注文住宅の外壁は何がある?目的別の選び方


注文住宅の外壁は、何を選ぶかによってマイホームの外観の雰囲気が大きく左右されます。手入れがしやすい外壁や、何を基準に選べばいいのかを知らずに家を建ててしまった場合、建築後に「思ったよりも点検や修理費用がかかる」「デザインにこだわればよかった」といった後悔がうまれます。

 

外壁材選びに成功して理想的なマイホームを手にいれるためには、外壁の種類や選び方のコツで失敗しないポイントをいまのうちに知っておくべきです。

 

まだ、建築会社が決まらず悩んでいる人も、外壁選びのコツを知ることで選択しやすくなります。本記事を一読することで理想のマイホームを実現するための一歩を踏み出しましょう。

 

 

注文住宅の外壁の種類と特徴

窯業系サイディング

セメントが主原料で耐火性・断熱性に優れる

窯業系サイディングは、火に対する強さを示す耐火等級で高い評価を受けています。耐火等級は、火災時に家の構造を保つ時間の長さのことで、家が安全な住まいであることを保証します。

 

主原料であるセメントの特性から、窯業系サイディングは耐水性は持ち合わせていないため、点検や修理が必要です。

 

色や模様のバリエーションが豊富

窯業系サイディングは、赤や青、ベージュなど、数多くの色調から選ぶことができ、木目調や石模様など、自然素材の風合いを再現したバリエーションも豊富に揃えています。

 

日本で市場の大半を占める窯業系サイディングは、生産量の多さから新しいデザインが次々と開発され、新築やリフォームのときに自分の理想に合った外壁を選ぶことができます。

 

窯業系サイディングの色や模様の内容を紹介します。

 

シンプルなカラー 白、グレーなどの無彩色
モダンで清潔感のある外観
アーストーンカラー 茶色や緑色、深い赤茶色など自然の色彩
周囲の環境に調和する外観
レンガ調 レンガのような模様
レンガ造りの外観
ウッドグレイン 木材の風合いを再現
木目模様が表現されており、自然の温かみを持つ外観
モザイクパターン 模様や色の組み合わせを使用したモザイク風のデザイン
個性的なアクセントを加える
モダンパターン 抽象的な模様や幾何学的なデザイン
現代的で洗練された外観

施工コストと機能性のバランスが良い

窯業系サイディングは、耐久性に優れた性能を持っている一方で、工場製造と現場施工を組み合わせることで、比較的安い価格で取り入れることができます。

 

定期的に目地の打ち直しや塗り替えのメンテナンスが必要

窯業系サイディングの外壁は、耐用年数が10~15年といわれています。目地の打ち直しや塗り替え、クリーニングをおこなうことで、外壁は美観を保ちつつ耐久性を保つことができます。

 

金属系サイディング

軽量で加工しやすいため施工費用を抑えられる

金属系サイディングは他の外壁材にくらべて軽いため家の構造への負担が少なく、地震が発生したときの揺れの影響を減らして家の安全性を高めてくれます。また、取り扱いや加工が簡単なので、切断や穴あけなどの作業がしやすい材料です。

 

建物の特殊な形状やデザインに合わせて材料を調整しやすいです。施工のしやすさは施工時間と労力を減らすため、短い工期で建築することができます。

 

素材が金属であるためサビやすく傷がつきやすい

金属は水分と反応しやすく、サビが生じます。特に、海沿いなどの塩分を含んだ風が吹く地域では、よりサビやすくなります。定期的な塗装や点検や修理が必要ですが、サビは避けられません。

 

金属素材は傷つきやすいという特性もあり、小石が飛んできたり、尖ったもので引っかけられたりした場合、簡単に傷がついてしまいます。傷がついた部分はサビの発生源にもなるので、注意が必要です。

 

色柄のバリエーションが少なく外観のデザインが限られる

金属系サイディングは色や柄のバリエーションが少ないものの、他の外壁材と組み合わせることで、外観のデザインの幅を広げることができます。たとえば、家の一部の外壁面に使用し、石材や木材との組み合わせによって、金属との対比を生み出し建物全体のデザインを引き立てることができます。

 

また、金属系サイディングの銀色やグレーに加えて、ネイビー、茶色、赤、緑などの色を取り入れることや、ウッドグレインやレンガの模様を模倣したデザインなどを金属系サイディングの建物に取り入れることで、自分ならではのこだわりの家が完成します。

 

木質系サイディング

天然木ならではの風合いのあるおしゃれな外観を楽しめる

木質系サイディングは、森の中に建つ家のような、天然の木材ならではの美しい見た目を持つことが特徴です。木の色を楽しむこともでき、他の色に塗装することで、自分好みの外観を楽しむこともできます。

 

木材のもつ温かみや高級感により、一軒家が自然と調和する落ち着いた雰囲気を演出します。さらに、木材が持つ一貫性と深みが年月を経るごとに増し、家に独自の味わいと風格を与えてます。

 

素材が木であるため断熱性に優れる

木質系サイディングは、天然木を使用した外壁材で、木材の細胞構造により、空気が多く含まれるため断熱性に優れています。木材は、金属やコンクリートにくらべ熱伝導率が低い特性を持っていることによって、外部からの熱の侵入や室内から熱が逃げることを抑える効果があり、建物内部の温度を安定させるのに役立ちます。

 

夏場は自宅内部への熱の侵入を防ぎ、冬場は室内温度が逃げることを抑制するため、季節を問わず、室内温度が安定し、快適な生活空間を実現します。

 

素材に費用がかかるため施工コストが高い

木質系サイディングは金属系サイディングとくらべて材料費と施工費がかかるものの美しさや高級感、そして耐久性などの面で費用に見合った価値があります。

 

施工にも手間がかかるため、工事費も加算されることになり総工費が増える傾向にあります。独特の施工技術を必要とする場合や、特殊な加工を施した材料を使う場合は、追加で費用が発生します。

 

経年劣化しやすく定期的に塗り替えのメンテナンス費用がかかる

木質系サイディングの外壁は、塗装面は8〜10年を目安に塗り替える必要があります。塗り替えるには30坪の住宅の場合、約75〜105万円前後の費用がかかります。

 

塗り替えを怠ると外壁材が日光などに直接晒され、腐食したり、欠けたりと外観が損なわれ劣化が進行すると、耐久性を低下させ、家全体の寿命を短くしてしまいます。塗り替えだけでなく、シーリングの補修も必要です。外壁の隙間を防水する目地部分も経年により硬化し、ひび割れが発生します。

 

樹脂系サイディング

メンテナンス頻度が少なく耐久性が高い

建築する初期費用や点検、修理費用が安く、耐久性と費用のバランスを重視する場合は、樹脂系サイディングがおすすめです。他の外壁材料とくらべ丈夫なため、一度設置した場合、20〜30年間もの間、修理をすることなく過ごせます。

 

太陽の光や雨風にさらされ続ける外壁ですが、日光や水分に対する耐性も高いため色褪せといって劣化も少なく、住宅の外観を長期間保つことができます。

 

普及率が高くないため施工・メンテナンスができる業者が限られる

樹脂系サイディングの普及率は、日本で1〜2%程と低い状況です。低い普及率から、外壁工事で、樹脂系サイディングを取り扱っている業者が限られます。

 

また、樹脂系サイディングを施工できる技術を持つ業者も少ないため、自分たちが納得できる良い業者を見つけるには多くの時間と手間が必要です。

 

塗り壁

和風・南欧風といった多様な住宅デザインとマッチする

塗り壁は住宅まわりの風景や住宅のデザインとマッチしやすいです。たとえば、家全体が自然光を浴びて明るい雰囲気の場合、塗り壁は光を引き立てることができ、竹が生えているなど和風の落ち着いた雰囲気が漂う場所でも、和風の要素をさらに強調し、落ち着いた空間を生み出します。

 

継ぎ目がないためすっきりとした見た目に仕上がる

塗り壁は、継ぎ目がないことで洗練された外観に仕上げることができ、雨水や湿気の浸入を最小限に抑え、外壁の耐久性を向上させる効果もあります。

 

他の外壁材は、一定のサイズの板で作られ、壁に重ねて納めていくため、継ぎ目が見えてしまいますが、塗り壁は、一枚の布をかけるような塗り壁ができます。継ぎ目の無い美しい仕上がりは、建物全体をすっきりと見せ、高級感を引き立てます。

 

アーチ状や曲線といった外壁形状にも対応できる

塗り壁は、骨組みのうえにモルタルを塗り付けて固める素材で、つくられているため形状の自由度が高いのが特徴です。切削や加工がしやすいため、円形や曲線の壁面やアーチ状のエントランスなど、個性的なデザインを求める外壁にふさわしい素材です。

 

しかし、工期も長くなりやすいことや、モルタルが乾くまでの期間が天候に大きく影響を受けやすいというデメリットもあり、塗り壁を選ぶ場合、工事期間や地域の気候要素を把握する必要があります。

 

仕上がりが職人の腕に左右される

塗り壁はセメントや土などで作られているため、隙間や際立った箇所をきれいに処理できるかが大切です。仕上げはすべて職人の手作業でおこなわれます。

 

経験豊富な職人が作業をおこなうと、均一な仕上がりと長持ちする耐久性が得られ、自分ならではの外観を望む方にとっては、職人の技が存分に活かされます。しかし、経験が浅い職人が作業をおこなうと、仕上がりにムラが出たり、耐久性に欠けることがあり、水漏れや耐久性の問題が発生する可能性があります。

 

ひび割れが発生しやすいためメンテナンスが必要

外壁材全体の交換を避けるためにも日々の確認を怠らず、点検や修理が必要です。気温の変化によって収縮や膨張が生じるため、気温変化や急激な温度変動が続く地域では、ひび割れが発生しやすいです。

 

ひび割れを早期に見つけることができれば、部分的に補修できますが、見つけることが遅れてしまった場合、外壁材全体の交換が必要になり高額な費用が発生します。

 

タイル

耐久性が高くメンテナンス頻度を抑えられる

タイルの材料購入費は他の材料よりも高くなりますが、長期間使用する場合に維持費が少なく済みます。タイルは、高温で焼き上げられた材質なため丈夫です。他の材質のものとくらべて日光や雨風などの影響は受けづらいです。特に、陶器タイルやセラミックタイルは、傷つきにくく、摩耗に強い性質を持っています。

 

掃除は水と中性洗剤を使用します。他の材質の場合、定期的な塗り替えや補修が必要ですが、タイルは必要ないため、点検や修理の費用を減らすことができます。

 

重厚感・高級感のある見た目に仕上げられる

タイルはそのデザインから、他の壁材にはない力強さと堅牢感を感じることができます。

 

純粋な土や石を高温で焼き固めたタイルは、自然由来の素材感を保ちつつ、強度と耐久性からも高級感がでます。さらに、吸水率が低いため、雨から建物を守る力も備えています。

 

素材がタイルであるため施工費用が高い

タイルの素材は高価なもので、粘土や石を細かく砕き、高温で長時間焼き上げる、製造過程や素材へのこだわりから、他の外壁材にくらべて施工費用が高くなる傾向にあります。

 

さらに、タイルは一枚一枚が重なって壁を作るので、工事に時間と手間がかかるため、人件費も高くなります。

 

ALC

軽量気泡コンクリート建材で耐久性・断熱性・耐火性・遮音性が高い

ALCは、シリカ砂、セメント、水、アルミニウム粉末などの原料を使用してつくられているため軽くて丈夫です。また、耐久性が高く、長期間使用することができます。小さな気泡が多く入っており、気泡によって、熱の伝わりを防ぐことができるため、夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。

 

気泡は、音の吸収も良いので、外からの騒音を遮断することができ、静かでのんびり暮らせる家がつくれます。また、火に強い特性もあるため、万が一火事が起こったときでも耐火性を活かして、燃え広がりを抑える役割を果たします。

 

軽量で耐震性に優れる

ALCは、軽量で強固な材料です。外壁材が軽いため住宅基礎に及ぼす負担を減らせます。地震の揺れに強い耐震性を発揮します。軽いため施工もおこないやすいです。

 

サイディングと比べると施工コストが高い

ALCが、サイディングより費用が高い理由は、ALCの普及が進んでいないことが挙げられます。普及していないので扱う専門の職人が少なく、施工の費用は高くなります。

 

防水性能が低いため定期的に塗り替えのメンテナンスが必要

防水性能を高めるためには防水コーティングを施しましょう。防水層や遮水シートを設置することもおすすめです。外部からの水分の浸透を最小限に抑えることができます。

 

ALCは、防水性が低い材料です。風雨や日光などの自然環境にさらされると、外壁の塗装は次第に劣化し、防水効果が落ちてしまいます。防水機能を保つには、塗装を新しく塗り直す必要があり、塗り替えは、10〜15年に一度を目安とされています。

 

 

注文住宅の外壁材選びのポイント

新築のときにかかる施工費用

新築住宅を建てるときは工事費として地盤改良や屋根、内外装などの仕上げにかかる費用が必要です。

 

塗り替えなど点検や修理にかかる費用

外壁の塗り替え費用は使用する塗料や工法、業者によって異なりますが、60〜100万円程が相場です。住宅の外壁塗装は、約10〜15年に1度おこなうべきです。

 

塗り替えを怠ってしまった場合は外壁が劣化し、最終的には住宅全体の寿命を縮める可能性がでてきます。高耐久性の塗料を使用すると初期費用は高くなりますが、次の塗り替えまでの期間が長くなり、長期的に見た場合、費用が抑えられます。

 

家の印象を左右するデザイン性

家のデザインは、見た目の良さだけでなく、機能性や耐久性も考えた外壁選びが大切です。たとえば、ツートンカラーを選べばポップで可愛らしい印象を演出し、ウッド調を選べば自然の温もりを感じさせる印象を与えます。

 

また、ダークカラーを取り入れた場合、洗練されたクールな雰囲気の外観が完成します。

 

重視するポイント別の注文住宅の外壁の選び方

価格とデザインのバランスをとるなら窯業系サイディング

窯業系サイディングは価格とデザインのバランスが良いのが魅力で、デザインが豊富にありながら、初期にかかる価格が安いという特徴があります。

 

外壁材の中で最も選ぶ人が多い外壁で、取り扱いが簡単で、技術力に左右されることなく一定の品質が保てる良さがあります。また、セメントや繊維質を主成分とし、高温で焼き固めた製法が採用されているため、防火性や耐震性にも優れています。

 

外壁にかかる費用を抑えたいなら金属系サイディング

金属系サイディングは他の素材にくらべて安価です。一方で、点検・修理費用はかかるため、こまめに手入れをする必要があります。

 

また、定期的な塗装で金属の劣化を防げます。

 

パッと目を引くおしゃれなデザインにしたいなら木質系サイディング

自然で落ち着いた雰囲気を大切にしたい方には、木質系サイディングがおすすめです。

 

木質系サイディングは木の板のように見えますが、自然の暖かみと上質感が秘められています。天然の木材を活用して作られているため、他のサイディング材料とくらべ、おしゃれで高級感のある外観になります。

 

色の選択肢も豊富で、すがすがしい薄い色からエレガントな深い色まで、好みに合わせて選ぶことができます。

 

アメリカンテイストといった海外風にしたいなら樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは、海外でよく使われている塩化ビニル樹脂を主に使用しています。凍結や塩害に強く、雪の多い地域や海岸近くに住んでいる方にもおすすめです。

 

自由なデザインにあわせたいなら塗り壁

塗り壁は、自由な色や模様になるので自らの想いを形にできます。環境に優しく、人にも安心な天然の素材を使った塗り壁は、見た目にも心地よさを与えてくれます。

 

メンテナンス頻度を抑えたいならタイル

タイルは、強固で耐久性があるため、一度張り付けると長期間にわたり美しさを保つことができ、他の外壁材とくらべ定期的な修理や塗り替えの必要がありません。

 

自然災害による損傷や、本体ではなく目地部分の劣化などは定期的に確認し、必要に応じて修理することで長く良好な状態で使用できます。

 

価格よりも機能性を重視したいならALC

ALCは、見た目やデザイン性にも優れ、多機能性と高耐久性を兼ね備えた外壁材として高い評価を得ています。軽量にもかかわらず耐久性が高く耐火性に優れています。

 

デメリットは防水性能が低いため、防水塗料で保護する必要があります。

 

 

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