注文住宅を建てる際に考えたいつなぎ融資とは?メリット・デメリットなどを解説


注文住宅を建てる際に自己資金が足りず、土地購入費用や着工金、中間金の工面に苦労することもあるかもしれません。そのような時に考えたいのがつなぎ融資です。今回はつなぎ融資の概要やメリット・デメリットなどを解説します。つなぎ融資の利用のタイミングや条件、シミュレーションも解説するので、ぜひ参考にしてください。

つなぎ融資とは

Point 土地購入費用や着工金などに支払う融資で、融資期間は最長1年程度

 

つなぎ融資とは、これから住宅を建築する際、完成して住宅ローンが実行されるまでに必要となる土地購入費用や着工金、中間金などの支払いに一時的に融資するものです。

 

用途は、土地取得資金や建物建築資金に制限されており、住宅ローンとつなぎ融資を取り扱っている金融機関を選ぶ必要があります。

 

融資期間は最長1年程度で、無担保です。そのため、金利は住宅ローンより高めに設定されており、融資期間に応じて日割りで利息がかかります。

 

仮に建築が何らかの事情で遅れた場合、融資期間を延ばすためにかかる追加料金などがかかることもあります。そういったことも考慮すると、十分に余裕を持った資金計画が必要です。

 

 

つなぎ融資のメリット・デメリット

Point 足りない資金を補えるが、金利が高く手数料や印紙代がかかる

 

つなぎ融資にはメリット・デメリットがあります。どちらも理解した上で、つなぎ融資を利用するか検討してください。

つなぎ融資のメリット

自己資金が少なくて済む

原則として住宅ローンは住宅が完成していなければ融資できません。しかし、住宅が完成するまでには土地購入費用や着工金、中間金などが必要になります。自己資金が少なければ費用を工面するのが大変ですが、つなぎ融資を利用することにより、一時的に立て替えてもらうことができます。

つなぎ融資のデメリット

住宅ローンに比べて金利が高い

つなぎ融資は、住宅ローンに比べて金利が高く設定されており、2~4%が一般的です。つなぎ融資は、住宅ローンの融資実行時に一括返済します。完済までの融資期間は利息を支払う必要があるため、借入期間が長くなるほど利息の負担が大きくなります。

取り扱いの金融機関が少ない

つなぎ融資は取り扱っている金融機関が少なく、住宅ローンのように様々な商品を比較検討するのが難しいです。つなぎ融資は、住宅ローンとセットで契約するのが一般的なため、つなぎ融資の利用を優先させると選べる住宅ローンが制限されることもあります。

手数料や印紙代がかかる

住宅ローンと同様に手数料や印紙代が発生します。手数料は約10万円、印紙代は借入額に応じた金額が必要となります。

つなぎ融資の注意点

Point 高金利で諸費用がかかるため、本当に必要か判断しよう

 

利息や手数料、印紙代などのことを考慮して本当につなぎ融資を受ける必要があるか検討しましょう。約1年程度という短期間ではありますが、他のローンに比べると高金利です。

 

土地購入費用や着工金、中間金などをまかなえる自己資金があるのなら、つなぎ融資を受ける必要はないかもしれません。

つなぎ融資のタイミングや条件

Point 土地購入費用・着工金・中間金の3回までで住宅ローン借入額の3~4割が上限

 

つなぎ融資は必要なタイミングに合わせて利用することができますが、回数は土地購入費用・着工金・中間金の3回までになっています。また、つなぎ融資を受けられる金額の上限は住宅ローン借入額の3~4割までという制限もあります。

 

また、つなぎ融資で受け取った金額は、住宅ローンの実行後に清算する仕組みになっており、つなぎ融資と住宅ローンは一体化して申し込むことになります。

 

つなぎ融資を利用する条件として、1年以内に住宅が完成することや契約までに建築請負契約書を提出することを設けている場合もあります。

 

土地購入費用・着工金・中間金にそれぞれいくらかかるか計算し、どのタイミングでいくら融資を受けるか計画を進めましょう。

つなぎ融資のシミュレーション

Point 4,800万円の融資を受ける場合、利息は約86万円かかる

 

つなぎ融資の試算例をシミュレーションをしてみましょう。年利は約2.9%とし、印紙代は2万円(※)、振込手数料、万一に備えて担保するための保険料は別途必要になるとします。

 

 

土地購入費用

着工金

中間金

合計

融資額

3,000万円

900万円

900万円

4,800万円

利息

約66万円

約13万円

約7万円

約86万円

手数料

約11万円

約11万円

 

4,800万円の融資を受けた場合、約86万円の利息がかかることになります。手数料は、初回のみですが融資額が多い場合や借入期間が長い場合は高くなります。また、融資を受ける金融機関によっては、抵当権設定の仮登記を行うケースもあるため、その場合は登録免許税や司法書士への報酬も必要となります。

 

※三菱UFJ信託銀行で1,000万円超~5,000万円以下を借り入れた場合

つなぎ融資は住宅ローン控除が適用されない

Point 「住宅の完成後6ヶ月以内に居住開始」という住宅ローンの条件を満たせなくなる

 

つなぎ融資は、住宅ローン控除が適用されません。住宅ローン控除とは、年末時点での住宅ローン残高の0.7%が13年間に渡り所得税から控除される制度のことです。所得税から控除しきれない場合、住民税からも一部控除されます。

 

住宅ローン控除の適用を受ける条件の1つに「住宅の完成後6ヶ月以内に居住を開始していること」があります。つなぎ融資はこれから住宅を建築する際に融資されるため、この条件を満たさず、住宅ローンの適用外となります。

 

まとめ

つなぎ融資とは、住宅ローンが実行される前に必要となる土地購入費用や着工金、中間金などを一時的に融資することです。

 

少ない自己資金で注文住宅を建てることができるメリットがある一方で、住宅ローンに比べて金利が高く金融機関によっては取り扱っていないケースもあります。さらに、手数料や印紙代がかかり住宅ローン控除の適用外となってしまいます。

 

これらのデメリットも考慮して本当につなぎ融資を受ける必要があるか判断しましょう。

 

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