木造と鉄骨造・鉄筋コンクリート造の違いは?構造の選び方も
木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造など家における構造にはいくつか種類があります。これらの構造にはどのような違いがあるのでしょうか。またこれらの構造を採用する木造住宅や鉄骨造住宅、鉄筋コンクリート造住宅とは何でしょうか?
家づくりの基本ともいえる構造選び。まずはそれぞれの違いを理解することが大切です。そこでこの記事では、以下の内容を解説します。
・木造住宅の概要と主な工法
・鉄骨造住宅の概要
・鉄筋コンクリート造住宅の概要
・木造住宅と鉄骨造住宅、鉄筋コンクリート造の違い
・木造住宅と鉄骨造住宅、鉄筋コンクリート造を比較(建築コスト/耐震性/間取りの自由度/耐火性/防音性)
・構造を選ぶ際のポイント
住宅メーカーなどに相談する前に自分でも知識を付けておくことで、納得する家づくりの第一歩を踏み出すことができるでしょう。
目次
木造住宅とは?
木造住宅とは、「土台や柱など主要な部分が木材で造られた住宅」を指します。日本では昔から木材が豊富にあり、長い歴史の中で木造建築技術も発展してきました。日本では木造住宅の割合が最も高く、広く普及しています。
木造住宅の工法はいくつかの種類がありますが、代表的なものに「木造軸組工法」と「木造枠組壁工法」、「木造ラーメン工法」の3種類があります。
<木造住宅の3つの工法>木造軸組工法:柱を立て、水平材の梁を渡し、筋交いを柱と柱の間に斜めに入れて補強する昔ながらの工法。在来工法とも呼ばれ工務店の多くが採用している。木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法ともいう):2×4インチの木製パネルで壁や床、天井の面を造って組み立てる工法。さらに強度を上げた2×6インチもある。木造ラーメン工法:強度の高い鉄骨造の工法を木造で再現。木の柱と梁を太くし、接合部を専用の金物で一体化させる工法。 |
このように木造住宅と一口にいっても、工法が異なり、さらに工法によるメリット・デメリットにも違いがあります。
木造住宅の工法別のメリット・デメリットまとめ
木造住宅の主な3つの工法のメリット・デメリットを見ていきましょう。
木造軸組工法 | 木造枠組壁工法(2×4工法) | 木造ラーメン工法 | |
メリット | 間取りや窓の位置など、設計の自由度が高い。 増改築やリフォームなども行いやすい。 |
床・壁・屋根を「面」の組み合わせで支えるため、地震に強い。 品質が均一 |
大空間を造りやすく、3階建てにもしやすい 大規模なリフォームにも対応できる |
デメリット | 職人によって品質にバラつきがある シロアリ・湿気対策が必須 |
リフォームや増築、間取りの変更が難しい とくに中小規模の工務店では対応していないこともある |
対応できる施工会社が限られる コストが高め |
木造軸組工法は日本の住宅の約7割に使われており、最もメジャーな工法といえるでしょう。一方、木造ラーメン工法は特殊な金物を使用するため、対応できる施工会社が限られてしまいます。ただし、3階建てにするなら、その耐震性能の高さから木造ラーメン工法が第一選択肢になるでしょう。職人の腕による品質の差が出にくい工法なら木造枠組壁工法も検討すべきです。
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鉄骨造住宅(構造:鉄骨造)とは?
鉄骨造住宅とは主要な構造体部分である柱や梁に鉄骨が使われている住宅です。鉄骨造住宅は鉄骨の厚さにより「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に分かれます。
・厚さ6mm以下の鋼板からなる鉄骨が使用されている
→軽量鉄骨造
・厚さ6mm以上の鋼板からなる鉄骨が使用されている
→重量鉄骨造
このうち日本の戸建て住宅のほとんどは「軽量鉄骨造」です。軽量鉄骨造より強度の優れた重量鉄骨造は高層マンションや商業ビル、倉庫などに使われることが多いです
なお、日本の住宅ボリュームとしては、次に紹介する鉄筋コンクリート造よりも鉄骨造住宅の方が多い傾向にあります。
鉄筋コンクリート造住宅とは
よく混同しがちですが、鉄骨造住宅と鉄筋コンクリート造住宅は異なる住宅です。
<鉄筋コンクリート造住宅とは>太さ1cm以上の鉄の棒である鉄筋で組んだ枠組みの周囲に、コンクリートを流し込んで固めて造る構造の住宅 |
鉄筋コンクリート造は3~10階建てのビルやマンションに採用されることが多いです。また、鉄骨造住宅に比べ、耐震性能や防音性能が高いなどの特徴があります。ただし、日本において鉄筋コンクリート造の戸建て住宅はごくわずか。鉄骨造住宅や木造に比べてコストも高額になってしまいます。
木造住宅・鉄骨造住宅・鉄筋コンクリート造住宅の違い
木造住宅・鉄骨造住宅・鉄筋コンクリート造住宅の違いを、建築コストや耐震性などの項目から解説していきます。自分の中でどのような家を建てたいのか、条件の優先順位をつけながら、どの構造・住宅がベストなのかを考える際の参考にしてください。
※ここで紹介する構造別の順位はあくまで傾向です。
建築コスト:木造住宅が低い
建築コストは木造住宅の方が最も低い傾向にあります。
<建築コスト>
木造住宅<鉄骨造住宅<鉄筋コンクリート造住宅
木造住宅の場合、木材は鉄骨材よりも安いケースが多く、工期も短いため、人件費も抑えられるため、建築コストが安くなります。
建築費の多くを占める坪単価は会社により異なりますが、おおよその目安は以下のとおりです。
・木造住宅:50万円~70万程度
・鉄骨造住宅:50万円~90万程度
・鉄筋コンクリート造住宅:100万円程度~
このように木造住宅の坪単価は鉄筋コンクリート造住宅の半分程度になる場合もあります。
<坪単価について注意点>坪単価とは「1坪あたりの建築費用」、つまり建物の本体価格を延床面積もしくは施工面積で割ったもの。ただし、坪単価に明確な定義はなく、延床面積と施工面積のどちらで計算するかは会社によって異なります。延床面積と施工面積、どちらで計算するかによって金額は大きく異なる点は注意しましょう。 <延床面積と施工面積>延床面積:建物の床面積を合計したもの施工面積:ベランダや玄関ポーチなど延床面積に含まれない部分も含まれる |
耐震性:鉄筋コンクリート造住宅が高い
耐震性は鉄筋コンクリート造住宅が最も高いです。
<耐震性の高さ>
鉄筋コンクリート造住宅>鉄骨造住宅>木造住宅
鉄筋コンクリート造は、鉄筋の引っ張る力に強いという特徴と、コンクリートの圧縮される力に強いという特徴を兼ね備えた構造のため、高い耐震性を確保できています。
ただ一番耐震性が低い木造住宅についても、水準は高くなっており、鉄骨造住宅と大きく変わらないレベルにまでなっています。また、木造住宅の中でも、建物を揺らすことで力を逃す「木造軸組工法」や面で力を受け止める「木造枠組壁工法」の工法で家を建てることで、耐震性を高めることも可能です。
間取りの自由度:鉄骨造住宅が高い
間取りの自由度は鉄骨造が最も高いです。鉄骨造で使われる鉄骨は木造住宅よりも強度があるため、細かく材料を造ることができ、間取りも自由にデザインすることができます。また、木造住宅でもとくに「木造枠組壁工法」は、鉄骨造よりも間取りの自由度が低いです。木造住宅で間取りの自由度を確保したい人は「木造軸組工法」を検討しましょう。
<間取りの自由度>
鉄骨造住宅>鉄筋コンクリート造>木造住宅>
耐火性:鉄筋コンクリート造住宅が高い
耐火性は、不燃材料であるコンクリートを使用している鉄筋コンクリート造住宅が最も高いです。
<耐火性の高さ>
鉄筋コンクリート造住宅>鉄骨造住宅>木造住宅
火に強いイメージのある鉄骨ですが、実は熱を加えられると柔らかくなり、強度が低下してしまいます。そのため、鉄骨造は鉄筋コンクリート造よりも耐火性は低いです。
3つの構造の中で、木造は燃えやすい木を使用しているため、木造住宅が最も耐火性は低くなります。木造住宅でなるべく耐火性を高くするには、火の燃え上がりを防ぐ枠組材を組み込む「木造枠組壁工法」で家を建てるなどの工夫が必要です。
防音性:鉄骨コンクリート造住宅が高い
防音性は木造住宅や鉄骨造住宅よりも鉄筋コンクリート造住宅の方が高いです。これは木材にはコンクリートのほどの遮音性がないためです。鉄骨造も防音性が高そうですが、実はあまり木造と変わりません。
<防音性の高さ>
鉄筋コンクリート造住宅>鉄骨造住宅・木造住宅
ただし、一口に木造住宅といっても間取りを工夫したり、断熱材や断熱性の高い窓サッシなどを使用した高気密住宅を建てることによって、高い防音性を実現できる場合もあります。
そのほか、防音カーテンや防音シートを使用するなどの対策で防音性を高めることも可能です。
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理想の家により構造を選ぼう
木造住宅・鉄骨造住宅・鉄筋コンクリート造住宅、どの構造で造られた住宅が良いのかは人によります。以下はあくまで傾向ですが、構造選びの際に参考にしてください。
・建築コストを重視する人→木造住宅
・自由な間取りで空間をデザインしたい人→鉄骨造住宅
・耐火性・防音性・耐震性を重視する人→鉄筋コンクリート造住宅
ただし、建築コスト:木造住宅が低いでも触れたとおり、鉄筋コンクリート造については建築コストが木造住宅や鉄骨造住宅に比べて高額のため、個人住宅への採用率は低いのが現状です。
そして、3つの構造の中で最も多いのが「木造住宅」。なんと、日本の戸建て住宅の約9割が木造です。木造住宅は耐火性や防音性が低くても工法や間取りを工夫することで、そのデメリットを補うことができます。どの構造・住宅が自分の希望に合っているのか、上記はあくまで傾向として押さえ、専門のアドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造、それぞれの構造や住宅について違いを解説してきました。構造や木造住宅においては工法にもより、違いがあることが分かりましたね。
どの構造を選ぶかは、家づくりをする上で重要な選択です。どのような構造を選べばいいのか分からない方は、詳しくは「オンライン相談サービス」でもご相談を承っておりますので、ぜひ利用を検討してみてください。
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