家事動線とは?生活しやすい家づくりに必要なポイントと部屋ごとの事例をご紹介


家づくりでは重要な点がいくつかありますが、中でも家事動線は大切なポイントです。毎日の生活が快適になるか、不便な思いをしながら暮らすことになるかを大きく左右します。せっかく家を建てるなら、生活しやすい環境にしたいですよね。そこで今回は、家事動線を考える時に役立つポイントと、部屋ごとの事例をご紹介します。


よい家事動線の間取りとは?

 

【Point】家事動線の良し悪しで、毎日の家事のしやすさが変わる!

家づくりをするうえで重要な動線は、2つあります。それが、生活動線と家事動線です。生活動線とは、朝起きてから洗面所に移動して歯を磨き、ダイニングで食事をして、寝室で着替えて、玄関から外出するといった、生活をする中での動きを表します。

この記事で紹介する家事動線とは、家事をするための人の動きです。例えば買い物から帰ってきて食材を冷蔵庫に入れて、調理をして食卓に出すまでの動きや、洗濯ものを洗って取り出して干し、たたんでタンスやクローゼットにしまうまでの動きを指しています。

優れた家事動線の家は、毎日の家事がしやすくストレスを軽減できます。反対に、家事動線が良くない家では掃除や洗濯が大変になってしまうため、家づくりにおける重要なポイントになります。間取りを考える際には「リビングは広くしたい」「寝室に大きな窓をつけたい」などの好みだけにとらわれず、「どうしたらよい家事動線になるか」「自分にとって暮らしやすい家とはどんな家か」という観点を持つことが大切です。

 

 

家事動線の計画を立てる時のポイント

 

【Point】家事の内容を考え、なるべく少ない移動で済むように意識し、回遊動線を取り入れる!

家事動線の計画を立てる際、以下の4つのポイントを意識してみてください。

 

家事の内容を考える

家事動線の計画を立てる際、まずは家事の内容を整理することから始めましょう。この時、なるべく具体的に考えることがポイントです。例えば洗濯ひとつとっても、週に何回洗濯するのか、部屋干しするのか、屋外に干すのか、浴室乾燥で乾かすのか、乾燥機を使うのか、洗った服はどこにしまうのかなど、細かく見ていきます。

ここまで具体的に考えることで、実際にどんな動きが発生するかがわかり、どのような間取りにすべきか明確になります。今の家ではどんなところが便利で、どんなところが不便なのかも含めて考えてみてください。

 

移動の最小化を意識する

間取りを考える時に軸になるのは「どうしたら、なるべく少ない移動で家事が終わらせられるか」です。一つの家事を完了させるために必要な部屋を近くにまとめることで、手間が省けて時短になります。

また、複数の家事を同時にこなすことも多いため、どの家事とどの家事を一緒に行うと効率が良いかといった観点も必要です。あちこち移動せずとも効率的に家事ができるようになるにはどうすればよいか、じっくり検討してみてください。

 

回遊動線を取り入れる

家事動線を考える時には、回遊動線も意識してみてください。回遊動線とは家の中に行き止まりを作らず、ぐるっと一回りして同じ場所に戻れる動線のことです。回遊動線のある家は移動がしやすく、部屋をショートカットできるため効率よく家事を済ませることができます。

さらに、一つの部屋に二通りの方法で入れるようになるため、移動しやすくなります。例えば朝の時間帯は支度をする家族が洗面所に集まって混み合うため、洗濯などしにくくなりますが、出入り口が二つあることによりスムーズに移動できます。また、火災や地震など万が一の時にも、一つの扉から出られなくてももう片方の扉から出られるというメリットもあるでしょう。

 

間取り図に動線を描いてみる

すでに手元に間取り図がある場合は、その図面に家事動線を引いてみましょう。実際にその家で暮らしているところを想像しながら、どの部屋から家事が始まり、どの部屋に移動し、最後はどこで終わるのか、順に線を描いてみます。

こうすることで、頭の中で思い描いていたときよりも明確に想像ができ「この部屋はこっちの方がよりスムーズになりそう」「この設備はこっちの部屋に着けた方が効率がより良くなりそう」など、細かい点まで気が付きます。

 

 

部屋ごとの家事動線の優れた間取り

 

【Point】家事動線の考え方は部屋ごとに違うので、それぞれの特徴を抑えよう!

ここからは部屋ごとに、どのような間取りがよいのかご紹介します。ただし、子どもの有無やその年齢、家事をどのくらいするかという生活スタイルによって異なる部分があるため、ご自身の状況にあわせて柔軟に取り入れてみてください。

 

キッチンの家事動線

キッチンの回遊性を高めたい場合、アイランドキッチンが適しています。調理スペースを一周回れるため、リビングなどへの移動も簡単です。ただし他のタイプのキッチンよりも広さが必要な点は要注意。価格も、他のタイプのキッチンに比べて高めです。

対面型キッチンは、出来上がった料理をすぐに出すことができて料理の効率が高まります。作る場所と食べる場所が離れていると移動が発生するため、なるべく近づけるとよいでしょう。

また、シンクと食器棚が隣接していると、洗った皿をすぐにしまえて便利です。食器類は重さがあり、ちょっとした移動も面倒に感じるもの。距離があると片付けが面倒になって、結局洗いカゴに入れっぱなしということはよくある例です。

 

 


洗面所の家事動線

洗面所の位置は、洗濯が効率よくできるかどうかという観点で考えてみてください。洗濯機を置く場所、干す場所、服をしまう場所をなるべく近づけましょう。屋外で干すのであれば、デッキやベランダにすぐ出られると便利です。濡れて重たくなった洗濯物を抱えて階段を上り下りするのは効率的ではありません。

もしランドリールームを設けるのであればそちらで服を干せるので、洗面所と隣り合わせがおすすめ。乾燥機を使うようであれば、タオルなどを入れる収納スペースも洗面所に作っておくと、乾いたものを取り出してすぐに整理できます。

また、キッチンと洗面所の場所が近ければ「洗濯機を回しながら料理をして、洗い終わったら干し、またキッチンに戻って料理を再開する」といったことができるため、なるべく近い位置にすることをおすすめします。

 

 


リビングの家事動線

リビングは生活の中心となる場所なので、どの部屋からもアクセスがよいと暮らしやすい家になります。また、小さな子どものいる家庭では家事をしながら子どもの様子を見る必要があります。そのため、キッチンからリビングが見渡せる間取りの方がよいでしょう。

最近ではリモートワークをする方が増えてきましたが、仕事の合間に家事をこなすのであれば、リビングの一角に仕事用のスペースを取る方法もあります。収納家具などで空間を区切れば、個室性はないもののダイニングテーブルで行うよりも集中力は上がるでしょう。食事のたびに片づけるという手間もなくなるため便利です。

 

 


収納の家事動線

収納は、各部屋ごとに作ると家事が効率化します。寝室に大きめの収納を作ってそこにまとめて入れようと考える方もいますが、リビングで使うものはリビングに、キッチンで使うものはキッチンになど、その部屋で使うものは部屋の中に置いておかなければ、家事が滞ります。

また、収納を作るときは何がどこにあるか一目でわかるような仕組みになることが理想的です。収納ボックスを活用すること自体はいいのですが、どこにあるのかわからず、あちこち引き出しを開けたり閉めたりするのでは効率が悪くなります。家族みんながわかるようにしておかなければ「あれってどこにあったっけ?」と質問され、そのたびに代わりに探すことになるかもしれません。「書類」や「DIY用品」などしまってあるものの名前を書いたメモを貼っておいたり、大きいものを入れるスペースと細々したものを整理するスペースを分けたりすると、使いやすい収納になるでしょう。

 

 


玄関の家事動線

玄関とどの部屋に繋げるかは、家事動線を考えるうえで重要なポイントです、キッチンまでを近づけると、まとめ買いした食材をすぐに整理することができます。パントリーがあるなら、そちらにすぐ入れられて効率性が高まるでしょう。

子どものいる家庭では、洗面所は浴室までの距離を近づけることもおすすめです。外から泥だらけで帰ってきてもすぐに手や洗えますし、汚れた衣服も効率よく洗えます。また、最近ではウィルス対策として手洗い専用の洗面台を設ける例も増えています。

玄関自体は、ある程度の広さがあると家事や育児がしやすくなります。例えばベビーカーを玄関に置いておけるようにすることで、外出の度に持ち運ぶ必要がありません。また、外遊びの道具もそのまま玄関に置いておくことができます。

 

 


その他の家事動線

家事の効率を高めるためには、コンセントの数と配置も重要です。例えば掃除機がコンセントから遠い場所にあると不便で、無駄にあちこち移動しなくてはいけません。キッチンにコンセントが足りなければ、オーブンやケトルを使う時にわざわざコンセントの抜き差しが発生します。どこでどんな家事をするかを事前に考え、それに沿ったコンセントの配置をすることが大切です。

階段の位置も、家事を中心に考えてみてください。各部屋に衣類を持っていくことになるため、洗濯物を干すスペースとは違うフロアに寝室や子供部屋を作る場合は、干した洗濯物を取り込んでから階段までの移動が短い方がよいでしょう。

 

 

まとめ

今回は、家事動線をキーワードにどのような家づくりをするべきか解説しました。長く暮らす場所だからこそ、見た目やデザインだけではなく、生活しやすい間取りを考えることが大切です。家事が少しでも楽になるよう、まずは今どんなことに不便を感じているかから考えてみてください。

とはいえ、家づくりは検討しなくてはならないことも多く、非常に大変です。さらに今まで家を作ったことがない方がほとんどで、何から手を付けていいかわからないということもあります。

そんな時は、ぜひ「オンライン相談サービス」をご利用ください。家づくりについて知見のある担当者がしっかりお話を伺い、大まかなスケジュールから資金計画の考え方など、家づくりの基礎知識をお教えします。まだ知識がなく基本的なことを質問したいという方のための窓口なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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