注文住宅の相場はいくら?費用の内訳や実例を解説!
間取りや設備など、理想通りの家づくりができる注文住宅。自由度が高い分、建売住宅よりも費用がかかります。そこで今回は、一般的に注文住宅の相場はいくらくらいなのか、費用の内訳はどうなっているのか、実例とともに解説していきます。
注文住宅の費用の内訳とは?
Point. 注文住宅を建てるには、本体建築工事費、付帯工事費、諸費用、土地購入費が必要
注文住宅の費用の内訳は、「本体建築工事費」「付帯工事費」「諸費用」にわかれます。建物だけでなく土地も購入する場合、「土地購入費」も追加されます。
本体建築工事費は、住宅の基本的な部分を作るための工事にかかる費用で、全体の費用のうち、7割程度を占めることが多いです。その内訳は以下のように、いくつかの要素で構成されています。
本体建築工事費用
1.仮設工事費用
住宅は数か月かけて建設されますが、期間中は様々な設備が必要です。例えば足場を作ったり、養生をしたり、工事用の電力・水の確保もしなくてはなりません。他にも現場作業員のための仮設トイレや、資材の運搬費用などがかかります。これらは、仮設工事費用に含まれます。
2.基礎工事費用
住宅を建てるために土台を整える工事の費用です。例えば掘削工事では基礎を作るために地盤を掘り起こし、砕石敷では機械を使って地盤を固めます。その他にも様々な工程があり、必要な機械や建材の費用がかかります。
3.木工事費用
柱や梁など建物を支える構造材や、完成後も見える場所にある化粧材・仕上げ材の加工・造作にかかる費用です。本体建築工事費の中で最も大きな割合を占めます。
4.内外装工事費用
天井、壁、床、外壁などの工事の費用です。どのような建材を使うかで金額は大きく変わります。たとえば床をフローリングにするにしても、合板フローリングにするか無垢フローリングにするかで費用は変わりますし、タイルや畳といった選択肢もあります。
5.設計料
自分の好きな間取りの家を建てられるのが注文住宅のメリットですが、設計料がかかります。人件費や経費、技術料などが含まれ、全体の10~15%ほどの割合を占めることが多いでしょう。
付帯工事費
付帯工事費は、本体工事に付帯して行われる周辺的な費用です。大きく、3つの種類にわけることができます。
1.外構工事費用
外構工事に含まれるのは、庭、駐車場、門、堀などです。どの程度こだわるかによって費用は変わります。たとえば駐車場は1台より2台分の方が費用がかかりますし、デザイン性の高い庭にするとそれだけ費用が高くなります。
2.水道・ガス工事費用
水道やガスを家で使うための工事の費用です。水道を敷地内に引き込むための工事は、一般的に30~50万円、ガス管は1mあたり1万円ほどかかります。
3.各種取り付け工事費用
各部屋に取り付ける照明やそれに伴いスイッチ、エアコン、カーテンなどを取り付けるための工事の費用です。大きな窓があればその分カーテンの取り付け費用がかかり、選ぶ照明によりコストは変わります。また、分電盤の設置費用もここに含まれます。
4.解体費用
購入する土地にすでに住居が建っている場合、解体のための費用がかかります。金額は大きさや構造によって変わりますが、木造は1坪あたり3~5万円、鉄骨造は1坪あたり4~6万円、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造物件は1坪あたり6~8万円程度です。
諸費用
諸費用とは、上記以外に家づくりに関わる各種手続きなど土地に掛かる費用です。
1.登記費用
土地の所有者が変わると、所有権移転登記という手続きが必要です。その際、「不動産の固定資産税評価額×税率」 の登録免許税が必要です。自分で登録をすることもできますが、行政書士などの専門家に依頼した場合、報酬費用もかかります。
2.不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を購入したときにかかる税金です。「課税標準額×税率」で算出され、税率は土地と住宅を購入する場合は3%となります。
3.印紙税
不動産を売買をするために契約書を交わしますが、不動産売買契約書に貼る印紙代が必要です。土地代が1,000万円以下であれば1万円、5,000万円以下は2万円、1億円以下は6万円になります。
土地購入費
土地購入費は、注文住宅を建てる土地を購入するための費用です。土地の価格以外にも様々な諸費用が必要です。
1.土地購入費用
注文住宅を建てるための土地を購入する費用です。土地の大きさや地域、どの程度道に面しているかなど、様々な要素によって価格が決まります。
2.仲介手数料
土地を紹介してくれた不動産会社への仲介手数料が発生します。売買価格によって手数料の計算方法は異なり、以下の計算式で算出します。
売買価格 |
仲介手数料の上限額 |
200万円超400万円以下の部分 |
(売買価格×4%+2万円)×1.1(消費税) |
400万円超の部分 |
(売買価格×3%+6万円)×1.1(消費税) |
なお、親戚や知り合いから購入した場合は費用はかかりません。
注文住宅の平均や相場って?
Point. エリアによって相場は変わり、関東エリアは費用が高額になる傾向
注文住宅の費用相場は、どのくらいなのでしょうか。2021年度フラット35利用者調査によると、注文住宅の所要資金の全国平均は、注文住宅のみは3,572万円、土地付きの場合は4,455万円でした。
エリア別で見てみると、注文住宅の所要資金平均は首都圏で3,899万円、近畿圏で3,778万円、東海圏で3,650万円、その他地域で3,372万円です。
それぞれの地域の平均費用を、2021年度フラット35利用者調査の各種集計表をもとに47都道府県すべての情報をランキング形式でご紹介します。
1.関東エリア
都道府県 |
平均費用 |
|
1位 |
東京都 |
4,285.7万円 |
2位 |
神奈川県 |
3,970.8万円 |
3位 |
埼玉県 |
3,645.8万円 |
4位 |
千葉県 |
3,617.8万円 |
5位 |
茨城県 |
3,378.4万円 |
6位 |
群馬県 |
3,346.0万円 |
7位 |
栃木県 |
3,317.0万円 |
平均金額 |
3,651.6万円 |
2.北海道・東北エリア
都道府県 |
平均費用 |
|
1位 |
北海道 |
3,627.6万円 |
2位 |
福島県 |
3,587.1万円 |
3位 |
山形県 |
3,434.0万円 |
4位 |
宮城県 |
3,290.5万円 |
5位 |
岩手県 |
3,251.6万円 |
6位 |
青森県 |
3,194.6万円 |
7位 |
秋田県 |
3,114.2万円 |
平均金額 |
3,357.1万円 |
3.中部エリア
都道府県 |
平均費用 |
|
1位 |
愛知県 |
3,819.5万円 |
2位 |
静岡県 |
3,578.5万円 |
3位 |
長野県 |
3,639.5万円 |
4位 |
富山県 |
3,758.0万円 |
5位 |
福井県 |
3,693.0万円 |
6位 |
岐阜県 |
3,533.9万円 |
7位 |
石川県 |
3,420.4万円 |
8位 |
新潟県 |
3,292.7万円 |
9位 |
山梨県 |
3,077.3万円 |
平均金額 |
3,534.8万円 |
4.近畿エリア
都道府県 |
平均費用 |
|
1位 |
奈良県 |
4,003.8万円 |
2位 |
大阪府 |
3,952.0万円 |
3位 |
兵庫県 |
3,716.0万円 |
4位 |
滋賀県 |
3,495.8万円 |
5位 |
京都府 |
3,593.8万円 |
6位 |
和歌山県 |
3,558.8万円 |
7位 |
三重県 |
3,295.1万円 |
平均金額 |
3,659.3万円 |
5.中国・四国エリア
都道府県 |
平均費用 |
|
1位 |
広島県 |
3,652.8万円 |
2位 |
香川県 |
3,490.4万円 |
3位 |
岡山県 |
3,483.9万円 |
4位 |
山口県 |
3,460.7万円 |
5位 |
島根県 |
3,292.0万円 |
6位 |
徳島県 |
3,194.2万円 |
7位 |
愛媛県 |
3,182.5万円 |
8位 |
高知県 |
3,162.2万円 |
9位 |
鳥取県 |
3,035.9万円 |
平均金額 |
3,328.3万円 |
6.九州・沖縄エリア
都道府県 |
平均費用 |
|
1位 |
福岡県 |
3,478.9万円 |
2位 |
長崎県 |
3,407.7万円 |
3位 |
沖縄県 |
3,403.2万円 |
4位 |
熊本県 |
3,383.4万円 |
5位 |
佐賀県 |
3,363.8万円 |
6位 |
大分県 |
3,303.0万円 |
7位 |
宮崎県 |
3,136.9万円 |
8位 |
鹿児島県 |
2,909.4万円 |
平均金額 |
3,298.3万円 |
※全都道府県注文住宅のみの場合
注文住宅の建築費用別実例を紹介
Point. 予算3,000万円くらいから、強いこだわりも実現しやすくなる
実際に、幾らの費用をかければ、どのくらいの注文住宅ができるのか、予算別にご紹介します。実際には施工業者や様々な条件に左右されるので、あくまで目安として参考にしてみてください。
1.建築費1,000万円台の場合
建築費予算を平均金額よりかなり低い1,000万円台にすると、可能な限りオプション等は抑え、間取りをシンプルにし、大きさはコンパクトな注文住宅となります。内装は部屋ごとに壁紙を変えるなどせず、なるべく統一すると1000万円台に収まります。高い耐震性や断熱性などは難しいですが、暮らしていくうえで十分なクオリティは確保可能です。
ただし、メリハリを上手につければそれほど狭くなることはありません。実際に、3LDKの間取りの2階建てが建設された事例があります。この住宅では、門や堀は設置せずミニマルにすることでコストを抑え、その分リビングやキッチンのフローリングに無垢材を使ったり、扉も丸みを帯びたデザイン性のあるものを選んだりしています。
2.建築費2,000万円台の場合
建築費を2,000万円台まで引き上げると、あらゆる選択肢が広がります。一部でハイグレードな木材を選べたり、通常より大きな窓をつけたりできます。どこにでもある似たような建売住宅とは一味違うテイストにしたいという方も、十分満足のできる注文住宅になるでしょう。
事例として、4人家族が暮らすのに十分な大きさの3階建て住宅があります。リビングは吹き抜けとなっておりキッチンはスタイリッシュなフルオーダーです。その分、外壁や門は非常にシンプルなものを選んでいます。
3.建築費3,000万円台の場合
「せっかく注文住宅を作るなら自分のこだわりを実現したい」という方は、建築費3,000万円台で検討するのがおすすめです。大きいガレージで趣味の車いじりを楽しんだり、壁一面の本棚を作ったり、建売住宅ではなかなか難しいことも実現できます。
例えば、大きなガレージと中庭がある住宅の事例があります。中庭を中心に個室を配置する間取りが特徴です。また、スキップフロアにすることで、天井を通常より高くしています。
4.建築費4,000万円台の場合
建築費4,000万円台になると、余裕を持って色々なポイントを理想通りに作ることができます。間取りやデザインはもちろん、耐震性や耐火性など最高クラスのものを使う余裕も生まれてきます。
4,000万円台では、断熱性に優れた造りで、事務所の着いた二世帯住宅の事例もあります。シニア世代も安心して過ごせるようヒートショック対策がされ、ペットのためのスペースもあります。ベランダも十分なスペースがあり、チェアやデスクを置いても余裕があるほどです。
5.建築費5,000万円台の場合
広さを十分に確保したり、海外から製品を取り寄せたりといったことができるのが、建築費5,000万円台の注文住宅です。完全オリジナルの造作キッチンにするなど、建物内にこだわるだけでなく庭を作るなども可能です。
5,000万円台の注文住宅事例として、都内の敷地面積216㎡の物件をご紹介します。オーナーは退職後にゆったりと暮らす家を作りたいという思いから建材選びにも注力し、自然素材をふんだんに使いました。そしてリビングに薪ストーブを設置し、ビルトインガレージも作るなどこだわっています。
注文住宅の費用をなるべく抑えるためのポイント
注文住宅の費用をなるべく抑えるためには、まず見積もりを細部まで確認して、どの項目が高いかをチェックしてみてください。そして、施工の手間を小さくすることでコストダウンを図りましょう。
たとえば、1階と2階で同じ面積となっている総2階にしたり、間取りをシンプルにして壁を少なくしたりするのがおすすめです。他にも、窓を小さくしたり、ベランダの数を減らしたりと、コストダウンのためのポイントはいくつもあります。
初めて家づくりをする方は、こうしたヒントを得るためにも、ぜひ家づくりの情報サイト「ウチつく by Onnela」をご利用ください。
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