二世帯住宅を建てるときにかかる費用と知って得する予算の抑え方


親と一緒に暮らした方が、住居費や生活費を安く抑えられるといった理由で、二世帯住宅を考えている方は多くいます。

 

しかし、「二世帯住宅は費用が安い」という表面的な情報のみを鵜呑みにし、家を建てる場合の広さや建て方について理解をしていないことで、住宅を建てるときの予算を超えてしまう可能性があります。

 

二世帯住宅を検討しているなら、「完全同居型住宅」と「部分共用型住宅」と「完全分離型住宅」のそれぞれの建築にかかる費用の目安や予算内に費用を抑えるコツを知っておくべきです。

 

 

タイプによってちがう二世帯住宅の予算

完全同居型住宅にかかる費用の目安

完全同居型住宅の建築費用の目安は、坪単価が65〜100万円程度です。

 

目安として、30坪なら1,950〜3,000万円、40坪なら2,600~4,000万円です。

 

ただし、地域や工務店によって異なるため、正確な費用は見積もりが必要です。

 

玄関や水回りを共有するため費用を抑えられる

玄関や水回りを共有することで、家を建てる場合の費用を抑えられます。

 

たとえば、お風呂やキッチンなどの水道代がかかる場所を一緒に利用することで、初期費用や長期にわたる毎月の負担を抑えることができ、費用が節約されます。

 

また、電気やガスも同様で、オール電化住宅にするとキッチンやお風呂など、家庭内で利用するすべてを電気で賄うことができます。

 

ガスや灯油を使わないため、ガス代や燃料費がかからず、毎月の費用が減ります。

 

キッチンやトイレ、お風呂などの水回りを共有することは、家を建てるときの費用だけでなく、毎月かかってくる費用も抑えることができ、住まいに工夫を加えることによってお金を節約したうえで家族が心地よく暮らすことができます。

 

部分共用型住宅にかかる費用の目安

部分共用型住宅の建築費用の目安は、坪単価が、80〜130万円程度です。

 

目安として40坪、50坪の場合2,800万円~4,000万円程度となります。

 

ただし、坪単価を70万円〜80万円と想定した場合の建築費用の目安であり、実際には地域や建築会社によって異なります。

 

何の設備を共同設備にするかで費用が決まる

部分共用型では、共有設備の選び方が費用に大きく影響します。

 

玄関や浴室、キッチン、リビングがそれぞれ別々の場合は、各場所に設備するための費用がかさんでいきます。同じ間取りでも、何の設備を共有するかによって費用が大きく変わることが特徴です。

 

共有設備を選ぶときのポイントとして、予算も大切ですが、家族の生活習慣にあわせることも大切です。

 

親世帯と子世帯がお互いの個人的な空間を重視する家は、玄関や部屋のみを共有にし、その他は独立した設備にするなど、家族間で十分な距離感の取り方について話し合いをおこない計画を立てることが大切です。

 

逆に、世帯間で協力して日常生活を送りたい場合は、キッチンやリビングを共有することでお互いの家事負担を減らすという形をとることもできます。

 

家族の必要性や生活習慣をふまえて共有設備を選ぶことによって、理想的な部分共用型の住宅が実現できます。

 

自分たちにあった間取りや共有設備の選択により、住み心地が良く予算に合った家が建てられます。

 

完全分離型住宅の建設にかかる費用の目安

完全分離型住宅の建築費用は、二世帯住宅の中でもっとも費用がかかるとされています。2軒分の設備・建具が必要となるため、単世帯住宅と比べて3〜5割程度高くなります。坪単価にすると、85〜150万円程度が目安です。

 

玄関や水回りを分ける場合にも費用がかかる

完全分離型は、玄関やリビングなどの設備といった、暮らしに必要な空間を世帯ごとに分ける間取りをつくることによって、設備工事の費用が高くなります。

 

それぞれの家族が、独立した生活や自分だけの空間を保ちながら暮らすことを取り入れるため、各家族の生活習慣にあわせた間取りを反映させやすいという特徴があります。たとえば、二階建ての住宅では、一階と二階に別々の住まいを設けるという方法があります。

 

また、光熱費などの費用を明確に分担し、両世帯が近い場所にいることで助け合いながら生活できます。

 

完全分離型を選ぶ場合は、二世帯の関係性を考えたうえで暮らしやすい方法を考えることが大切です。

 

 

予算別で建てられる二世帯住宅の事例

予算2,000万円台で建てられる二世帯住宅

予算2,000万円台で建てる家の場合、30〜40坪程度の家を建てられます。

 

予算のうち建築費に70〜80%をあてることが多くて、2,000万円の予算の場合、建築費として1,400〜1,600万円程度で建築できます。

 

2階建ての家では、各階にリビング・ダイニング・キッチン(LDK)や水回りを設置し、1〜2部屋の居室が作れる広さになります。予算2,000万円台では、部分共有型や完全同居型の住宅が選べます。

 

一階に親世帯、二階に子世帯が住むことによって、生活空間が分かれていても家族同士のつながりを大切にすることができます。

 

また、玄関やリビングを共有することで、家族の交流や顔を合わせる回数も増え、生活していくうえでの安心感がうまれます。

 

気になる点としては、血のつながりがなく、これまで一緒に生活したことのない子世帯の妻、もしくは夫が気を使うことによって、ストレスを感じやすくなってしまう間取りであることです。

 

改善策としては、お互いの共有空間と、各自がくつろげる専用の空間や部屋を設けることやトイレやミニキッチンなど部分的な設備を各階に設置すると良いです。

 

予算3,000万円台で建てられる二世帯住宅

予算3,000万円台で家を建てる場合、広さは40〜50坪程度の家を建てられます。

 

予算のうち建築費に70〜80%をあてることが多くて、3,000万円の予算の場合、建築費として2,100万円〜2,400万円程度で建築できます。

 

40〜50坪程度の規模の家では、一部の空間を共有しながらも、水回りの設備を別々に設けられます。

 

具体的には、1階を親世帯用に、2階を子世帯用にし、各階にリビング・ダイニング・台所などの水回りの設備を配置することができます。各世帯には2〜3部屋の部屋を設けられます。

 

3,000万円台で家を建てる場合は、完全分離型の住まいの見積もりがおすすめです。部分共有型の場合でも、工夫を取り入れることによって、お互いの個人空間が確保できます。

 

予算内で納得のいく家を実現するためには、設備の充実度や内装、外装への費用について優先順位を明確にしましょう。

 

将来的な日常生活の変化も想像し家族で話し合いをおこないながら、高い優先度の設備や内装の作りを取り入れることが大切です。

 

予算4,000万円以上で建てられる二世帯住宅

予算が4,000万円以上ある場合の家づくりは、50〜60坪の広々とした完全分離型の住宅を実現できます。

 

予算のうち建築費に70〜80%をあてることが多くて、4,000万円の予算の場合、建築費として2,800万〜3,200万円程度で家を建築できます。

 

世帯で、住宅の中に階段を設けて、2階以上の階層で作る部屋を選択することもできます。予算に余裕があることで、親世帯と子世帯でそれぞれ好みに合わせた内装や設備のデザインを選べます。

 

また、完全同居型や部分同居型を選んで、広い空間や高品質な設備を共有する方法もあります。

 

4,000万円以上の予算帯では、親世帯が和風な作りで畳や襖などを取り入れた部屋、子世帯が、過度な装飾がないシンプルなデザインと、現代的な雰囲気のデザインが組み合わせたシンプルモダンな作りにするなど、各世帯で異なる住宅のデザインを取り入れることもできます。

 

4,000万円以上の予算を持つことで、平屋の部分共有型や2階建て完全共有型のこだわりを取り入れた住宅も建てられます。

 

平屋の場合は、室内の階段を使わずに親世帯が子世帯の部屋へ遊びに行くことができる利点があり、住宅デザインも好みに合わせてシンプルなものから個性的な素材を取り入れ個性をだすこともできます。

 

予算内に抑えるために費用を安く抑えて二世帯住宅を建てるコツ

共有する部分と分離する部分を決める

水回りと呼ばれる部屋を減らすと予算を抑えられる

二世帯住宅を建てる場合、予算を安く抑えられる方法としては、水回りの部屋を少なくする方法があります。

 

台所や浴室といった水回りを同じ場所や上下階に揃えて設置することで、配管をまとめることができ、工事費用を減らせます。

 

そして、水道料金も安くなるため長期的に見てもより効果的で、利用中の排水音も減るため、住み心地を向上させることができます。

 

水回りの場所をまとめる

各家族の生活の中で、水回りの場所をまとめるという考え方は、費用を抑えるための効果的な方法のひとつです。具体的には、台所や浴室などの水回り設備を1ヶ所や上下階で揃えて、配管をシンプルにまとめることが費用を減らすことにつながります。

 

配管をまとめることで、上下階で水回りの位置が揃っており、配管を縦に通すだけで工事がおこなえ費用を抑えるだけでなく、トイレやお風呂の排水音が気になりにくい間取りを実現できます。

 

また、水回りを道路に近い場所に設置することも、費用を減らすうえで大切です。排水は家の外から下水道に流れるため、配管の距離が短ければ、工事費も減ります。

 

もし道路近くに水回りを設置できない場合でも、排水が一本道で短くまとまるように設計することが望ましいです。

 

水回りの場所をうまくまとめて配置することで、費用を抑えることができるので、建設する費用を抑えるだけでなく、光熱費や修繕費なども低く抑えることができるので長期的に見てもおすすめです。

 

部屋の数を減らす

世帯人数が同じ場合でも、二世帯間での共有場所を最大限活用することで、部屋数を減らすことができます。

 

たとえば、広めのリビングルームを共有し、それぞれの世帯には独立した寝室と浴室を設けたり、 部屋を壁で仕切らない間取りにすることで、空間の有効活用が可能となります。

 

キッチンとリビングを一体化させたり、階段周辺の空間を収納場所として活用することで、部屋数を減らすことができます。

 

予算に合わせて、部屋の数や間取りを設計することによって、両世帯が快適に住みやすい家を手頃な価格で建てられることが期待できます。

 

建材や部品の品質を下げる

建材の内装や外装においては、工夫をすることで、個々の空間にこだわりを持たせ、見栄えを引き立てながらも予算を効果的に使うことができます。

 

たとえば、訪問者が目にするリビングや玄関などの場所には、上質な材料やデザインを取り入れることで、豪華さを演出し、一方、他の部屋では、実用的な材料を使うことで、予算を抑えながらも日常的に利用しやすい魅力的な空間を作り出すことができます。

 

さらに、壁紙や床の種類を統一することで費用を抑えることができます。DIYなどが好きな方は自分で作ることができる棚や装飾などを自分自身で作ることによって個性や愛着がうまれ独自の納得できる部屋を作ることができるのでおすすめです。

 

建築物の品質を下げることで、将来的な問題や維持費が増えるような選択をするのは危険です。費用を抑える方法を工夫しながら、快適に暮らせる二世帯住宅を目指しましょう。

 

工事費用の安い業者へ依頼する

今ある家を二世帯住宅に建て替える場合は、工事費用の安い業者を選び、予算を抑えることが大切です。

 

まずは、複数のリフォーム業者に無料の現地調査を依頼して、正確な見積もり金額を出してもらいましょう。

 

そして、より納得できる提案をしてくれた業者を選び、予算内でのリフォームをおこないましょう。

 

さらに、複数の工事施工会社から見積もりを取って価格をくらべるだけではなく、プランや設備の提案も聞いてみると、良い方法が得られます。納得することができる良いプランと工事費を見つけ、相性のあう業者に依頼することが大切です。

 

二世帯住宅のリフォーム会社

二世帯住宅のリフォームを扱っている会社を紹介します。(2023年7月現在の情報)

 

へーベルハウス

二世帯住宅研究40年以上の実力派で、2つの住居を分離して設計する家や、共有空間を多く設ける作りなど多様な家づくりを紹介しています。

 

セキスイハイム

地震に強い構造の3階建て住宅が人気です。

 

積水ハウス

大所帯でも住むことができる多世帯住宅を提供しています。

 

ミサワホーム

階段を設けずに床面を段差状に設計し、天井高を確保しながら広い空間を作る手法を提供しています

 

ダイワハウス

天井高でゆとりと安心を実現できる家を主に提供しています。

 

パナソニックホームズ

夢が広がる3〜9階の多層階二世帯住宅を提供しています

 

以上の会社は、二世帯住宅に特化したリフォームを提供しており、得意分野が異なるため、依頼者の必要性に合わせて選ぶことができます。

 

会社を選ぶ場合は、会社の施工事例(写真やプラン)を確認すること、口コミを確認すること、費用を比較して検討することなどの必要性があります。

 

会社の施工事例を確認することで、その会社がどのような建物を建てることができるか、どのようなデザインや機能性があるか、会社の得意分野は何か、どのような技術力や施工力を持っているかを知ることができます。

 

会社の口コミを確認することも大切です。口コミは、あくまでも個人の感想であり、全てが正確な情報とは限りませんが、会社の評判や施工品質などを知ることができ、信頼性を確認することができます。

 

二世帯住宅の価格は、間取りや設備によってちがいますが、費用は会社によって異なるため、複数の会社から見積もりを取ることがおすすめです。

 

二世帯住宅を建てるときに活用すべき住宅ローン

収入合算で住宅ローンを組む

二世帯住宅を購入する場合、各自の収入を合算してローンを組む「収入合算」という方法があります。収入合算を利用することで、親世帯と子世帯の収入をまとめてローンの審査を受けることができ、より高額なローンを組むことができます。

 

たとえば、子世帯の年収が600万円、親世帯の年収が200万円の場合、収入合算では800万円として審査されるため、より多くの融資を受けることができます。

 

金融機関によって収入合算でローンを組む条件は異なりますが、一般的には連帯債務者となること、血縁関係があること、同居予定があることなどが条件とされています。

 

また、病気や出産、失業などで収入が減った場合には、もう片方の世帯が負担を引き受けるというデメリットもあるので理解したうえで検討しましょう。

 

収入合算で住宅ローンを組むメリットは、親世帯や子世帯単独でローン審査に通らない場合でも、収入を合算することでローンが組める可能性が高まり、組むことができる費用が高くなることによって、より良い二世帯住宅を購入することができます。

 

ただし、注意点としてお互いの負担が大きくなるため、今後の返済について十分に話し合いをおこない検討する必要があります。

 

親子ペアローンを使用する

二世帯住宅を購入する場合、親の世帯と子の世帯が各自別々でローンを組む「親子ペアローン」という方法があります。

 

ローン返済中に、死亡や高度障害などがおきた場合、借り入れ残高を0にすることができる団体信用生命保険に加入することができ、万が一親の世帯で問題が起きた場合でも、自分たちのローンのみの返済責任で良いという内容です。

 

ただし、親子ペアローンを利用する場合、各世帯が別々の審査を受ける必要があります。親世帯や子世帯の年齢や返済能力によっては、借りられる金額が少なくなったり、返済額が多くなり負担が大きくなることがあり、審査の結果、ローンが組めない可能性もあるので注意が必要です。

 

親子ペアローンは、親子が協力して住宅ローンに申し込むことで、通常のローン契約では借りることがむずかしい金額をより有利な条件で借りられます。

 

親子それぞれが債務者となり、互いがお互いのローンの連帯保証人になります。また、親子各自の収入でローンを組むため、借り入れ可能額が別々で審査され、子どもだけでの借り入れがむずかしい場合でも、親の収入を合わせられるなどの方法があります。

 

しかし、親や子どもの収入が途絶えた場合は、どちらかが2倍の額を返済しなければならないという欠点もあります。資金計画や審査結果に注意しながら、家族全員が納得できる選択をすることが大事です。

 

親子リレーローンを使用する

二世帯住宅を購入する場合、親子の収入を合わせて審査を受けるため、借り入れ可能額が増えて審査も通りやすくなる「親子リレーローン」を利用して住宅ローンを組む方法があります。

 

一般的な住宅ローンは、借りる年齢が70歳まで、返済完了年齢が80歳までの制限がありますが、子どもの年齢が若い場合、ローンの返済期間を最長で35年まで伸ばすことができます。

 

親の年齢に関係なく返済期間を長く設定できるため、月々の返済額を減らすことができ、親子それぞれが住宅ローン控除を利用することができます。また、子どもがまだ返済を始めていなくても住宅ローン控除を受けられることも良い点です。

 

親子リレーローンは、住宅ローンの返済期限が通常80歳までとされていますが、親が主な借り手として子どもが連帯債務者となり、親が80歳になった時点で、子どもを主な借り手に変更し、返済を引き継ぐことができます。

 

たとえば、親が60歳で子どもが30歳の場合、親が単独でローンを組むと最長20年間しか借りられないため、短期間で支払いをおこなわなくてはならなくなり、月々の返済額が高くなります。

 

しかし、親子リレーローンを利用した場合、同じ歳でローンを組んでも借入期間は80歳-31歳=49年となります。引継ぎをおこなうことによって、月々の返済額を抑えることができ、住宅購入がしやすくなる有益な方法の一つです。

 

 

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