マイホームの住宅ローンの返済シミュレーション【年収別】
マイホームを購入するには多額の資金が必要となるため、住宅ローンを利用する方は多くいます。しかし、住宅ローンの返済計画については無理のない内容にしないと、後に返済額の負担が大きくなり返済に苦労する可能性があります。
また、マイホーム購入後のライフプランとマネープランまで設計しておくことも大切です。長期的な計画を立てマイホームを購入することで、後悔しない計画的なライフプランとマネープランを実現できます。
本記事では、マイホーム購入の目安となる年収や住宅ローンの金利と返済期間、年収ごとの返済シミュレーション、マイホーム購入後のライフプランとマネープラン設計について解説します。マイホームの購入した後にお金で困りたくない方は、ぜひ参考にしてみてください。
住宅ローンの金利と返済期間
金利は「変動金利」と「固定金利」の2種類
変動金利
変動金利では名前の通り金利が変動します。金融機関が定める基準金利に影響を受けて変動するため、金利には波があります。
半年ごとに金利は見直されますが、5年ルールというものがあり、5年間は金利は変動しません。住宅ローンは20年、30年と長期的な返済計画となるので、金利変動によって少なからず影響を受けます。
変動金利は短期間であれば金利が上昇しても影響を受けずに返済ができるため、初めて住宅ローンを組む方や短期間で住宅ローンを返済できる方におすすめです。
固定金利
固定金利を選ぶと毎月の返済額も固定されるため返済計画が立てやすいというメリットがあります。固定金利は一度決まった金利が変動することがありません。
ただし、金利は変動金利より高く設定されています。金利の変動で返済額が増えるというリスクを避けるには、固定金利がおすすめです。
平均の返済期間は32.8年
住宅ローンの返済期間については個人の状況によって異なりますが、国土交通省の令和4年度 住宅市場動向調査報告書によると平均の返済期間は32.8年となっています。
35年以上の期間でローンを組むことで月々の返済額を抑えることはできます。しかし、長期的な返済計画では金利の負担が増える可能性があるため総返済額が高くなるリスクもあります。
また、返済期間を短くすると元本を早く減らすことができるので、結果的に返済総額を抑えることができます。ただし、短期間の返済では一気に資産が減少するリスクもあるため生活費に余裕を持つことがむずかしくなる場合があります。
無理ない住宅ローン返済計画を立てるポイント
頭金は住宅購入費用の1~2割程度用意する
マイホーム購入による住宅ローン返済の負担を減らす手段として頭金があります。頭金を用意すれば住宅ローンの返済額を減らすことができるので、できるかぎりの頭金を用意するのがおすすめです。
頭金として用意する金額の目安は住宅購入額の1~2割程とされています。たとえば5,000万円の家を購入する場合、頭金として500万円~1,000万円ほどを用意することで月々の返済負担を減らすことができます。頭金を支払えば、残りの金額に対して住宅ローンを組むことになります。
返済負担率(毎月の返済額÷月収)は20~25%程度にする
住宅ローンを組むときに大切なことは、毎月の返済額が月収の何割になるかということを把握しておくことです。つまり、返済負担率を設定することが大切です。
返済負担率とは、収入のうち返済に充てる部分の割合を示しています。返済負担率の基準となる数値は20%~25%程度に抑えることが推奨されています。たとえば月収が50万円の場合、返済に充てる金額は10万円~12.5万円に抑えるようにすることで、生活に影響を与えることなく住宅ローンを返済できるとされています。
しかし、金融機関の審査では月収から見た返済額の割合が35%~40%までも借りることができます。返済負担が重くなりすぎると生活が厳しくなるため、自分自身で無理のない返済計画を立てましょう。
【年収別】マイホーム購入費用と住宅ローンのシミュレーション
年収別にマイホームの購入費用と住宅ローンのシミュレーションをご紹介します。
参考:住宅保証機構株式会社の返済額の試算
年収500万円の場合(購入費用4,000万円・元利均等返済・金利1.0%・返済期間35年)
頭金:500万円
年収500万円でマイホームの購入を考えている場合、頭金については500万円を準備することが理想的です。頭金は家を買うときに必要なお金です。頭金を払うことで後のローン返済額が減るため、無理のない範囲の中で多めに準備しておくことをおすすめします。
ただし、頭金を全貯金で用意してしまうと思わぬ出費を支払えなくなるリスクもあるので注意が必要です。急な病気や事故など、将来のリスクを考えてお金を残しておくようにしましょう。
また、家を購入するときには頭金だけではなく、手数料や税金などの諸費用も必要です。建物の費用以外の諸費用も踏まえたうえで無理のない計画を立てましょう。
借り入れ額:3,500万円
マイホームを購入するのに4,000万円かかり、500万円の頭金を用意できたとすると、借り入れ額は3,500万円です。
年収500万円であれば、返済額は毎月の手取りの約3割が目安です。500万円の場合月収は42万円程なので、目安となる返済額は12万円程です。
一方で、毎月の返済額を月収の3割とする場合は無理なく返せるとは言いがたく、生活費の節約が必要になります。加えて金利の影響で返済額が大きくなる可能性があるので、大きな負担となってしまうかもしれません。
3割は前から持っている資産に余裕がある場合のみにして、2割程度まで返済額を減らせるような計画を立てるようにしましょう。
毎月の返済額:9万8,799円
年収500万円の方が物件価格4,000万円のマイホームを購入するとして、頭金500万円、借り入れ金額3,500万円とすると毎月の返済額は9万8,799円になります。なお、元利均等返済方法と金利1.0%の固定金利を前提にした額となっています。
約10万円を住宅ローンの返済として充てることができるか、10万円を支払ったうえで生活費や教育費、老後資金など他の必要な出費をカバーできるか検討しましょう。10万円を住宅ローンの返済に充ててしまうと生活が苦しくなるという方は、返済計画を変えなければいけません。
返済負担率:約23.7%
年収500万円の方が毎月9万8,799円を返済していく場合、返済負担率は約23.7%になります。今回のケースでは月収の約23.7%がローンの返済に充てられることになります。
返済負担率の基準となる20%~25%に収まっているので、返済額としては問題ないとされます。しかし、返済負担率はあくまで参考の一つであり、金利や返済期間、生活環境などによって変わります。
基準となる数値内に返済負担率が収まっていても生活が苦しい場合は、返済額を含めた返済計画を調整しなければいけません。
総返済額:4,149万5,820円
年収500万円でマイホームを購入する場合、これまでの条件でシミュレーションをした結果の総返済額は4,149万5,820円になります。
借り入れ金額3,500万円を35年で返済する場合、利息も加算され4,000万円以上の総返済額になります。変動金利の場合は最初の返済額は少なくなりますが、経済状況などにより最終的な返済額は固定金利の場合を上回る可能性があります。
また、年収が上がったりボーナスがある場合収入は増えるので、返済に余裕を持つことができます。ただし、35年の間に多くのライフイベントが起こるので、思わぬ出費に備えておく必要があります。
年収600万円の場合(購入費用4,500万円・元利均等返済・金利1.0%・返済期間35年)
頭金:600万円
年収600万円の方がマイホームを購入を考える場合、頭金として600万円を用意することで返済負担を減らすことができます。
頭金を払うことで毎月の返済額が抑えられ、生活に余裕を生むことができます。ただし、できるだけ頭金を用意しながらも残った手元資金で毎日の生活費や突発的な出費に備えておくという計画性が必要です。
借り入れ額:3,900万円
年収600万円でマイホームを購入するとして、頭金600万円を用意した場合の借り入れ額は3,900万円になります。
購入費用4,500万円を支払えるように、頭金である600万円を差し引いた3,900万円を金融機関から借り入れる計画を立てます。しかし、借り入れ金額については返済が必要になるので、月々の家計を圧迫しないような計画を立てる必要があります。
毎月の返済額:11万91円
購入費用が4500万円、年収が600万円の方がマイホームを手に入れる場合に、元利均等返済と金利1.0%の住宅ローンを選択し毎月の返済額を算出すると、11万91円になります。年間では約132万円の返済が必要になります。
600万円の年収から年間132万円を差し引いた残りの金額で生活するということになるので、無理なく生活できるか検討する必要があります。毎月11万円の出費で生活が苦しくなるようでしたら、返済計画を練り直さなければいけません。
返済負担率:約22%
年収が600万円で年間の返済が132万円の場合、月収は50万円、毎月の返済額は11万円ほどで返済負担率は22%になります。22%であれば無理なく住宅ローンを返済することができるといわれている20%~25%の範囲内に収まっています。
無理なく返済するためにも、返済負担率を高く設定しすぎず自己資金も踏まえた住宅ローンを組むことが大切になります。
総返済額:4,623万8,186円
これまでの条件を設定しておこなったシミュレーションでは、最終的な総返済額は4,623万8,186円となりました。35年という長期的な返済計画なので、年収が上がったり転職したりと予測できないことが起こります。個々の生活環境や経済状況により、最終的な返済額は変わることを踏まえたうえで参考にしてみてください。
年収700万円の場合(購入費用5,000万円・元利均等返済・金利1.0%・返済期間35年)
頭金:700万円
年収700万円の収入がある場合、頭金は700万円用意することで住宅ローンの返済負担を減らせます。
借り入れ額:4,300万円
年収700万円の方が頭金として700万円を用意できた場合、4,300万円を借り入れる必要があります。借り入れ額については年収の5倍~6倍が目安とされています。
毎月の返済額:12万1,382円
年収700万円でマイホームを購入するとして、借り入れ金額4,300万円(購入費用5,000万円ー頭金700万円)、元利均等返済、金利1.0%に設定してシミュレーションをおこなうと、月々の返済額は12万1,382円になります。
実際の返済額は借り入れ金額や金利、返済期間などにより変動しますが、上記の条件で借り入れると毎月約12万円の返済が必要です。
返済負担率:約21%
年収700万円の場合、単純計算で月収は58万円程になります。58万円で毎月の返済額を割ると返済負担率は約21%になります。つまり、年間の収入のうち5分の1程を住宅ローンの返済に充てるということを示しています。年収700万円の方であれば、21%という返済負担率は無理なく返済することができる範囲です。
総返済額:5,098万621円
年収700万円で購入費用が5,000万円とした場合、最終的な総返済額は5,098万621円です。5,000万円を超える返済計画を成功させるには、将来起こり得るライフプランにおいて必要になる金額を具体的にしておくことが大切です。
子どもはほしいか、転職する可能性はあるか、車の購入は検討しているかなど、ライフイベントごとにかかる費用を明確にしておくことで返済計画が具体的になります。また、予期せぬ出費があっても問題ないように貯蓄しておくことも大切になります。
年収800万円の場合(購入費用6,000万円・元利均等返済・金利1.0%・返済期間35年)
頭金:800万円
年収800万円でマイホームを購入を考えるなら、頭金は800万円を目安に準備しましょう。
800万円の場合購入費用の1割~2割の範囲内なので、生活を苦しくしない程度で返済負担を減らすことができます。
借り入れ額:5,200万円
年収800万円で頭金800万円を用意できた場合、6,000万円の家を建てるには5,200万円を借り入れる必要があります。
毎月の返済額は大きくなりますが、年収800万円であれば無理なく返済ができます。年収が下がるようなことがなければ、安定して返済しつつ生活を送ることができます。
毎月の返済額:14万6,788円
年収800万円で6,000万円のマイホームを購入する場合、住宅ローンの毎月の返済額は14万6,788円になります。年収800万円の場合月収は67万円程になるので、14万6,788円という返済額も支払うことができます。ただし、他にも生活費や水道光熱費などの支出を含めて月収に収めなければいけないので、場合によっては節約が必要になる可能性もあります。
返済負担率:約22%
年収800万円で6,000万円のマイホームの購入を考えた場合、住宅ローンの返済負担率は22%程になり、無理なく返済ができると判断できます。無理のない家計への負担度とされている20%~25%に収まっているので、毎月14万6,788円という返済額は理想的と言えます。
もし返済負担率が上昇してしまった場合、毎月の生活に影響を及ぼし家計が圧迫される可能性があるので、自己負担が増えないようローンの返済計画を調整する必要があります。
総返済額:6,150万993円
毎月14万6,788円を返済し、35年固定金利だとすると総返済額は6,150万993円になります。初めから全額現金で払った方が安くなりますが、一括で全額払える人は少なく、一括での支払いができたとしても生活資金に困ってしまう可能性があります。
最終的には利息分多く支払うことになりますが、安定した返済と生活を両立させるには住宅ローンがおすすめです。多くの方が利用しているので、マイホームを持つための現実的な選択肢と言えます。
マイホーム購入後のライフプランとマネープラン設計のポイント
家族旅行や子どもの進学などライフイベントでかかる支出を把握する
マイホーム購入後の生活では、家族が一緒に楽しむことができる家族旅行や子ども達の進学など、多くのライフイベントが待っています。ライフイベントは私たちの生活を豊かにする一方で、支出が必要になります。
したがって、マイホームの購入後に必要な費用を計画的に把握し、支出に備えておくことが安定した生活を送るための大切なポイントになります。たとえば子どもたちが大学に進学するとき、費用がいくらかかるのかを把握しておくことで早めに準備をおこなうことができます。
資金面の問題が解決できていれば、子どもたちの将来の可能性を広げつつ夢を応援することができます。また、家族旅行を計画するときにも旅行先や旅行期間などを明確にすることで必要となる費用を把握しやすくなります。
家計簿の記録で余計な支出を減らす
マイホームを手に入れたら、次に考えるべきは節約です。無駄な出費を抑えることで資産形成がしやすくなります。節約をするうえでおすすめなのが、家計簿をつけることです。
毎日の出費を記録しあとから見直すことで、無意識のうちに浪費していたお金を見つけることができます。また、スマホのアプリを使えば効率よく記録することができます。
スマホのアプリではレシートを撮影するだけで項目ごとに自動で分類し、視覚的に収支を把握することができるものもあり、書き込んで記録するような手間のかかることをする必要がありません。データとして保存されるので、認識と実際の金額が違っていたということもありません。
資金を「必要資金」「準備資金」「余剰資金」に分けて管理する
必要資金:生活費など支出が必要なお金
生活費や教育費、趣味やレジャーなどにおいて必要になる必要資金は、具体的な金額まで把握しておかないと苦労することがあります。
生活費や養育費は、家族で生活していくうえで欠かすことはできません。毎月分の金額が確保できないと必要な食料や生活用品、子どもの教育に必要な資金が不足してしまう恐れがあります。加えて住宅ローンの返済もあるので、家を買えたとしても家計が圧迫され生活が苦しくなってしまいます。
準備資金:医療費や冠婚葬祭など急な出費に備えるお金
マイホームを手に入れ新しい生活を始める時期は、将来の急な出費を見据えた資金計画が必要になります。特に医療費や冠婚葬祭費用、車の買い替えなど計画になかった急な出費に備えるためには、準備資金を確保しておくことがポイントになります。
準備資金は、突然の生活の変化や出費が必要になったとしても問題なく解決するための資金です。準備資金の目安としては生活費の3~6ヶ月分を用意しておくのが良いと言われています。たとえば毎月の生活費が10万円だとすると、準備資金として30万円~60万円を用意しておく必要があります。
余剰資金:必要資金にも準備資金にも該当せず資産運用に回せるお金
余剰資金とは、日々の生活に必要な資金や突然の出費に備える貯蓄分から余ったお金のことです。余剰資金を銀行に預けておくだけでは、利息が少ししかつかず物価の上昇によるインフレーションの影響で実質的な価値は下がってしまいます。
余剰資金を確保した場合は、資産を増やすために運用資金として利用することもできます。余剰資金を使って資産運用を成功させるには、貯蓄と投資のバランスを考えることがポイントです。
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