マイホーム購入に必要な貯金額はいくら?貯金なしで家は買えるのか


「毎月の家賃を支払い続けるのがもったいないから、早くマイホームを購入したい」と、このように考える方は多いです。しかし、どの程度の貯金があればマイホームを購入できるのか想像がつかないといった声もあります。貯金ゼロでマイホームを購入できるという情報も蔓延していますが、家の購入時に必要な現金と、購入後の生活に必要になるであろう予備資金は貯金しておく必要があります。

 

本記事では、マイホーム購入時や購入後にかかる費用、必要な貯金額、貯金方法、さらに貯金ゼロでのマイホーム購入がむずかしい理由についても解説します。

 

 

マイホーム購入にかかる費用と内訳

マイホーム購入時にかかる費用3つ

土地・戸建て購入費用の「頭金」

頭金は、不動産価格の10〜20%程度を現金で用意することが多いです。たとえば、3000万円の不動産を買うとしたら、頭金は300〜600万円です。

 

残りは住宅ローンを利用することになりますが、頭金があることで住宅ローンの審査が通りやすくなります。また、頭金があることで借り入れ金額を抑えられるので、マイホーム購入の総額を下げることができます。

 

土地・戸建て購入時の「手付金」

手付金は、売主へ前もって支払うお金です。手付金の額は、不動産価格の5〜10%程度で、不動産を購入する意志を示すという役割があり、買主が途中で購入をキャンセルした場合、売主側が被る損害を補償するためのものでもあります。

 

また、売主側は手付金を2倍支払わなければ契約の解除ができないため、買主との契約を優先させ買主を守る役割もあります。手付金の支払いは契約日に現金でおこなわれ、ローンは使えませんので、事前に準備しておかなければなりません。

 

土地・戸建て購入時の「諸費用」

諸費用は、購入価格の3〜10%程度が目安です。たとえば、2,500万円の不動産なら75万〜250万円です。項目は保険料や登記費用、手数料などありますが、なかでも多くを占めるのが不動産取得税です。

 

不動産取得税は、戸建てや土地などの不動産を手に入れた年に一度だけ支払う税金で、不動産価格の3〜4%、75〜100万円です。不動産取得税は軽減措置が適応されるケースもあるので、各都道府県に問い合わせてください。

 

マイホーム購入後にかかる費用3つ

マイホームへの「引越し費用」

引越し費用は季節や曜日などによって大きく変動します。多くの人が新生活を始める4月や9月の週末は、引越し業者が混雑しているため高い場合が多いです。

 

対して、引越しの閑散期である平日なら、比較的リーズナブルに済むこともあります。ただし、大量の荷物を運ぶ場合や距離が遠い場合は、思わぬ金額になるケースもあるので注意が必要です。

 

毎月の「住宅ローンの返済費用」

住宅ローンの返済は、マイホームを購入した後ただちに始まり、最長で35年間続くこともあります。無理のない返済のためには、頭金を多く用意したり返済期間を短くしたりなど、マイホーム購入前からの返済計画が大切です。

 

マイホームの「維持費用」

維持費用は、年間で30〜40万円程度と言われています。維持費用の項目としては、マイホームの修理や改修、税金の支払い、火災保険などです。

 

ただし、家の大きさや立地によって維持費用は変わるため、維持費用は十分に確認し理解しておく必要があります。

 

 

マイホーム購入のために必要な貯金額はどれくらい?

土地・戸建て購入時の「頭金・手付金・諸費用」は現金で支払うのが一般的

土地や戸建ての購入において、頭金や手付金などの諸費用は現金で求められる場合が多いです。また、火災保険料や登録免許税などの費用も、原則として現金です。

 

「頭金」に必要な貯金額:土地・戸建て購入費用の10〜20%前後

頭金は、土地や戸建ての購入価格の10〜20%程度が目安です。つまり、家の値段が3000万円だとしたら、頭金は300〜600万円です。

 

多くの頭金を用意すれば、住宅ローンの返済額は抑えられます。ただし、すべての貯金を頭金に使ってしまうことは避けてください。契約後の予期せぬ出費に備えておくことも大切です。

 

「手付金」に必要な貯金額:土地・戸建て購入費用の5〜10%前後

手付金は契約時に支払うお金で、土地や戸建て購入費用の5〜10%とされています。たとえば、3000万円の家を買う場合なら、手付金は150〜300万円です。

 

ただし、契約をキャンセルした場合、手付金は返ってこない可能性があることも留意しながら計画的な貯金を心がけるべきです。

 

「諸費用」に必要な貯金額:土地・戸建て購入費用の3〜10%前後

土地や戸建てを購入するときに必要な費用は、不動産の価格だけでなく、諸費用と呼ばれる出費も考えて準備しなければなりません。諸費用は購入金額の3〜10%前後が目安です。

 

諸費用には、契約時にかかる印紙税や司法書士への報酬、土地の登録に必要な登録免許税、さらには火災保険料などが含まれます。

 

「貯金ゼロ」でのマイホーム購入がむずかしい理由

「手付金」は現金での一括支払いが必要だから

マイホーム購入時に必要な手付金は、原則として現金で持参することが求められます。
また、不動産の売買契約は土日に行われることが多く、直接支払うのが一番確実で、振込みより手っ取り早く決済できるためです。手付金は現金での一括支払いが必要であり、貯金ゼロでのマイホーム購入がむずかしい理由のひとつです。

 

「引越し費用」や「維持費用」がマイホーム購入後すぐに必要になるから

引越し費用は、最も安い時期でも駐車場有りの1軒家から同じく1軒家への移動には10万円前後の費用がかかります。また、家具・家電の買い足しも考えられます。

 

そして、マイホームを持てば毎年支払わなくてはならない固定資産税や、予測不能な修繕費用、さらにマンションなら管理費や修繕積立金がかかります。マイホームの維持費用は避けられない出費であるため、貯金ゼロの場合はきびしいと言えます。

 

「諸費用ゼロ」でもオーバーローンでマイホームは購入できるが返済負担額は大きくなる

自己資金が用意できていない状態でも住宅を購入できる方法として、オーバーローンがあります。ローンの対象となっている土地や戸建ての諸費用も住宅ローンに含めてしまう方法ですが、当然ながら返済の負担は大きく経済的に苦しくなる可能性があります。

 

借り入れ金額が多いほど返済総額も増えることから、借金を完済するまでの期間が長くなり、金利が高くなると月々の返済額も増加することを理解しておかなければなりません。

 

「頭金ゼロ」でもフルローンでマイホームは購入できるが審査は厳しくなる

頭金ゼロのフルローンは、資金調達に悩む方にとっては魅力的な選択肢かもしれません。ただし、住宅ローンの審査は厳しく返済計画の立て方や収入、職場の安定性などをくわしくチェックされます。

 

仮に厳しい審査に通ったとしても、返済遅延があった場合、信用情報に影響が出てしまうことを理解しておくべきです。

 

マイホーム購入後のために手元に残しておくべき貯金額の目安

手取り月収の3~4カ月分程度

手元に残しておくべき貯金額の目安としては、手取り月収の3〜4カ月分と言われています。マイホーム購入後に予期せぬ出来事や突然の出費があった場合でも、一定期間の生活費を確保するためです。

 

また、住宅ローンの返済がむずかしくなった場合や、住宅の修繕費用に困るかもしれないという心配をカバーします。

 

今かかっている生活費の6ヶ月分程度

手元に残すべき貯金額のもう一つの目安は、現在の生活費の6ヶ月分程度です。新居での生活は、ちょっとした出費が増えて生活費が過去のものとは違う可能性があります。

 

さらに、家の修理や点検費用など突発的な出費も覚悟しなければなりません。現時点の生活費の6ヶ月分程度の準備をしておけば、いざという時にも安心して新生活を継続できます。

 

マイホーム購入のために自己資金を貯金する方法

いくらのマイホームを購入したいのかを決める

まずは、希望地域の一軒家の平均価格を調査しましょう。また、自分の収入はいくらで、毎月いくら返済できるのか、全体の予算はを把握することで、購入できるマイホームの価格が明確になります。

 

また、返済計画を立てるときは、子どもの進学や結婚、自分の退職時期など、将来的に必要な費用も加味して考えなければなりません。

 

余裕のある毎月の返済金額はどのくらいかシミュレーションする

返済金額は、シミュレーションを利用してあらかじめ明確にしておきましょう。たとえば3,000万円の家を購入するために1,000万円を頭金として支払うとします。

 

すると、ローンで返済する金額は2,000万円です。2,000万円を金利1%で30年の返済期間とした場合の月額返済額は72,221円です。ローンを組むときは金利や返済額などを比較検討し、無理のない計画を立ててください。

 

どのくらいの金額の住宅ローンを組めるのか事前審査で確認する

金融機関の事前審査は、年収や勤務年数などの情報が必要で、特に予想される返済金と収入の比率が大きな判断基準です。また、物件の価格や希望の借り入れ額、返済期間なども含めて審査されます。

 

注意点としては、事前審査が通ったからといって、必ず本審査が通るわけではないということです。ですので、複数の金融機関で事前審査を申し込むことを推奨します。

 

もし一つの金融機関の審査に落ちても、他の金融機関から借り入れできる可能性があります。

 

手元にいくら現金を貯金する必要があるのかを計算する

まず、家を買うときに必要となる総額を出します。総額は、希望する物件の価格、諸費用、生活予備費などを加算します。次に、自己資金でまかなうべき項目を洗い出します。

 

そしてすべての項目を合計した金額が、手元に用意するべき貯金額です。大切なことは、できる限り具体的な計画を立て、計画通りに進んでいるかを定期的に確認することです

 

いつまでにマイホームを購入したいのかライフプランを立てる

いつまでにマイホームを購入したいのか具体的なライフプランを立てましょう。目標を明確にしておくことで、日々のお金の使い方にも良い影響が現れます。

 

たとえば、子どもが小学校に上がるまでに購入したいと考えるなら、住宅の場所やサイズ、学校までの距離などを考えます。また、何年かけてどのぐらい貯金すべきかを計算しましょう。

 

世帯で月々いくら貯金する必要があるのか計算する

毎月の貯金額を計画的に設定し、続けることが大切です。夫婦であれば、双方の収入や預金額を共有しそれぞれが毎月いくら貯金すべきか具体的な金額を出します。

 

ただし、貯金額については、子どもの教育資金や結婚資金など、予想される出費も考えて無理のない貯蓄計画を設定しましょう。

 

毎月コツコツと貯金する

会社の積立金制度を利用して給与天引きで貯金する

会社で提供される積立金制度を上手に利用すれば、給与が支払われるたびに自動的に無理なく貯金ができます。

 

一部の会社では、財形住宅貯蓄という名前で、住宅取得や家の改修を目指すための貯金制度が用意されており、毎月自動的に引き落とされ貯金口座に積み立てられます。

 

銀行の自動積立定期貯金を利用して貯金する

マイホーム購入を考えて貯金をはじめる場合、銀行の自動積立定期貯金が役立ちます。自動積立定期貯金は、収入が入ったら設定した金額を貯金口座に移動してくれるサービスで、使ってしまう前に貯金できるのが魅力です。

 

もちろん、金額は自分で設定できるので、会社に積立金制度が無い場合にはおすすめな方法です。

 

 

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