ローコスト住宅で後悔するのはなぜ?失敗例にはどんなものがある?



「ローコスト住宅を買って後悔した」
「ローコスト住宅はおすすめしない」
費用を抑えてマイホームを手に入れたいと考えている人のなかには、ローコスト住宅の否定的な意見を見て不安になっている人もいるのではないでしょうか。

 

実際にローコスト住宅は、住んでから後悔することがあるため、ローコストのデメリットを知ったうえで検討する必要があります。

 

本記事では、ローコスト住宅を選んで後悔した理由や失敗例、ローコスト住宅でも問題ない人の特徴について解説します。本当にローコスト住宅を選んでも問題ないかの判断材料にしてください。

 

 

ローコスト住宅に住んでみてから後悔する6つのおもな理由

ローコスト住宅に住んで後悔する理由は、6つあります。1つ目は、住宅の品質や性能が低く、住み心地が悪いことです。2つ目は、敷地や間取りが狭いことによる使い勝手の悪さでストレスが溜まることです。

 

3つ目は、防音性や断熱性が低いため、住むうえで発生する車の音や生活音、冬場の寒さに悩まされることがあります。4つ目は、低品質な材料や手抜き工事により、住宅の寿命が短く修繕・修理費用がかさむことです。

 

5つ目は、住宅の外観を周囲と比較した場合に、劣等感を感じることがあることが考えられます。6つ目に、住宅ローンの返済が辛くなる場合や、ローンが承認されないことも後悔に繋がるケースがあります。

 

近隣住民からお金がないと思われて恥ずかしい

住む人が満足できる暮らしを選ぶことが大切なので、ローコスト住宅を選んだことに恥ずかしさを感じる必要はありません。

 

近所の人は、ローコスト住宅についての内容や詳細を明確に知らないことが多く、ローコスト住宅ということに気付きません。また、現代の価値観は多様化しており、建築価格が高い家を持つことよりも旅行や食事、趣味などにお金を使う人が増えています。マイホームと周りの家をくらべて恥ずかしいとは思わない傾向にあります。

 

建売のローコスト住宅を買ったが実は欠陥住宅だった

建売を購入する場合は、価格だけではなく、品質や機能性の情報も収集して、家の品質や素材を理解したうえで購入しましょう。

 

ローコスト住宅は価格が安く手が届く範囲の住宅に見えますが、実際には低価格を実現するために劣化しやすい素材をつかっていることがあります。たとえば、外壁や床の材質に劣化しやすいものが使用されていた場合は数年で修繕が必要になる可能性があります。
外壁の劣化しやすい材質について紹介します。

 

木材 風雨や紫外線の影響を受けやすい
腐食やひび割れ、色あせなどの劣化が生じる
サイディング 耐久性はあるが、台風や大雨による風圧や浸水の影響を受けやすい
ひび割れ、変色、剥がれや浮き、サビなどの劣化が生じる
セメントボード 時間の経過や気候条件の変化の影響を受けやすい
ひび割れ、浮き、剥がれ、色あせ、塗装の剥がれなどの劣化が生じる

床の劣化しやすい材質について紹介します。

 

木材 水の浸入で傷みや変形
湿度の高い場所や水回りは劣化が生じる
カーペット 摩耗や汚れで影響を受ける
菌やダニの発生などにより劣化が生じる
ラミネートフローリング 水の浸入で膨張やキズ
剥がれることにより劣化が生じる

また、低価格を維持するために基礎の設計や施工の簡略化がおこなわれていたり、低品質な鉄筋やコンクリートの使用、軽量な木材の採用などによって、家族の生活に不便やストレスを与えます。たとえば、断熱性能が悪い場合は、冬は寒く、夏は暑くなります。さらに、防音性能が低い場合は、隣家との音の漏れが気になります。

 

欠陥住宅を購入してしまった場合、将来的な修繕や改善工事に多額の費用がかかり、家族の負担が大きくなるため後悔することがあります。

 

設備や機能が充実していない

生活に必要な設備のみが提供されるため、給水設備や排水設備、電気設備などにおいて最低限の設備が取り入れられます。

 

建物の外部からの熱の侵入や内部からの熱の損失を防ぐための断熱性能や、建物の外気と室内空間の流入や流出を防ぐ気密性能が低い場合、夏は暑く、冬は寒くなります。断熱性能が低い家では、光熱費が高くなる可能性があり、家計に負担をかけます。また、購入後の機能や動作不良など、細かい不具合の修繕や修理をおこなうアフターサービスがついていない場合もあります。

 

建物の総床面積を減らし建築費用を抑えるため、部屋の空間やサイズが小さくなります。たとえば、キッチンやお風呂、収納する場所が少ない場合があります。

 

想定よりも光熱費や修繕費がかさむ

建築時に断熱材の量を減らしたり、質を下げ費用を抑えているため、断熱性能が低く、冷暖房の効果が悪くなるため、毎月の光熱費が高くなり、家計に負担を感じます。また、断熱性能が低い家は湿気がこもりやすく、カビやアレルギー症状が起こりやすくなるため、定期的な清掃や空気清浄機の使用など対策をおこなう費用もかかります。

 

住宅で予想される修繕、修理費用について紹介します。

 

屋根修理 屋根の材料や損傷の程度によって異なり、瓦の修理や交換、屋根の防水工事など
約1万円~大規模な場合は数百万円
外壁修理 ひび割れや塗装の修繕、壁材の交換など
約1万円~大規模な場合は数百万円
配管修理 漏水や詰まりの解消、パイプの交換など
約5000円~大規模な場合は数十万円
電気系統修理 配線の修繕や交換、コンセントやスイッチの交換など
約5000円~大規模な場合は数十万円
水回りの修理 パーツの交換や詰まりの解消、水漏れの修理など
約5000円~大規模な場合は数十万円

ローコスト住宅では、建築後の修繕、修理などのアフターサービス期間が短いことが多く、さらには自己負担になることがあります。築年数が経つと修繕費が増えることが予想されるので、自分で計画的に修繕費用を積み立てることが大切です。

 

地震などの災害の度に大きな不安をストレスを感じる

一部のローコスト住宅は、耐震性が低いため、地震が起きたときに倒壊やひび割れが起こる可能性があります。

 

住む前に住宅の耐震性能を確認し、必要に応じて柱や梁の追加、補強材の取り付け、壁の補強などの工事をおこなうことも検討しましょう。また、ひび割れや劣化箇所の早期発見や早期修繕をおこなうことによって、建物の耐震性を維持することができます。

 

アフターサービスの期間が短いことで困った

保証期間が、大手ハウスメーカーとくらべ短いことが多く、定期的な点検が2年で終わってしまう場合もあり、建築後の修繕、修理に不安を感じることがあります。

 

期間が終了してしまったときは、可能な場合は、自己補修をおこない、信頼できる専門業者の利用も検討すると良いです。

 

大手ハウスメーカーの場合、最長で60年間の保証があることがほとんどで、建築費用が高い分アフターサービスも充実しています。スウェーデンハウスやへーベルハウスなどは、アフターサービスの評価も高くなっています。また、地元の工務店など小規模な建築会社は、地域に密着しており、柔軟かつ迅速だと言えます。

 

アフターサービスや保証に重きを置くなら、大手ハウスメーカーがおすすめです。

 

 

ローコスト住宅の6つの失敗例

思ったよりもエアコンの効きが悪かった

断熱材が少ない場合や、断熱性能が低いと、室内の熱が外に逃げやすくなり、エアコンが効きにくくなります。

 

電力の供給や配線の容量が制限されていると、エアコンの動作に必要な電力が確保されていないと、冷房や暖房の能力が十分に発揮されず、効きが悪くなります。

 

他に考えられる原因は、エアコンのフィルターや室外機が汚れていることです。長く使用しているとフィルターや室外機にホコリやゴミがたまり、エアコンの効きが悪くなります。また、部屋の広さに対してエアコンの能力が不足していると部屋全体が冷えにくくなります。

 

エアコンの効きが良くなる対策方法をまとめてみました。

 

原因 対策
断熱材が少ない、断熱性能が低い 壁や天井、床などに断熱材を追加
窓やドアの隙間、壁や天井などにシーリング材や断熱テープを使用して隙間を埋める
太陽熱や冷気の侵入を抑える効果があるウィンドウフィルムの使用
換気システムを設置し、新鮮な空気を取り入れる
電力の供給や配線の容量が少ない 電力会社や電気工事業者に相談し、電力供給の増強
他の電気機器と同時に使用しない
省エネルギー性能の高いエアコンの選択
配線の見直し
エアコンの汚れ フィルター、室内機の定期的な掃除
室外機に日除けを設置
時期にあった風量や温度設定

騒音が気になってまともに眠れなかった

建てる時に、間仕切りや遮音性能を持った建材を使用し、周囲の環境も事前に確認し、騒音が気になる場所を避けて建てることが大切です。

 

住宅性能が低いと、壁や床の間仕切りが薄く、隣人の騒音や外部の音が部屋の中に入り込むことがあります。たとえば、隣人のテレビや音楽の音、会話が聞こえ夜も眠りにつくことができず、睡眠不足に悩むことがあります。

 

また、繁華街や交通量の多い道路に近い場所に建てられた住宅では、車の騒音や街の喧騒が響くことがあり、騒音問題は日々の生活に大きなストレスを与えます。

 

実際にキッチンを使ってみたら使い勝手が悪かった

キッチンは毎日の食事作りに欠かせない場所なので、使い勝手の良さが住み心地に大きく影響します。後悔を避けるために、事前にキッチンの機能やデザインを確認し、使用する人の身長や体格とくらべて、利用しやすい高さや幅なのか必要性に沿った選択をしましょう。

 

実際に利用した場合、キッチンの収納空間が不足していたり、動く通路が使いにくいと感じることがあります。安い建材や設備が使われているため、耐久性が低く、建付けが悪い場合は、修理が必要です。棚や引き出しの追加、壁面を活用した収納空間を設置などの、効果的な収納アイデアを取り入れることによって対策をすることができます。

 

子供部屋を用意することができなかった

子どもたちが成長するにつれて部屋の仕切りを配置するなど間取りを変化させていくことで、狭い住宅でも工夫次第で子ども部屋を用意することができます。

 

ローコスト住宅を選んだ場合、部屋数を節約した結果、子ども部屋を作ることができないことがよくあります。子どもが成長するにつれて、自分用の勉強場所や個人的な空間の必要性が高まりますが、後から間取りを変更することはなかなかむずかしいものです。

 

解決策として、本棚や収納家具を仕切り代わりに配置することで、子どもだけの空間を作ることができます。また、部屋の配置や家具選びに工夫をすることで、狭くても快適な環境を整えることができます。

 

地震などの災害によって家が簡単に全壊してしまった

地震や津波などの自然災害が起きると、多くの被害が発生しますが、特に家屋の倒壊などが問題です。建設費用を抑えた住宅は耐震性能を必要最低限にするケースが多いため、地震によって家が全壊してしまうリスクがあります。たとえば、阪神・淡路大震災では、約6400人が死亡し、約16万戸の家屋が全壊・半壊しました。死者のほとんどが木造建築物の倒壊によるもので、住宅の欠陥が指摘されました。

 

地震が発生した場合の公的支援は、十分な金額とは言えず、最大300万円までの支援がありますが、元の住宅と同程度の物件の再購入や再建築はむずかしくなっています。

 

ハザードマップを確認し、自分の住んでいる地域の危険性を知ることが大切です。必要と感じた場合は、地震保険に加入し、未加入の危険性を減らすことも考えましょう。

 

積み重なる修繕費によって結局高額な費用がかかった

住宅には定期的な修繕、修理が必要で、特に安い建材を使用している場合、劣化が早く修繕費用が高くなりがちです。物件の経年劣化により、修繕費が増大するため、毎年修繕費用の見直しや、修繕費を計画的に積み立てることが大切です。

 

また、10〜15年単位で外壁の塗り直しや大規模な修繕工事が必要になることがあります。一戸建て住宅では、築年数が経過すると多額の修繕費が必要になるため、自分で費用を計画的に積み立てましょう。

 

向いている人以外はローコスト住宅は避けたほうが無難

ローコスト住宅に向いている人

とにかく家にかける予算を抑えたい人

家にかける予算を抑えたい時は、こだわる部分を減らすことが必要です。「あれもこれも」と予算をかけすぎると、バランスが悪くなり、結果的に無駄な支出が増えてしまいます。キッチンやお風呂など、使いやすさを重視したい方や、外観や庭などのデザインにこだわりたい方など各自のこだわりの箇所には、予算をかけることが満足度が高い家になります。

 

家づくりでは、自分の住みたい家や価値観を明確にしたうえで、予算の使い方を上手く調整することで、自分にあったバランスを見つけることができます。

 

特に家への強いこだわりがない人

こだわりがない方は、安くシンプルな間取りやデザインが特徴のローコスト住宅で満足することができます。

 

たとえば、最低限必要な間取りや省エネの基準を満たしている場合は、無駄なものにはお金を使わず、旅行や趣味にお金を使ったり、子どもの教育費に充てたりと有効活用することができます。

 

最近の住宅は、デザインや機能性に優れたものが増えていますが、価格も高くなる傾向にあります。ローコスト住宅は、基本的な生活機能を提供するために設計されているので、必要な設備や構造は備えています。

 

アフターサービスに期待しない人

アフターサービスや保証に重きを置く場合は、大手ハウスメーカーがおすすめですが、ローコスト住宅は大手ハウスメーカとくらべて低価格で提供されるため、保証期間が短かったり、定期的な点検が不十分だったりすることが多く、住み始めてからの修繕や必要な修理が必要になることもあります。

 

自分で問題に対処できる能力がある方や、建築後の修繕費は気にしていない方は、ローコスト住宅も選択肢として検討できます。

 

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