二世帯住宅はデメリットだらけ?後から後悔しないトラブルの解消法
二世帯住宅はデメリットだらけと言われますが、デメリットだけではなくメリットもあります。
デメリットは、工夫によって解消することもできるので、最後までお読みください。
二世帯住宅がデメリットだらけと言われる理由
生活音の共有と防音対策の不足
二世帯住宅では、二世代が一つの建物で暮らすことから、生活音が気になることがあります。
特に、一階と二階に分かれた間取りでは、2階に住む人の足音や洗濯機の音が1階に響きます。夜間には、テレビの音量や話し声、お風呂やトイレの水回りの音も悩みの種です。
解決策として、家族で話し合い、ストレスに感じる音を共有し、防音対策を検討することが大切です。たとえば、2階の浴室の位置や寝室が重ならないように配置することが一つの方法です。また、遮音対策として、吸音材を使用した床材や壁材の利用や、洗濯機用防振ゴムや遮音シートを利用することも効果的です。
生活リズムのズレによるトラブルとストレス
二世帯住宅では、各世帯の生活リズムが調和しづらいことが課題です。たとえば、子世帯が夜遅くに帰宅することが多い一方、親世帯は昼間に活動し、早朝に起きることがほとんどです。
子世帯が夜に帰宅するときの音や、親世帯が早朝におこなう家事の音が、お互いに睡眠の妨げになることがあります。
また、子世帯が休日にゆっくり寝たいと思っていても、親世帯は朝早くから活動し始めることが多く、なかなか思い通りの休息がとれません。
生活リズムのズレは、長年の習慣や仕事や家族の状況によって生じるため、簡単に変更することがむずかしいです。ストレスを感じず快適に暮らすために、家族間で話し合い、納得した間取りにすることが大切です。
お互いの生活に干渉する
料理や洗濯、掃除の方法など、それぞれ家事の方法や価値観が違うので、屋根の下で生活することがストレスの原因になります。
また、親と子の間には世代間の価値観や考え方の違いが存在するため、認識の改善がむずかしく、トラブルに発展しやすくなります。
さらに、親が高齢になると、子どもは自然と親のことを心配するものですが、過度な心配がお互いに疲労をもたらすケースも多く見受けられます。
疲労が溜まる状況が続くと、家族間のコミュニケーションが悪化し、生活への干渉が増えることがあります。二世帯住宅では互いに適度な距離を保つことが大切で、話し合いを重視し、相手が望んでいる生活を理解したうえで、家づくりやルール作りに努めることが、家族全員が快適に暮らすための鍵です。
共用場所の不便性
二世帯住宅では、共用場所の自由な利用が制限されます。たとえば、キッチンや浴室、リビングなどが共有場所となっている場合、使用するときにはお互いに譲り合いが必要です。
片方の世帯のみが利用方法を考えていない場合、もう一方の世帯は常に気を使い続けなければなりません。洗濯機を使用するとき、優先する世帯を迷ったり、キッチンを使いたいときには家事の時間が重なり予定通りに作業が進まないことがあります。
リビングの場合、もう一方の世帯が眠っているときには、テレビの音量や音に気をつける必要があります。
共用場所の利用が自由にできないこともストレスの原因の一つです。住んでいる人たちはコミュニケーションを取り、共有場所の使い方について配慮しながら検討することで、快適に生活することができます。
建築費用の増加と負担
二世帯住宅は、通常の住宅とくらべて必要な面積が広く、お風呂やトイレが各世帯ごとに必要になるため、建築費が高くなる可能性があります。
親世帯に経済的な援助をしてもらえる場合、建築費は大きな問題ではありませんが、援助がむずかしい場合、子世帯が負担を強いられることがあります。
二世帯住宅を建てることで、子世帯の家づくりにかかる費用が増える可能性がありますが、2つの住宅を個別に建てるよりも費用を抑えることができる場合がほとんどです。
共有できる場所が多いほど、建築費を削減できる見込みがあります。たとえば、キッチンやお風呂を共同で利用すれば、建築費を節約できます。
光熱費の負担と不公平さ
二世帯住宅では、各世帯の電気やガス、水道の使用量の違いから光熱費の負担で問題が生じます。
たとえば、家にいる時間が長い世帯と、外出している時間が多い世帯が一緒に暮らす場合、1ヶ月あたりの光熱費の使用量に違いが出ます。
お金に関するトラブルは親子間でも話しにくく、不満を抱えたまま支払いを続けることもあります。不満がつのると、最終的に両世帯の関係にわだかまりが生じる可能性もあります。
光熱費の問題を避けるためには、最初からルールを決め、使用量に応じて負担することで、公平な負担が実現できます。
また、節約意識を持つなど、無駄な使用を減らす努力も必要です。光熱費の話し合いがむずかしい場合は、外部のアドバイスを求めることも有効です。お互いの意見を尊重しながら、分担することで、二世帯住宅での光熱費や水道代の問題を解決できます。
売却がむずかしい
二世帯住宅の売却がむずかしい理由の一つは、個別の家族事情に合わせた特別な設計がされていることです。たとえば、足の不自由な祖母向けに設置された自動スロープがある家は、足の不自由でない人にとっては必要ないものです。
また、価格もスロープがついている分高くなってしまうため、買い手にとっては不利な条件です。完全共有型の間取りは、最近の傾向である個人の時間を過ごせる場所を重視している間取りではないため、特定の条件にあった買い手を見つけるのはむずかしいです。
相続するときにトラブルになる
親が亡くなった後に兄弟や姉妹が相続権を主張する場合、遺産の分割方法が問題となり、トラブルが生じやすくなります。
子世帯が、親が亡くなった後も家に住み続けるためには、親の持っていた家の一部を兄弟や姉妹で共有し、家を売らずに、亡くなった親の財産を兄弟姉妹で分ける必要があります。
しかし、資金を用意できない状況では、家を売却せざるを得ず、二世帯住宅に住む子世帯はむずかしい状況におちいってしまうこともあります。
相続が問題に発展する前に、親と子で共有名義にしたり、家族で事前に対策をすることで、遺産分割が不便なく進み、後のトラブルを避けることができます。
また、公的機関が公表する「指標となる土地の価格」である土地の評価額を抑えることで、相続税の負担を減らすこともできます。ただし、相続問題は二世帯住宅に限らず、単世帯住宅でも起こり得るため、注意が必要です。
二世帯住宅のメリット
家を2軒建てるより建築費を抑えられる
二世帯住宅を建設する場合、建築費が高くなることは避けられませんが、同じ敷地内に2軒の住宅を建てるよりも費用を抑えられるメリットが大きいです。
キッチンやお風呂を1つにまとめるなど、共有できる部分が多くなるほど、建物全体の費用を削減することが可能になります。
さらに、親世帯と子世帯が別々のローンを組むことができれば、資金計画にも選択肢が生まれます。また、親世帯がすでに持っている土地に建てることが多いため、土地代を節約でき、建築費用だけで新しい住まいを手に入れたり、親から援助を受けやすくなります。
二世帯住宅では、上手く共用場所を活用することで、建築費用を減らせます。全員が快適に暮らせる二世帯住宅を建てることが、経済的にも魅力的な選択肢です。
子育て・家事・介護の分担化
二世帯住宅の中では、一緒に住んでいる家族が協力し、家事を分担することによって、家事や子育て、介護の負担を減らすことができます。
さらに、子世帯は子育てにおいて親世帯からのサポートが受けやすくなり、子どもの急な具合の悪さや急な残業にも対処でき、安心して子どもを預けることができます。
また、親世帯に高齢者がいる場合、介護の必要性が高まりますが、子世帯が親世帯の介護を助けることができます。介護を一緒にできることにより、親世代の精神的な負担や身体的なストレスを低下させることができます。
二世帯住宅では、家事、子育て、介護といった生活でお互いのサポートが受けられ、安心して暮らすことができます。
各世帯の経済的負担も分担できるため、光熱費や生活費の節約もできるため、助け合いながら生活するための良い選択肢です。
水道光熱費の基本料金を抑えられる
家庭ごとに、別で水道光熱費を払っていますが、親世帯と子世帯がまとめて支払うことで、基本料金を1軒分に抑えることができます。
財務省の統計データによると、2人暮らしの平均水道光熱費は、¥22,037、6人暮らし平均値は¥34,291と、¥12,254しか変わりません。
人数が増えても、水道光熱費は人数に比例して倍になるわけではなく、二世帯住宅の方がお得になります。
参考:2022年家計調査
さらに、家族一緒に暮らすことで、たとえば動画や音楽配信サービスの料金も、家族プランを利用してまとめて払うことができます。
水道・光熱費の支払いに関しては、世帯ごとの納得いく負担額について話し合いをし、トラブルを避けましょう。
防犯面で安心できる
二世帯住宅では、親子や親戚が一緒に暮らすため、家の中には常に誰かがいるという状態が保たれやすくなるため、泥棒や不審者が侵入しにくい環境が整います。
また、緊急事態が発生したときにも、互いに助け合うことができる点も安心感につながります。
たとえば、火事が起きたときや急な体調不良など、一人で対処しきれない状況でも、近くに家族がいれば迅速に解決ができ、外出時や夜間も、家族が見守り合うことで安全な暮らしを送れます。
二世帯住宅でトラブルを回避するためにできること
3つのタイプがある二世帯住宅
自分たちに適した住宅タイプを選ぶために、お互いの暮らし方や価値観を考えて、生活に適した二世帯住宅を話し合うことで、二世帯住宅でトラブルを避けることができます。
キッチンやお風呂を共有する完全同居型では、家族全員が共有エリアを使いますが、個人のプライバシーが失われる可能性があります。一方、お風呂やキッチンが分かれている完全分離型のタイプは、世帯毎に独立した場所が確保できますが、家族同士のコミュニケーションが減る可能性があります。
一部共用型は親世帯と子世帯がいくつかのエリアを共有しながらも、個人の時間を過ごせる場所を維持できるバランスが取れているタイプです。
建設前の段階から、家族で話し合い、共有する場所などを打ち合わせをすることで、理想の二世帯住宅を作ることができます。
部屋の間取りや配置の工夫
リビングや寝室の間取りを工夫することによって、生活時間や暮らし方の違いによるストレスを減らせます。
音の問題を避けるために、各世帯が長時間過ごす場所を、1階と2階で重ならないように配置することで、足音や生活音のトラブルを防ぐことができます。
親世帯が元気なうちは2階に住み、1階を子どもたちの場所にすることで、活発な子どもたちの足音や生活音からのストレスを感じにくくなります。
同居型や一部共用型の二世帯住宅では、家事の時間や、おこなう人を考えた間取りを計画することで、生活の質が向上します。各世帯の暮らし方や理想の間取り、共用場所の使い方や使用時間を共有し、話し合いを重ねることで、お互いが納得する間取りが見つかります。
共同生活のルール化
親世帯と子世帯で、共有場所での掃除や片付けの分担、また使用するとき間など、具体的なルールを決めることで、予防的にトラブルを回避できます。
親子であっても、理想とするくらし方や考え方は異なるので、一緒に生活する前にお互いの暮らし方や性格についても、事前に十分に理解し合っておくことで、考え方や暮らし方の違いから起こるストレスを減らせます。
全てのルールを事前に細かく決めてしまうと、ストレスになることもあるため、最初から決めつけるのではなく、生活しながら確認し、ルールを見直す余地を持っておくことで、二世帯住宅での共同生活を不順なく進めつつ、お互いのストレスを減らすことができます。
個人の時間を過ごせる空間の尊重
二世帯住宅では、お互いの行動に干渉しないことが大切です。個人の時間を過ごせる場所が確保されている自分の部屋には無断で立ち入らない、時間を決めて行動時間を制約しないなど、家族同士で話し合い、互いの自分の空間を尊重することで、個人の空間が保たれます。
共有場所の使い方や掃除の分担も家族で話し合い、お互いの暮らし方や性格について互いの理解を深めることにより、二世帯住宅での暮らしを快適にできます。
どちらかが譲らずに考え方を押し付けると、お互いの生活に足を踏み入れることになるため、個人の時間を過ごせる場所が確保されず、ストレスが溜まります。互いに尊重し、時には譲歩することで、二世帯住宅での暮らしを楽しむことができます。
支払いの分担化
二世帯住宅では、お金の支払いの分担をはっきりさせることがトラブルを回避するために大切です。
建築費や頭金の負担割合を話し合い、明確に決めましょう。たとえば、親世帯が頭金を出し、子世帯が住宅ローンを払う方法や、お互いが半分ずつ出して支払う方法があります。
しかし、明確な合意がないと、子世帯が親世帯に期待をしすぎたり、収入が減ってローン返済がむずかしくなった場合、支払いの遅延や家族間の信頼問題に発展することもあります。住宅の費用だけでなく、共用場所のルールを決め、お風呂の時間や掃除の担当者などを明確にし、光熱費の分担も話し合って決めておくことで、快適な生活が送れます。
さらに、ファイナンシャルプランナーやケアマネージャーの専門家に相談し、家族間での相談や決定を進めていくこともできます。明確な合意ができたら、上手く二世帯住宅での生活を楽しむことができます。
快適に過ごすための「暮らしのルール」を決める
二世帯住宅で家族が快適に暮らすためには、両世帯の暮らし方や性格を話し合い、「暮らしのルール」を決めることが大切です。 共有場所の使い方や掃除の割り当て、家計管理方法など、大きな問題に発展することだけをルールにして、他のことは生活していく中で調整していくことでストレスを減らすことができます。
特にリビングやお風呂等の共有場所では、使用時間帯や掃除の程度など、使用ルールを具体的に決めておくことでトラブルを避けられます。
互いに心地よく暮らすためにお互いのプライバシーを尊重し、家族みんなが話し合いながら丁寧にルールを決めることで、ストレスなく二世帯住宅での生活を送ることができます。
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