるためには、メンテナンスフリーや耐久性に優れた建材を選ぶことが大切です。

 

建築物の素材として、劣化が遅く長く使用できる素材は良質なので建築費用は高くなる可能性があります。しかし、良質な建材を選ぶことで修理に必要な回数やタイミングを長期的に見て減らすことができ、結果として全体の維持費を節約できます。

 

たとえば、壁や屋根の場合、耐候性や耐久性に優れたタイル材やサイディング材などを選択するのがおすすめです。また、ドアや浴室、キッチンなどの設備も使われている素材の耐久性を考えて選んでください。

 

省エネ住宅・長期優良住宅を建てる

省エネ住宅や長期優良住宅は、一戸建ての維持費を抑える方法の選択肢の一つになります。

 

省エネ住宅は省エネルギーの効果で光熱費を減らすだけではなく、国の支援策により税金の優遇処置や補助金を受けることができます。一方で長期優良住宅は多くの世代にわたり住用することを考えられた住宅で、地震に強く長持ちする性能が備わっています。

 

アフターケアが手厚いハウスメーカーで家を建てる

家を建てた後の維持費は毎年継続して必要になります。しかし、アフターケアが手厚くおこなわれるハウスメーカーを選ぶことで維持費を抑えられます。

 

安価で住宅を建てられる小さなメーカーやローコスト系のメーカーは魅力的ですが、家を建てた後のサポートが十分でない場合があります。一方で、初期費用は高くてもアフターケアが手厚いハウスメーカーでは、住み始めてから生じる問題や違和感を受けて素早く解決することを目指してくれるので、結果として維持費を抑えられます。

 

たとえば、大手ハウスメーカーでは定期的な点検や修理、質問への回答などをおこなってくれます。

 

大規模な修繕やリフォームは複数の会社で見積もりをくらべる

大規模な修繕やリフォームをおこなう場合は、複数の会社で見積もりを取り金額をくらべることが大切です。

 

同じ工事でもおこなう工事業者は数多くいて、中には大手の会社や個人でやっている工務店など豊富な種類が存在します。修繕やリフォームの費用を抑えたい場合、複数の会社に見積もりを出してもらい金額や内容をくらべてみることで、技術面や予算面などに合った業者を選ぶことができます。

 

工事の内容や業者の規模によっては、施工費用以外にも仲介手数料や広告費が含まれている場合もあるので、施工費用以外の費用も必要になることを踏まえておきましょう。また、複数の見積もりをとることにより、業者が提示する費用の相場を把握できます。

 

 

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