人気急上昇中の平屋が増えている理由と間取りで見る平屋と2階建ての違い


平屋は、生活空間が1つの階にまとまっているため、階段がなく、自宅内で行き来する動きを少なくすることができるので、高齢者や身体障害者、子どもがいる家庭にとって優しい住まいで近年増え続けています。 ただし、平屋にも弱点があり、弱点を知らずに平屋にしてしまうと必ず後悔するので、平屋と2階建ての違いや平屋の弱点や克服方法を解説します。平屋に決める前に確認すべきポイントもお伝えするので、住まい選びで後悔しないために最後までお読みください。

人気急上昇中の平屋(一階建ての家)が増え続けている理由

5年ごとにおこなわれる国土交通省の住宅・土地統計調査によると、 一戸建で、平屋が建築される割合が増えております。 平屋が増え続けているのは、世帯が多様化し、長い人生で仕事や家族の状況が変わり続けることに対応できる平屋が求められる、建築する費用を抑えられる、住み続けるにあたってかかる費用を安く抑えられるなどの理由があります。

建築の時期 平屋の割合
1996~2000 7.57%
2001~2005 7.46%
2006~2010 7.68%
2011~2013 8.55%
2014 8.84%
2015 8.94%
2016 9.53%
2017 10.38%
2018(1月~9月) 11.84%

平屋が増え続けている背景

長い人生で仕事や家族の状況の変化に合わせられる家が求められてる

キャリアの進展や転職といった仕事による変化や、結婚、出産、子どもの成長、子どもの独立や、離婚や再婚など、時間の経過や人生の段階によって変わる変化にあわせられる家が求められています。

平屋は、生活空間が1つの階にまとまっているため、階段がなく、自宅内で行き来する動きを少なくすることができるので、高齢者や身体障害者にも優しい住まいであり、部屋の間取りを変えずに家具の配置を変えたり、パーテーションを設けることで、時間の経過や人生の段階にあったな住まいに変えられるので注目されています。

建築する費用を抑えられる

単身・夫婦・友人と2人未満で生活を予定していて、延床面積が15坪~25坪程度の広さで1LDK~2LDKを考えている場合、階段や2階トイレの確保、建築するときにかかる足場代がかからないので、2階建ての住宅とくらべて、建築する費用が抑えられます。

延床面積が15坪程度を想定している場合、場所によっては1,000万円以下で建てられる可能性もあります。老後の生活のために手元に預金を残したいシニア夫婦世帯、将来の子どものために貯金を崩したくない夫婦世帯、大きい金額の住宅ローンを組むことに不安を感じているひとり親の世帯、一人暮らしの方でも購入できる可能性がある価格帯です。

住み続けるにあたってかかる費用を安く抑えられる

天然ガスの価格の高騰、北米の原油価格の指標であるWTI原油価格の大幅な上昇、さらに、2022年3月にはロシアからの石炭供給が混乱に陥る懸念から石炭価格が46%上昇したように、今後もエネルギー資源の供給が安定するかはわかりません。 いま住宅を建てるにあたって、電気をできる限り使わずに冷暖房の効果を高められて、家の温度を一定に保つことできて、太陽光パネルを設置して発電できる気密性の高い平屋に注目が集められています。 平屋は屋根面積が大きいため、より多くの太陽光パネルを設置することができるので、効率よく発電ができます。

また、平屋には、屋根・外壁の点検・修理、雨樋の掃除・点検、窓・ドアの点検・調整、内装の補修・清掃、配管・電気設備の点検・修理、庭・外構の点検が必要です。2階建ての建物と違って、足場が最小限で済むので、費用を安く抑えることができます。

定年退職金や前の家の売却益でローンを組まずに購入できる

2人で平屋に住む場合、間取りや場所によっては、定年退職金や前の家の売却したときの利益でローンを組まずに購入することができます。

終活の一環として平屋を選ばれる傾向にある

子どもが成長し社会人になり、1人暮らしを始めると自宅に住む人数が変わります。

1日の生活リズムや習慣、人生の目標や意味・価値観が変わり、広い家を維持する必要性がなくなり、終活や実家じまいを検討するタイミングで、平屋への移住を検討する方が増えています。

移住のタイミングで、家具や電化製品を処分することができます。移住したあとも、間取りを工夫することで、余計なものを増やさないコンパクトな暮らしを実現することができます。

また、 平屋は段差が少なく、階段もありません。平屋を建てたあとは、将来バリアフリーにする費用がほとんどかかりません。

木造・鉄骨造にかかわらず地震や台風に強い構造で建てられる

平屋は、建物の高さが低いため、風圧が小さく、重心が低くなり、揺れに対する安全性が高く安定しやすいです。 しかし、適切な設計や建築技術が欠かせません。平屋、2階建てどちらを選ぶ場合であっても、自分の住む地域の台風や雪などの自然災害の頻度や強さ、日照時間や風向き、地震や液状化のリスクを確認して、工務店やハウスメーカー専門家と相談しながら進めるべきです。

憧れるおしゃれな平屋のタイプ

スタンダードな「I字型」

中庭を2方向から囲む「L字型」

中庭を3方向から囲む「コの字型」

建物が中庭を完全に取り囲む「ロの字型」

20坪(66m2)の間取りで見る平屋と2階建ての違い

20坪(66m2)の平屋は、1LDK〜2LDKの間取りで、2階建ては、2LDK〜3LDKの間取りになることが多いです。2LDKなら1人か2人で、3LDKなら3人〜5人で暮らすのがおすすめです。

平屋の場合

2階がないので、吹き抜けにする、部屋の区切りを最小限にする、天井を高くする、廊下の面積を減らして寝室やリビングの面積を増やすことで、広々とした空間になります。

寝室の下を収納として活用する、洗面所から屋外の洗濯物を干す場所に移動できるように勝手口を設ける、キッチンから廊下に続く扉を設けることで、家の中の通路や動線を無駄なくまとめられて、掃除や洗濯といった家事がラクになり、快適に生活できます。

2階建ての場合

2階建ては、敷地の面積を最大限活かすことができるので、寝室やリビングの面積を増やしたり、子ども部屋を設けられます。また、階段を設けることで自分だけの場所と、共有場所を分けることができます。

平屋の弱点と弱点を克服して理想の暮らしをする工夫

平屋は、一階建ての家であるため、部屋数や広さに制限がある、すべての部屋が1つの階にまとまっているため、自分だけの空間を作ることがむずかしい、高層建築物に囲まれることで、見晴らしや日当たりが悪くなるといった弱点がありますが、弱点を克服して理想の暮らしを実現できます。

収納場所を工夫する

限られた空間でも、収納場所を増やすことができます。たとえば、ベッドの下に引き出し式の収納を設けたり、壁に棚を取り付け、床下に収納場所を設けることができます。

場所を取らない家具やインテリアを選ぶ

折りたたみ式のテーブルや、ベッドとソファが一体化した家具のように、日常で利用するときに使用して、そのほかの時は小さい場所に収納できる家具を選ぶことで、部屋の空間に圧迫感を減らすことができます。

壁で区切られた部屋をなくして空間を広くする

リビング、ダイニング、キッチンをひとつの空間にまとめることで、限られた場所であっても開放感を作り出すことができます。また、階をまたがないので、家族と会話するのがラクになります。

自分だけの空間を確保するために平屋の間取りを工夫する

寝室や書斎は家の奥や角に配置して、リビングやダイニングから離れた場所に設けることで、ほかの家族との距離を保ちながら静かな空間を作り出すことができます。

隣の部屋や共有部分からの音を遮断する

壁のなかに遮音材を使用したり、ドアや窓に遮音性の高い素材を使うことで、リビングやダイニングや、廊下や洗面所といった共有場所から寝室に聞こえてくる音の漏れを少なくできます。また、リビングやダイニングの床に厚手のラグやクッションフロアを敷くことで、歩行音を抑えることができます。

高窓や吹き抜けを利用して光を取り込む

天井に近い位置に設置する高窓を取り入れることで、自然光を室内に取り込むことができます。住宅が1つの場所に集まっている地域でも光を取り込むことができます。また、中庭のように吹き抜けの空間を設けることで、リビングやダイニングにも光を届けられます。ただし、高層マンションや二階建て住宅が多い地域では、光を取り込める可能性が低くなるので、工務店やハウスメーカーに相談しましょう。

平屋住宅に決めるのはまだ早い!決める前に絶対に確認すべきポイント

土地

土地選びをおこたってしまうと、日当たりや風の通りが悪くなる可能性や、圧迫感を感じる広さになってしまう可能性があり、後悔することになりかねないので、土地の広さや建物が密集した土地かどうかを確認する必要があります。

平屋を建てるのに必要な土地の広さは、家族構成によって異なり、単身世帯の場合は10〜15坪、2人世帯の場合は20坪以上、3〜4人世帯の場合は30坪以上の土地が向いています。

ただし、建築物の敷地面積に対する建物の面積の割合(建ぺい率)、建築物の建物の容積(体積)が敷地面積に対して占める割合(容積率)といった制約を確認する必要があります。

平屋に向いている土地は、低層住宅のための地域である第一種低層住居専用地域や、主に低層住宅のための地域である第二種低層住居専用地域がおすすめです。

中高層住宅のための地域である第一種中高層住居専用地域は、3階建てのアパートも建築できる地域なので、いまは問題なくても今後、日当たりや風の通りが悪くなる可能性があります。

坪単価や税金

坪単価は、建築費用から建物の各階の床面積をあわせた総面積(延床面積)を割って計算します。平屋は、2階建てではないので、建物の基礎部分の面積や屋根の面積が大きくなります。延床面積を広げることはむずかしいので、坪単価が高くなる傾向があります。

また、今後、土地の評価が高まることで固定資産税や都市計画税の負担も増えることがあるので、事前に確認しましょう。

防犯面

平屋住宅は、1階建ての住宅で高さが低く、出入りがしやすいように設計されることが多いので、2階建てにくらべて、外から自宅に侵入されてしまう、のぞき見されてしまう可能性があります。

防犯対策として雨戸の設置や防犯砂利を敷くことで、出入りされにくくなります。目隠し用のフェンスを建てる、高い位置に窓を設置することで視線を遮れるので、のぞき見される不安を無くすことができます。

水害の可能性

近年、水害が増加しており、家の1階まで水が上がるような急激な水害も発生しています。水害が発生したときに、対策が取られていないと自宅や財産が被害をうけてしまう可能性があります。まずは、水害のリスクがある土地なのか把握して、水害の土地があるなら対策をする必要があります。

国土交通省のホームページや、自治体の防災対策課、土木課、防災課、河川課といった窓口に相談して、ハザードマップを確認して、水害・土砂災害・地震災害のリスクを把握しましょう。

把握するときは、ハザードマップが更新された日付や、実際に災害が起きたときの様子を確認しておきましょう。さらに、地元の高齢者から昔どのような土地だったのか、何があったのか話を聞くことも大切です。

屋根からの熱の暑さ

平屋は、2階建てや3階建ての住宅と違って、屋根のすぐ下に住む空間があるので、太陽光の熱が伝わりやすいです。さらに、太陽光の照り返しもあり、室内温度が上がってしまい平屋の住み心地が悪くなってしまう可能性があります。

平屋は、屋根からの熱の暑さを和らげる工夫が必要です。屋根の厚さや素材、断熱性能、窓やドアの開口部の処理、間取りの工夫によって、室内の温度を下げられる可能性があります。特に、スレート瓦や金属屋根の場合は熱が伝わりやすいため、遮熱対策をしましょう。

自分だけの空間

平屋は、二階建ての家と違い、平屋では各部屋がおなじ階にあるので、家族同士のコミュニケーションは取りやすいですが、階段で空間を分けることができないため、家族の生活音や会話が気になり、自分だけの空間が確保しにくくなる可能性があります。

自分だけの空間をつくるには、リビング・ダイニングからなるべく離れた位置に個室を配置する工夫が必要です。

音・ニオイ

平屋の間取りはコミュニケーションが取りやすく動線が良いというメリットがありますが、住んでみると音やニオイが気になることが多く、ストレスや家族間のトラブルの原因になることがあります。音やニオイの問題は、住んでみないとわからないため、後悔することが多いです。

たとえば、リビングと寝室が隣にあって音が聞こえてくる場合、トイレの音がダイニングに聞こえる場合があります。音・ニオイの問題を避けるためには、廊下を取り入れた間取りを検討し、図面上で音やニオイの発生源を確認し、リビングや寝室などが隣接しないように配置しましょう。さらに、防音シートや防音材を壁や床に入れることで、音の問題を解決できます。

平屋にするか迷っている時に確認すべきポイント

家族構成

核家族や共働き世帯が増えるなかで、家事や生活に必要な動きを少なくしたい、子どもや高齢者がいる場合に、目が行き届きやすくしたい、何かあったときでも声が届きやすくしたい、異変にも気付きやすくしたい、高い位置からの転倒や落下のリスクを少なくしたいといった要望が多くなりました。平屋は、階段がないので、小さな子どもや高齢者の生活がしやすく、少なくなります。

ただし、平屋で2世帯住宅を望む場合、部屋を複数に区切りづらく、自分だけの空間を確保しにくいので、どうしても自分だけの空間が欲しければ2階建ての住宅も検討するべきです。

土地の広さと部屋数

平屋の場合、広い部屋の数を確保することがむずかしいので、仕切りを壁ではなくて、取り外しやすい間仕切りを採用して部屋数を変更できるように工夫ができます。工夫をしたうえで、部屋数が足りないと判断する場合、2階建ての住宅も検討するべきです。

部屋数が多すぎると、子どもが大人になって独立した後、少人数で暮らしをするときに使わない場所が増えてしまいます。子どもが独立したあとの暮らし方や、高齢者が同居する可能性を考えて部屋数を検討しましょう。

土地の広さと予算

平屋は1階建てのため、必要な床面積を確保するためには、土地が広くなければなりません。また、土地の広さによって基礎の工事が必要となり、屋根が広くなるので、建築費用が2階建てにくらべて高くなってしまうことがあります。

さらに、都市部では、広い土地を確保することがむずかしく、確保できたとしても土地の価格が高くなってしまいます。土地の価格は、住宅の維持費にも影響がおよびます。

住宅を建てるにあたって、建築費用の予算や住宅の維持費用が、子どもの教育費や老後の生活など将来必要になるお金に与える影響を考えて、2階建てにするか、平屋にするか検討するべきです。

 

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