注文住宅における太陽光発電とは?メリット・デメリットなどを解説


近年、節電や省エネ・環境への配慮などの観点から注文住宅に太陽光発電を設置する方も多く、自治体によっては助成金がもらえるというメリットもあります。しかし、太陽光発電にはメリットだけでなくデメリットもあるため、しっかり検討して設置するか判断する必要があります。今回は、注文住宅における太陽光発電について解説します。

太陽光発電とは

Point 太陽の光を利用して電気を作る発電方法

 

太陽光発電とは太陽の光を利用して電気を作る発電方法で、太陽電池を集めて作られた太陽光パネル(ソーラーパネル)に太陽光があたることで電気が作られます。発電した電気は分電盤を通して電気として使ったり、蓄電池に供給することができます。また、使わなかった電気は電線網に戻して周辺で使えたり、電力会社に売ることもできます。

 

注文住宅に太陽光発電を設置する場合、必要な機器を揃える必要があります。太陽光が当たると発電する「太陽光パネル」の他にも、太陽光パネルを載せる「架台」や、発電した電気を家庭内で使える電気に変換する「パワーコンディショナー」、発電状況や電気の使用量などを表示する「発電モニター」、それぞれをつなげる「専用ケーブル」などがあります。

 

 

 

 

 

太陽光パネルの種類や設置について

太陽光パネルは種類によって大きさや形、設置方法などが異なります。

 

屋根に沿って設置する「据え置き型」は既存の屋根の上に架台を設置する種類で最も一般的ですが、この他に「屋根一体型」の太陽光パネルがあります。屋根一体型は、屋根材に太陽光パネルが組み込まれた太陽光発電システムを差し、瓦などの屋根材そのものがパネルとなる種類です。

 

また、屋根の形との相性が関係します。例えば、「切妻屋根」は、長方形の屋根面が2つあってそれぞれ2方向に勾配があるため、太陽光パネルを載せやすい形になっています。

 

台形と三角形を組み合わせた形状で四方向に屋根面がある「寄棟屋根」や、切妻屋根と寄棟屋根が融合した形の「入母屋屋根」は、長方形の太陽光パネルを設置する場合、無駄なスペースが生じやすいとされています。

 

その他、「片流れ屋根」は、屋根面が長方形で1面に傾いている形のため、長方形の太陽光パネルとの相性が良くて多く載せることができます。しかし、太陽光が長時間当たりやすい南向きの片流れ屋根をつくることは北側斜線制限などにより難しいこともあります。

太陽光発電のメリット

Point 電気代を節約でき、停電時にも非常用電源として利用できる

 

電気代を節約でき、売ることもできる

太陽光発電を設置すると、電力会社から電気を買うことが少なくなるため、電気代の節約になります。近年は、原油高や社会情勢の影響を受けて電気代が高騰していますが、その影響は小さくなります。

 

また、屋根の上に太陽光パネルを置くことで、屋根に直接太陽光が当たっていた時よりも室温の上昇を抑えられる効果も期待できます。太陽光発電を設置した方の中には、夏のエアコンの使用電力量を抑えられたケースもあるようです。

 

そして、余った電気は事前に手続きを行っておくことで電力会社に売ることも可能です。

 

停電の時に非常用電源として使用できる

ほとんどのパワーコンディショナーには自立運転機能が備わっているため、台風や地震などの災害時に万が一停電が起こっても家庭内で電気を使い続けることができます。

環境に優しい

太陽光発電は、火力発電のように二酸化炭素や硫黄酸化物などの大気汚染物質を発生させず、脱炭素化を実現する再生可能エネルギーの1つです。

蓄電池や電気自動車と連携できる

太陽光発電は、蓄電池や電気自動車と連携させると、より快適で環境に優しい生活ができるとされています。

例えば、蓄電池と連携させれば梅雨といった太陽光が当たりにくい時期や災害時に安定した電気の供給が実現可能です。

また、電気自動車と連携すれば、バッテリーを家庭用蓄電池の代わりとして利用できたり、ガソリン代を節約できたりします。

太陽光発電のデメリットと注意点

Point 設置費用が高額で、メンテナンスや発電量に注意する必要がある

設置費用が高い

太陽光発電の設置費用は、メーカーや大きさなどによっても異なりますが、100~150万円程度かかるとされています。年々、依頼件数が増えることで、設置費用が下がっている傾向がみられますが、輸送費の高騰や社会情勢などの影響を受け、多少上下することが考えられます。

メンテナンス費用がかかる

基本的に、太陽光発電はメンテナンスがほとんど必要ないとされていますが、台風時に飛来物がぶつかって太陽光パネルが割れることも考えられ、パワーコンディショナーが不具合を起こす可能性もゼロではありません。定期的に点検して発電効率の低下を防ぎ、不具合に早く気付く必要があります。

天気によって発電量が変わる

発電量は、日射量によって左右され、曇や雨の日は晴れた日の10~15%程度しか発電できないと言われています。また、日没後は太陽光がないため、発電できません。

 

こういったことも考慮すると、月単位でどの程度発電できるかを専門業者と相談しておく必要があります。せっかく太陽光発電を導入したのに、家庭内の電気を賄えるほどの発電力がない、というケースにもなりかねません。

注文住宅における太陽光発電の設計ポイント

Point 発電できる条件を確認し、近隣への影響も考慮する

 

注文住宅に太陽光発電を設置する際はきちんと発電できる条件が整っているか判断しましょう。

太陽光パネルは南側に設置すると最も発電量が多くなりますが、日当たりを悪くする障害物があれば発電量は下がってしまいます。場合によっては隣の住宅だけでなく、電柱や電線の影が影響を与えることもありますので、現場での確認が重要です。また、季節や時間帯によっても太陽光が当たる角度が異なってくるので、年間を通して検討し、慎重に判断しなければいけません。

また、太陽光パネルを北側に設置した場合、発電量が少ないだけではなく、反射した太陽光が隣の住宅に当たってクレームになることも考えられます。

 

この他に、パワーコンディショナーは稼働音がするため、寝室から離れたところに設置するなどの配慮も必要です。

太陽光発電の概算費用と節約効果

Point 設置費用は100~150万円程度で、家庭内の電力を全て賄えることもある

 

前述した通り、太陽光発電の設置費用は100~150万円程度です。基本的にメンテナンスはほとんど不要とされていますが、もし太陽光パネルを交換するなら1枚あたり20万円程度、パワーコンディショナーの場合は、全交換となったら1台20万円程度かかります。

 

なお、太陽光発電の助成金をもらえる自治体もあります。一定の条件を満たす必要がありますが、詳しくは各自治体にお問い合わせください。

 

また、余った電気は売ることができるのですが、売電価格は変動し、2012年では42円/kWでしたが、2022年では17円/kWと年々下がっています。

 

なお、一般住宅の場合は、太陽光発電を設置してから10年間は売電価格が据え置きになる、FIT制度(固定価格買取制度)があるため、数年で著しく下がることはありません。

 

売電による利益の増加や自宅で発電できるという点で、太陽光発電は経済的メリットがあるといえます。発電した電力で家庭内の電気を全て賄えたとしたら、電力会社からの電気代はかかりません。最近は、電気代が高騰しているため、より節約効果を実感できるでしょう。

まとめ

太陽光発電とは、太陽の光を利用して電気を作る発電方法です。電力会社から電気を買う必要がないこともあるため、電気代を節約でき、停電時にも非常用電源として利用できます。

 

しかし、設置費用が高く、天候によって発電量が変わるため、設置する際は十分な発電ができるか慎重に判断する必要があります。住宅メーカーとも相談し合いながらしっかり検討しましょう。

 

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