一戸建てで騒音の苦情に悩んだら?建てる前に知っておきたい対策


一戸建てを建てるか悩んでいる方は騒音問題についても把握したうえで建築を進めましょう。

 

一戸建てでも騒音は苦情につながるので、問題にならないよう対策することが大切です。
小さな子どもがいる家庭や楽器演奏が趣味な方は防音などの対策が必要です。

 

本記事では、「一戸建てに住んでおり騒音問題や苦情に悩んでいる」方や「一戸建てを建てようと思っているけれど、どのような騒音対策をしたら良いのか分からない」という方が、知っておくべき内容を紹介します。

 

 

一戸建てで騒音の苦情が来る原因

子どもの声や足音の生活音

家庭内で「朝や夜は走らない」や「家の中で大きな声をださない」といったルールを設けることが大切です。夜間や早朝などは、特に周りへの迷惑を考えましょう。

 

たとえば、朝早くから床を走り回ることで、60デシベル以上の音がでていることがあります。60デシベルは、生活騒音というよりも、うるさいと感じる不快な音の大きさです。

 

子どもが元気に遊んでいる姿は、家族にとっては幸せな光景ですが、隣近所にとっては迷惑がかかることもあります。声や足音は生活音として避けられない点ですが、大きすぎると迷惑をかけてしまうので注意が必要です。

 

地域の人々と良好な関係を築くことも大切です。あいさつを通して顔見知りになったり、生活音を気さくに謝れる関係だと、寛容に受け入れてくれることがあります。

 

エアコンの室外機の稼働音

普段は気にならなくても、窓を開けている時や外で作業をしている場合は、稼働音が気になります。室外機の音が大きくなる原因はいくつかあり、それぞれ異なる対処方法が必要です。

 

たとえば、室外機の周りに荷物や鉢植えを置いている家は、遠ざけたり片づけからおこないましょう。室外機の外側が汚れているときは、室外機の側面にある翼や表面の通気口の汚れている部分を掃除するのが効果的です。さらに、室外機内部の汚れや劣化も音の原因です。室外機内部は、専門家に掃除や修理を依頼しましょう。室外機の異音が経年劣化のせいであれば、修理や買い替えが必要です。

 

エアコンの設定温度も音の大きさに影響を与えます。外気温との差が大きいと室外機に負担がかかり、音が大きくなります。

 

楽器演奏

楽器演奏は、指定された時間で対策をして音楽を演奏しましょう。

 

特にピアノやドラムといった音量が大きい楽器は、近隣に迷惑をかけるので、注意が必要です。電子ピアノや電子ドラムなど、ヘッドフォンを使用すれば外部に漏らさない楽器を使用していても、「電子楽器なら問題ない」と考えるのは危険です。楽器の種類で音の大きさが異なり、うるさいかなと感じたときは、振動や響き音を抑えることができる防音マットをしいたり、周囲に設置するパネル状の装置で、音の拡散を抑えるといった対策をとりましょう。

 

最近では在宅勤務をおこなう人が増えているので、日中でも周囲への気遣いが必要です。演奏をする場合は、防音対策をするか、家ではない練習場所を見つけることをおすすめします。

 

ホームパーティーでの話し声

ホームパーティーを開くときには事前に近隣の方に挨拶して理解を得たり、夜遅い時は音がこもりやすい場所で開催する工夫が大切です。

 

食事をしたりお酒が入ると、大笑いや大声での会話が増え、周りに迷惑をかけてしまいます。窓やドアは隙間なく閉め、外に漏れないように気を付けましょう。さらに、大声で話すのを控えたり、適度な休憩時間をとると気持ちが落ち着き、騒音を減らせます。

 

 

一戸建ての騒音苦情問題を未然に防ぐには?

騒音苦情が発生しにくい土地を探す

同じような環境で暮らしている住宅地に住むと生活の基準が近いため騒音苦情が発生しにくくなっています。たとえば、子育て世帯は子どもが多い住宅地、学生は学校の近くなどの住宅地に住むことによって似た悩みや騒音を出すことが多く音に寛容になる傾向にあります。

 

しずかな環境で暮らしたい方は、都市部や大通りから離れた郊外や田舎の地域がおすすめです。交通量の多い道路や鉄道の近く、工場や商業施設の周辺は、うるさいことが多くしずかに暮らすには良い環境とは言えません。

 

引っ越しの費用や時間に余裕がある方は、住む予定の場所を最初に調査しておくと、住む地域について理解でき、心地よく暮らせるか判断できます。昼間のみならず夜間も確認に行き、時間ごとのうるささを知ることで、納得したうえで暮らすことができます。不動産会社や管理会社に過去にあった問題を聞くことも、未然に防ぐ対策です。

 

小さい子供を育てている家庭が多い地域を探す

子育て家庭が多い地域では、子どもの声や遊ぶ音に理解がある近隣住民が多いため、問題が起こりにくいです。

 

たとえば、神奈川県厚木市などでは、子育て支援センターで親子教室やイベントなども開催されていたり、児童手当や育児休業給付金、医療費助成などの制度が充実しています。地域全体で子どもと子育て家庭を支えるために数多くの支援策が取り入れられており、子育て世帯が集まりやすい地域だといえます。

 

地域を選ぶときは、子育て支援施策や安全な通学路、学校や公園などの施設が充実している方が良いです。お互いに助け合う精神を持った近隣住民が多い地域に住むことで、寛容な環境で子育てをすることができます。

 

昼夜問わず賑やかな土地を探す

昼夜賑やかな場所は私たちの生活音をかき消してくれますが、防音対策が必要なことがあります。

 

実際に現地に足を運んで昼と夜の音を確かめることで、時間や曜日で変わる状況を把握できます。近隣の人や不動産会社に話を聞くことで、生活の様子や悩み、困り事が分かり、今後の生活が想像できます。

 

新築する家の遮音・防音の精度を確か家を建てる

RC造・鉄骨造・木造の違いによる遮音性を抑える

高い防音性を目指すなら、木造より鉄筋・鉄骨造の家がおすすめです。

 

防音性が最も高いのは、鉄筋をコンクリートに入れているコンクリート造(RC造)の家です。次に防音性が高いのは鉄骨造の家で、木造の家は最も防音性が低いです。鉄骨造の家は、木造にくらべて壁や床が厚いため、音の伝達が小さくなります。

 

コンクリート造にした場合でも、完全に防音することはむずかしいため、壁の構造や厚さなども考えましょう。隣の部屋との内壁がコンクリートでなく、石膏と紙を組み合わせて作られている石膏ボードやガラスの原料を繊維状にしたグラスウールでできているものは、低周波の音や振動がもれやすく、遮音性能が得られにくくなります。

 

外壁の防音性を確かめる

外壁の防音性能を高めるには、コンクリートや鉄板など防音性に優れた素材を選びましょう。次に、壁の厚さについて確認します。一般的な壁の厚さは、石膏ボードや断熱材も含め約8〜12cmです。厚い壁ほど、音の伝わりが少なく防音性が高まります。

 

防音性の高い外壁を作る素材を紹介します。

 

外断熱材 建物の外側に断熱材を入れたもの、ウレタンフォームやグラスウールを使用
吸音材 外壁に吸音材を入れたもの、吸音パネルや吸音シートを使用
防音ガラス 二重遮音ガラスや空気層入り遮音ガラス、真空ガラスなど

防音性を確かめるには、室内で手を叩いて音の響き方を確認しましょう。部屋の中で大きく響いた時は防音性が高く、音が響かない時は防音性が低いと判断できます。

 

床の遮音性・防音性を確かめる

床材を選ぶ時は、カーペットや畳、コルクマットなど、吸収する素材が効果的です。特に、カーペットや畳は吸収力が高く、あやまって物を落としてしまった場合などの思いがけない音の伝達も減らせます。

 

防音マットや防音シートを床に敷くことも有効で、厚手のマットやシートを選ぶことにより、対策ができ、ホームセンターで購入できる防音マットは、滑り止めの効果もあるため、子どもが転んでしまったときの怪我防止の対策にもなります。

 

防音性の高い床を紹介します。

 

遮音フローリング 特殊な構造を持つ床材
木質系や合成樹脂系などの素材を利用
アンダーレイ 床材の下に敷く床材
ゴムや合成ゴムを利用
カーペット 騒音の吸収効果が高い床材
カーペットや遮音パッドを組み合わせると効果的
吸音マット 床下に敷く床材
マルチレイヤー構造の吸音マットが効果的

窓ガラスの防音性を確かめる

窓は部屋で最も外の音が入りやすい箇所なので、防音性の高い窓ガラスを選びましょう。

 

窓枠の立て付けが隙間なく、窓枠がきちんと閉まっていると、防音性能も良く小さな虫の侵入も共に防げます。

 

防音性の高い窓ガラスやサッシは家の立地を考えて選ぶと、費用も抑えられます。たとえば、騒音が多い道路に面した部屋の窓だけに、防音性の高いものを取り入れることで、効果的な防音対策が可能です。

 

防音性の高い窓ガラスやサッシを作る素材を紹介します。

 

ラミネートガラス 2枚以上のガラス層を特殊な合成フィルムで結合したガラス
騒音の吸収と遮断効果がある
ダブルサッシ 二重窓
騒音の遮断効果を高める
サッシの断熱材 サッシにウレタンフォームやグラスウールを利用
騒音の伝達を減らす
遮音性の高いサッシフレーム サッシフレームにアルミニウムサッシや木材サッシの内側に遮音材を利用
騒音の伝達を減らす

間取りを工夫する

隣家よりも遠い位置に配置する

隣家との程よい距離を確保することで、快適な生活が送れます。

 

道路や近くの家と離れた場所に家を建てることで、距離をとることができ、子どもの飛び出しなどの交通事故の危険性も減らすことができます。家が近隣住宅から離れていれば、お金をかけて対策をする必要もなく、経済的にも助かります。

 

さらに、住宅間の距離が十分にあることで、互いが気になる機会も減り、駐車場の無断駐車などの問題やゴミ捨て場の使用方法などの近隣問題を避けつつ良好な関係を築けます。

 

窓の位置を隣家とずらす

建てる家の窓と隣家の窓をずらして配置すると、家から出る音が窓に伝わりにくくなります。距離が離れるほど小さく伝わり、窓への到達が減るので、室内への音が下がります。

 

エアコンの室外機の位置に配慮する

室外機からの音や振動を抑えるため、周囲に反響する障害物を避けて配置しましょう。

 

エアコンの室外機は騒音を発生させる可能性があるため、建築基準や地域の規制を遵守し、距離を保つことが大切です。エアコン室外機の周囲には、音の遮断や吸音効果のある材料を使用することで騒音を減らせます。たとえば、遮音フェンスや防音パネルを設置した場合、室外機から発生する騒音の拡散を抑えることができます。

 

エアコンの室外機は動作時に振動を発生させることがあります。振動が建物や地面に伝わることで騒音が生じる場合、振動を吸収するために台座や振動吸収材を敷くことが効果的です。

 

防音室を設置する

防音室は、新築時にハウスメーカーや工務店に依頼することができ、後からリフォームで設置することもできます。

 

音を外に漏らさない工夫がされた部屋を取り入れることで、楽器の練習や家庭での映画鑑賞など、音楽を楽しめます。防音対策は効果的な場所にのみに施すことで費用を抑え、ピアノ演奏をおこないたい場合は、ピアノの音が伝わりやすい部分にのみ対策をおこなうことで、より安い費用で効果が得られます。

 

遮音材・吸音材・制振材について紹介していきます。

 

遮音材 音の侵入や伝達を防ぐために使用
密度の高い素材で構成し、音波の通過を阻害
吸音材 音の反射を抑えて室内の音響環境を改善するために使用
音波を吸収する性質を持ち、反射音を減少
制振材 振動を吸収または制御するために使用
振動エネルギーを吸収して減らすことで、構造物や機器の振動を抑制

他には、防音ブースを設置して防音効果を得ることもできます。防音ブースは、家具や部屋に取り付ける小型の防音室で、比較的安く設置できます。ただし、防音効果が低いものもあるため、用途や予算を考えて選びましょう。

 

近隣トラブルを未然に防ぐ

入居時には挨拶をする

入居する前や顔を合わせたときに、挨拶を交わすことは近隣と良好な関係を作る上で大切です。特に、電話や手紙ではなく、直接顔を合わせて挨拶をすることによって、お互いに信頼感が生まれます。まずは、左右の隣の家と、上下の部屋の両隣、計8軒に挨拶をしましょう。音は遠くまで響くことがあるので、普段から交流をはかることが大切です。

 

挨拶に行く時期は、昼家にいる可能性が高い時間が望ましいですが、忙しい方には夕方以降の在宅時を見計らって訪問します。何度通っても挨拶ができない時は、挨拶の手紙をポストに入れておきましょう。

 

自治会にも挨拶をし、管理組合に届け出を出すことも忘れずにおこなうことによって、新しい生活が始まっても周囲の人たちと協力し合って、快適な生活を作り上げられます。

 

早朝・夜間の音には気をつける

住宅地域では、夜間や早朝は静かに過ごす時間帯です。たとえば、洗濯機や掃除機の使用は、音が大きくないと感じていても、周りが静かだと音が響き、迷惑になります。

 

テレビや音楽の音量にも注意が必要で、壁に隣接している部屋で音楽を聴いたり、テレビを見る場合は、音が壁を通じて隣の家にも伝わりやすくなりますので、音量や場所を考えて配置しましょう。

 

外では親しいご近所さんと話が盛り上がることもありますが、たとえ昼間でも、声が大きくなりすぎると問題に発展するので気を付けましょう。子どもたちの公園や家の庭での遊びにも注意が必要です。具体的には、ボールを壁にあてて遊ぶことや、大きな声を出して走り回るなどの行動は避けましょう。

 

地域のルールを守る

防犯や防災、環境美化などを自主的・組織的に活動している自治会があり、活動を通じて、住民同士の交流を深め、互いに騒音や迷惑行為を気にしあうことが大切です。

 

用途地域という都市計画法に基づく区分があることを知ることも大切です。用途地域によっては工場や商業施設が建つことがあるので、将来生じるであろう騒音や将来変わる環境に悩まされることがない地域を選ぶことも問題を避ける方法です。

 

さらに、地域によっては特定の騒音に関連する法律や規制があります。環境基準という政府が定める目標があり、地域や時間帯によって設定されているので確認してみましょう。

 

一戸建てで騒音苦情が来た時の対応方法

騒音苦情を入れた本人に謝罪して対策方法を共有する

騒音苦情があった場合は、丁寧に謝罪し相手の状況を理解したうえで、具体的な対策方法を提案し、原因をなくすことが大切です。

 

たとえば、歩く時にスリッパを履くことで足音を減らしたり、椅子の足にフェルトを貼ることで床への衝撃を減らすことができます。また、窓や壁際にはテレビや音の大きな家電を置かないように注意することも効果的です。壁際にはタンスや本棚など、音を吸収する家具を配置することで騒音の伝わりを和らげます。さらに、洗濯機の下に吸音性や振動吸収性の高い材料が組み合わされている消音ゴムを敷くことで音や揺れを吸収し、静かにする効果があります。

 

解決できなければ自治会・役所に相談する

音の大きさの基準を定める

不快に感じる大きさの基準を把握し、問題の発生を防ぐ対策をとりましょう。

 

うるさいと感じる音の大きさは、人によって違いますが、基準は存在します。基準を理解したうえで、自分たちが加害者にならないよう気を付けることが大事です。基準として、音の大きさはデシベル(dB)で表します。たとえば、家庭用エアコンの音は約41〜59デシベル、洗濯機の音は約64〜72デシベルなど、家電製品や日常生活に対して、デシベルで表すことができます。ピアノやエレクトーンなどの楽器は約70〜90デシベルと、大きな音が出ることで騒音問題になることがあります。

 

一定の音の大きさであれば許容される時間帯のルールを定めてもらう

一戸建てで騒音に困っている場合は、音を出しても良い時間のルールを話し合いで設定することがおすすめです。たとえば、音の大きい楽器などは、平日の午前9時〜午後8時、土日祝日には午前11時〜午後7時の間なら利用して良いなどといったルールを近所の人と話し合って決めると良いです。

 

 

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