土地なしで家を建てる時の費用相場と安く建てるコツ
土地がない状況から一軒家を建てる夢を実現するためには、まずは費用相場を知る必要があります。
土地選びや予算の相場を知らずに家を建ててしまうと、家が完成した後に「想像していたより住宅ローンが高くて生活がきつい」や「費用を抑えて建築しておけばよかった」と後悔してしまいます。
本記事は、すでに土地探しを始めている方でも、家づくり費用節約のためになる内容になっています。
土地代や建築費用など家づくり全体にかかる費用を節約するコツがあるので、理想の住宅購入の判断材料にしてください。
土地なしで家を建てる時の費用相場は?
土地なしで家を建てる費用の全国平均は5,436万円
自己資金の平均は1,665万円
自己資金は預貯金などを切り崩して用意するため、平均額は目安にとどめてください。建設する費用や各自の生活習慣、予想される生活費や収入の上下などによって変わってきます。無理に金額を増やすのではなく、現在と将来の生活を考えたうえで設定しましょう。
土地購入と家を建てる費用を含めた自己資金の令和4年度の全国平均額は1,665万円でした。
参照元:国土交通省 令和4年度住宅市場動向調査報告書(p.104)
土地なしで家を建てる費用の内訳
土地購入費(不動産登記・その他税金)
土地購入費用はすべて把握しておいてください。忘れたことによって思わぬ負担を感じないようにしましょう。
土地購入に必要な費用は、不動産登記費用、印紙税、登録免許税などがあります。不動産登記は司法書士や土地家屋調査士へ依頼すると、約10万円かかります。
土地購入費用について紹介します。
不動産登記費用 | 建物表題登記や所有権保存登記、抵当権設定登記にかかる費用 所有権移転登記:2~11万円 所有権保存登記:1~5万円 抵当権設定登記:2~7万円 |
印紙税 | 売買契約書や建築工事請負契約書の作成にかかる費用 数千円~数十万円程度 |
登録免許税 | 登記手続きの際に国に納める費用 土地の評価額に2%をかけた金額 |
本体工事費(住宅の建築工事費用)
本体工事費とは、家を形にするための中心的な部分で、建てる費用の約75〜80%を占めます。たとえば、大工の仕事、基礎を作る工事、内装・外装、左官工事、防腐・防蟻、暖房や冷房の設備、その他の住宅設備の設置などが含まれます。
主な本体工事費の内容を紹介します。
仮設工事 | 外部足場や養生、仮設電気など |
基礎工事 | 構造全体の基礎や土台部分の工事 |
木工事 | 柱、梁など、建物の主要構造部分の工事 |
内装・外装工事 | 壁や天井、床などのクロス、ドアノブ、手すりなどの取り付け工事、窓やサッシの取り付け工事、表面の仕上げ工事、外壁や屋根など |
断熱材 | 壁、床下、屋根などに断熱材を導入 |
左官工事 | お風呂場や洗面のタイル、左官による塗り壁の仕上げ |
庭や駐車場、門や塀などは含まれないので把握しておきましょう。
住宅を売る不動産会社が、宣伝する場合の住宅の値段は、本体工事費だけを表示していることが多いです。住宅価格2,000万円と宣伝されていても、全部の費用を含んだ価格であるとは限らず、2,000万円の本体工事費以外が追加でかかる可能性を理解しておきます。
付帯工事費(地盤調査・外構・インテリアの費用)
具体的な金額は、家の内容や土地の状態により大きく変わりますが、全体の約15〜20%です。
地盤調査は約5〜30万円です。家を建てるための土地について確認する大切な作業であり、建設後安心して生活できます。
外構は、建物の約10%です。庭や門、塀など家の周りを整えるためのものは、見た目を美しくするだけでなく、家の回りで発生する騒音を防いだり、不審者や侵入者を防ぐ効果があり、生活がしやすくなります。
インテリアは、建築費の約10%です。家の中を快適に過ごすためには欠かせないもので、照明やカーテン、エアコンの取り付けなどが含まれます。
諸経費(土地の登記・仲介手数料・印紙代)
土地が既に手元にある場合でも諸経費は発生します。特に把握しておくべき費用は、土地の登記・仲介手数料・印紙代です。
土地の登記は土地の名義を変更するために発生するもので、登記をおこなう司法書士の報酬も必要です。
仲介手数料の上限は、取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税(取引物件価格が400万円超の場合)です。不動産会社が土地を売買するときに支払う手数料で、手数料は土地の価格によって変動します。
印紙代は、約数千円〜数十万円です。契約書に必要な印紙を貼るための費用です。
諸経費にかかる内容を紹介します。
不動産取得税 | 土地を買った時点で発生し、所有権の登記をおこなう時に必要 土地の価格に一定の割合がのせられた金額 |
金融機関の手数料 | 土地の購入において、ローンを組む場合には金融機関の手数料が発生する 1回につき約3~5万円 |
費用帯別!土地なしで家を建てる場合の事例
1,000万円台で注文住宅を建てるのは難しい
ネクストハウスのコンパクトな25坪~30坪プラン
独自の設計思想を基準にした家づくりによって、ネクストハウスのコンパクトなプランは、居心地の良さと機能性を両立しています。
ネクストハウスでは、居住性と家族の心の距離感により、もたらす癒しの空間によって日々の忙しさを忘れさせるということを大切にしています。広さだけに頼らず、キッチンには調理器具や食器を収納するための空間を設け、各部屋ごとに必要な収納を設けるなどの、必要な機能を利用しやすい場所に配置した工夫が垣間見えます。風の通り道も考えられているため、開放感があります。
参考元:基本価格 | nexthouse
2,000万円台はシンプルな住宅が建てられる
落ち着きのある郊外の二階建て住宅
車の騒音や家の外での大きな声の話し声などの生活音が響きにくい間取りを取り入れることで、集中したい時間に邪魔されることなく過ごせます。たとえば、隣接する部屋の間に収納空間を挟んだり、静かに過ごしたい部屋を道路から離れている場所に配置するといった工夫を取り入れることが可能です。
都市部から離れ、人口が少ない郊外は生活音を気にすることなく、静かに暮らすことができます。特に、書物に没頭したい方や、趣味に時間を費やしたいという方にとって、理想的な環境です。
3,000万円台は広さや設備といった一部の希望が叶う
吹き抜けやファミリークローゼットのある住まい
吹き抜けやファミリークローゼットを設けるには、設計段階からの計画が必要なので、初期段階でハウスメーカーや建築士などに助言を求めましょう。
吹き抜けをリビングや玄関に配置した場合、天井まで続く開放的な空間が生まれることで、自然光がたっぷりと入り、元の広さよりも広く感じられます。開放的な空間によって、家族の存在を感じやすく、家族間の距離を縮める効果もあります。
ファミリークローゼットとは、家族全員が利用できる共用のクローゼットのことです。衣類や生活用品を一箇所にまとめて収納するので、片付けや掃除が楽になります。
4,000万円台は自由設計の注文住宅が実現する
おしゃれなキッチン付きで広々とした一戸建て
自由な発想で、家族みんながリラックスできる空間を作ることで、日々の生活がより豊かになります。
キッチンは日常生活の中心となる場所であり、自身の暮らし方に合わせた設計をすることが大切です。初めてでもお店のような料理が作れるように設計された高機能キッチンや、家族が集う素敵なアイランドキッチンなど、選び方は幅広く存在します。
家全体の設計にもこだわり、リビングの空間は広々としたものにすることができ、自然と笑みがこぼれるような心地よい場所になります。
5,000万円以上はこだわりのある注文住宅が叶う
都市部にある駐車場付きの二階建て
都市部では、移動手段として車が不要なことも多いです。最寄り駅まで遠いなど職場までの交通の関係で車を持つ必要がでてくる方もいます。その場合は、駐車場付きの二階建ての家がおすすめです。
土地なしで家を建てる時の流れ
土地を探す
土地探しは家を建てる時期や予算に合わせて進めて、土地に詳しい地元の建築会社へ相談することがおすすめです。自分が住みたい地域を決めて、求めている土地条件や予算といった具体的な条件を話し合いましょう。
また、インターネット検索を使って情報を収集して、気になる土地が見つかった場合は現地に足を運んで探すと良い土地が見つかります。現地に行くことで、ネットの情報だけではわからない周囲の環境や立地の良さが確認できます。
良い土地が見つからない場合は、ハウスメーカーに依頼すると新たな情報を得られる可能性があります。土地を紹介してもらった後はハウスメーカーを変更することはできないので、信頼できるハウスメーカーを見つけることは大切です。
建物の建築会社を探す
建築会社が提供するサービスや料金、品質などを調査し、自分に合った建築会社を見つけましょう。良いと思った建築会社は、口コミや評判を調べると 建築会社の信頼性や実績を知ることができます。
建築会社を探すためには、住宅展示場に行き直接建物の見学をする方法やインターネット検索を使って情報を探し出す方法、自分好みのハウスメーカーや設計事務所に直接問い合わせる方法などがあります。
予算、デザイン、担当者との相性など、確認すべき内容はいくつもあり、住宅ローンを利用する場合は、銀行や金融機関との手続きも必要なので、建築会社選びは1ヶ月ほど時間に余裕をもって臨みましょう。
土地を購入する
まだ土地を持っていない方は購入のための資金が必要です。土地の価格は地域や立地によって変わります。駅や都心部に近い場所だと高くなる傾向にあります。自分の生活計画や予算に合わせて、購入する土地を考えましょう。
土地を購入する場合の流れを紹介します。
予算の設定 | 探すべき土地の条件や価格帯を絞る |
不動産情報の収集 | 土地の位置、面積、価格、法的な制約などに注意を払い、候補の土地を絞り込む |
物件の現地確認 | 地盤や地形、周辺環境などを確認し、住居を建てられるのか確認 |
候補地の評価 | 価格、立地条件、周辺施設などを総合的に判断して決める |
売買契約の交渉 | 価格、支払い条件、引き渡し時期などの詳細を合意し、契約書を作成 |
法的手続きの実施 | 不動産の登記簿謄本や土地測量、必要な許可や証明書の取得をおこなう |
支払いと引き渡し | 購入代金を支払い、完了後、引き渡し手続きをする 土地の所有権が移転して購入完了 |
土地の購入費用は、物件価格の一部を手付金として支払い、残りの金額を購入物件の残代金として支払います。さらに、印紙税や仲介手数料などの諸費用も必要となるため、必要な手持ち資金を把握したうえで計画を立てましょう。
住宅ローンの事前審査を受ける
事前審査に通過したからといって本審査に通過できるとは限りません。事前審査は通過したけれど、本審査は不合格なこともあるので、通るだろうと気を抜かず本審査を受けましょう。
住宅ローンをはじめとする多くのローンには事前審査の制度があり、審査に通らないと融資が受けられません。貸す側である金融機関は、貸す前に借りる側の信用度や完済まで無理なく返済できるかを把握したいと考えています。
事前審査は、金銭的な信用状況や返済能力を知るための審査となっています。希望する借り入れ金額や返済期間に見合った返済能力があるか、信用情報に重大な問題はないかを確認することが目的です。
家を建てる予定の費用、借り入れ期待金額や返済計画などの情報をもとに、あなたに住宅ローンを返済する能力があるかを金融機関が判断します。
建築工事の請負契約を結ぶ
契約後に問題が生じないように、時間をかけて各項目をよく読んで理解したうえで契約を進めましょう。契約内容に疑問があるときは、契約する前に建築会社やハウスメーカーなどの担当者に質問して、納得できるまで確認することが大切です。
家づくりを依頼するハウスメーカーと正式に契約を結ぶ場合は、工事の詳細や工事費、工期などを話し合います。
契約を結ぶ前には、希望仕様や設備が含まれているか、変更による追加費用がかからないかを確認しましょう。たとえば、建物に含まれるエアコンや暖房システムといった設備機器から、床や天井の仕上げ、窓やドアの種類といった細部の建築仕様まで確認することで、安心して任せることができます。
また、建築費用の一部を申込金として先払いする場合があるので、慌てて用意する必要がないように事前に確認しましょう。
工事着工・引き渡し
工事が始まる前に、近所の人々に挨拶をしてあらかじめ理解を得たり、地鎮祭をおこないます。
工事を進めていくうえで、工期が遅れないように計画を立てることが大切です。工事が遅れてしまうと、追加の人件費や資材費が発生したり、引き渡しの日が遅れてしまいます。引き渡しの日が遅れると仮の住まいの契約を更新する必要が発生したり、予定していた引っ越しがずれるという問題に繋がります。
工事が完了したら、新居の鍵をもらいます。鍵をもらったら建築業者と共に、家に傷がついていないか、図面と違う造りの箇所はないか確認しましょう。図面と違っていたり、家に汚れや傷があった場合は建築業者に伝えて修正や補修をしてもらいましょう。
土地なしで家を建てる場合の費用を抑えるポイント
郊外の土地を選んで土地代を抑える
都心の土地とくらべると郊外の土地は安い傾向があります。郊外には駅から少し離れた場所や、形状が特殊な土地など、さらに価格を抑えられる土地があります。
郊外に住む場合のメリットを紹介します。
自然環境 | 自然が豊かな場所が多い 美しい景色や自然環境に接する機会が増える 自然の中でリラックスできる |
静かな環境 | 静かで穏やかな環境 騒音や混雑から解放される |
生活費 | 住宅の価格や生活費が安い 広い敷地や庭付きの住宅を取り入れられる |
家族向けの環境 | 子育てに適した環境 子どもたちがのびのびと遊べる |
安全性と安心感 | 治安が良く、安全性が高い |
コミュニティの形成 | 交流や地域のイベントへ参加しやすい |
郊外に住む場合のデメリットを紹介します。
交通 | 公共交通機関の便が少ない 車が必要になる 交通渋滞がおこりやすい |
都市施設やサービスへのアクセス | 商業施設、医療機関、教育機関などの生活施設へのアクセスが不便 |
社会的な孤立 | 隣人との距離が広いことによって交流の機会が少ない |
時間と費用の負担 | 通勤時間や移動距離 交通費の増加 |
自然災害 | 洪水、地震、山火事などの危険性があがる |
規格住宅やセミオーダー型の住宅を選ぶ
セミオーダーは、自分だけのオリジナルな造りと完成形の中間の形式で、ある程度自由に設計できます。
たとえば、間取りに自分の趣味や好みを反映させられる点が高く評価されており、設備や仕上げの変更、外観のデザインを変更できます。
規格住宅は、用意された完成プランから自分の好みに合わせて好きな設備やデザインを選んで建てられる住宅なので、注文住宅とくらべて建築費用は抑えられます。
基本設計が既に完成し、断熱性能や耐震性能、設備の種類や品質などが決められているため、見学できる家が多く、家が完成した時に自分の想像と違うということを防げます。注文住宅よりも費用を抑えることもできて、建設の工程も規格化されているので早めに家を建て終わりたい方に規格住宅は向いています。
建築費用をかける部分のメリハリをつける
建築費用について考えるときには費用をかける空間や設備を家族で話し合うことが大切です。たとえば、家具などの内装の費用を抑え、窓やドアを高品質にすることで、長期的に修理する必要がなくなります。
今使用している家具を新居でも使用し、新たな家具の購入費用を減らすことによって、節約分を建築費用に充てることもできます。見積書だけではなく、ハウスメーカーへの相談や他社と比較検討をおこない、信頼できる企業を選ぶことで不要な費用を抑えられます。
税金控除・補助金制度を活用する
条件を満たせば利用できる住宅ローン控除や登録免許税を減らす方法などで節税ができます。
各地域では、地域ごとに設定している支援内容があるので、家を建てる場所で自治体の補助金や助成金制度を確認してみましょう。特に、省エネルギーや耐震性能といった優れた住宅建設に対して補助金が多く支払われる可能性が高いため、取りこぼさないように確認しましょう。
複雑な形状の間取りにしない
長方形や四角形の家は、円形の家とくらべて建築費用を抑えられます。建物の表面積を小さくすることによって、壁材や外壁の費用も減らせます。
費用を抑えるには、部屋数を減らすことも効果的です。必要な部屋だけを作ることで、材料費を減らすことができて家の中を広々と使うことができるため、快適な生活空間がうまれます。
たとえば、広い部屋に仕切りができるような仕組みを取り入れることによって、必要な場合は1部屋を2部屋に変更することができます。柔軟な間取りは、使用用途や家族構成の変化があったときに住みやすい家が完成します。
複数の住宅会社から取った見積りを比較して選ぶ
住宅会社は、自分たちの強みや得意分野を活かして提案をおこないます。数が多すぎると選びきれなくなってしまうため、3社程度に決めたうえで、提案内容をくらべましょう。
見積もりをくらべる場合は、金額だけでなく、取り入れている内容や家の耐久性、完成後の修繕、修理などのアフターサービスを確認しましょう。各社に他社と相談していることを伝えると、より良い提案を引き出すこともできます。
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