土砂災害警戒区域とは?制限や調べ方、注意点などを解説
注文住宅を建てる際は、災害が起きにくい土地か調べることをおすすめします。様々ある災害の1つに土砂災害があり、扇状地や造成地、急傾斜地などで発生しやすいです。今回は、土砂災害防止法に基づき指定される土砂災害警戒区域について解説します。
目次
土砂災害警戒区域とは
Point 土砂災害の恐れがあり、発生した場合は住民に危険が及ぶ恐れがある区域のこと
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)とは、土砂災害の恐れがあり、土砂災害が発生した場合、住民の生命または身体に危害が及ぶ恐れがある区域のことです。
土砂災害防止法に基づく基礎調査に基づき、区域を指定します。
土砂災害の警戒避難体制を特に整備すべき区域で、土砂災害情報の伝達や避難を早くできるように市区町村が整備を図っています。
土砂災害防止法とは
平成11年6月29日、広島市・呉市を中心とした集中豪雨により大規模な土砂災害(がけ崩れ・土石流などの発生件数が325件、死者24名)が発生しました。
この災害では、土砂災害の危険の認識がなく危険な箇所に住民が居住し被災したことや、新たな宅地開発が進むことにより土砂災害の恐れがある箇所が増加していることなどが問題視されました。
こうした課題を踏まえ、土砂災害の恐れがある箇所を明確にし、住宅などの新規建築の抑制や警戒避難体制の整備などを推進することを目的として制定されています。
土砂災害危険箇所とは
土砂災害危険箇所は、都道府県のWebサイトなどで公開されており、住民が土砂災害の恐れがある箇所を確認し、土砂災害への備えや警戒避難に役立てられるものです。
土砂災害防止法が施行される前に実施した調査結果を平成15年度に公開しています。ただし、土砂災害危険箇所には法的制限がありません。
土砂災害危険箇所の調査では、2万5,000分の1の地形図を使用して土砂災害の恐れがある箇所を把握したのに対し、土砂災害警戒区域の基礎調査は、2,500分の1の地形図を使用しています。そのため、土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域では、その範囲が異なる場合があります。
土砂災害特別警戒区域とは
Point 土砂災害警戒区域のうち、著しい危害が生じる恐れがある地域のこと
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)とは、土砂災害警戒区域のうち、住宅などに損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生じる恐れがある区域のことです。一定の開発の制限や居室を有する建築物の構造規制が義務付けられます。
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域にはどんな制限がある?
Point 不動産取引の際に説明し、特定開発行為に対する許可制や建築物の構造規制がある
土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域には、それぞれ制限があります。
土砂災害警戒区域
土砂災害警戒区域に指定されると、区市町村は地域防災計画において土砂災害に関する情報の収集および伝達、予報または警報の発令および伝達、救助その他必要な警戒避難体制に関する事項を定めます。
区市町村長は、警戒避難に必要な情報をハザードマップなどの印刷物として配布し、住民に周知する必要があります。
また、不動産取引の際は、宅地建物取引業者が土砂災害警戒区域であることを記載した重要事項説明書を交付し、説明しなければいけません。
土砂災害特別警戒区域
土砂災害特別警戒区域に指定されると、土砂災害警戒区域で行われることに加え、特定開発行為に対する許可制や、建築物の構造規制などが行われます。
例えば、住宅や社会福祉施設、学校、医療施設などの新規建築のための開発行為については、土砂災害を防止するための対策工事の計画が必要な技術的基準を満たしている必要があります。
また、建築物の損壊を防止するため、急傾斜地の崩壊などに伴う土石が建築物に及ぼす力に対して、建築物の構造が安全なものとなるように、居室を有する建築物については建築確認の制度および構造規制が適用される場合があります。
つまり、土砂災害特別警戒地域で注文住宅を建てる際は、あらかじめ建築物の構造が土砂災害の防止や軽減のための基準を満たしていることを証明し、申請書を提出して建築主事または指定検査確認機関の確認を受けることが必要です。
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域かどうかの調べ方
Point 公報や土砂災害警戒区域等マップで確認できる
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域かどうかは、各自治体が発行する公報や、国土交通省のハザードマップポータルサイトなど確認できます。
また、「土砂災害警戒区域等マップ」にて詳細な図面を知ることができ、東京都であれば都庁や所管の建設事務所・支庁、区市町村で閲覧できます。なお、最近指定した区域については、航空写真平面図を掲載しています。
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域の注意点
Point 不動産価値が下がり、既存不適格建築物に該当する恐れがある
不動産価値が下がる
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域に指定されると不動産価値は下がります。区域指定を行うための基礎調査はおおむね5年ごとに行われます。そのため、現在は区域指定されていなくても、今後の調査で指定される可能性もあります。
なお、土砂災害警戒区域は、地形に変化がない限り区域の解除は行われません。ただし、土砂災害特別警戒区域は、対策工事の実施や地形の変化などによっては、区域指定の全部または一部について解除される可能性があります。
既存不適格建築物に該当する恐れもある
区域指定されると、建築基準法で定める基準を満たしていない建築物は「既存不適格建築物」となる恐れがあります。増築などを計画する際にはご注意ください。
まとめ
土砂災害警戒区域とは、土砂災害の恐れがあり、土砂災害が発生した場合は住民に危険が及ぶ恐れがある区域のことです。さらに、著しい危害が及ぶ恐れがある区域は、土砂災害特別警戒区域と呼ばれます。
この区域にある不動産を取引する際は、買い手にその旨を説明する必要があり、特定開発行為に対する許可制や建築物の構造規制があるため、購入する際は気を付けましょう。
また、区域指定される前に建っている建築物に対しては、建築基準法にて定められた条件を満たさない場合、「既存不適格建築物」となる恐れがあります。増築などを計画する際にはご注意ください。
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